スクール水着は世界を救う｜リアクション

スクール水着は世界を救う

【11】

「先生、この問題が難しくて……」
　放課後の職員室に姿を見せた智瑜に、桐島先生はガタッと椅子を立ち上がった。
　授業のときは顔色が悪かった先生だが、今は大分良さそうだ。
　一安心して、先生に近づくと……気のせいか、また顔色が悪く……。
「な、なんなんだ、宮祀？」
「あの授業のときにわからなかった問題を教えてもらおうと……」
　そこまで言いかけて、彼女は目を丸くした。
　どうして、私、スクール水着を着てるの……？
　よりにもよって、こんな状況で自分の異変に気づいてしまったのである。最悪である。
（えっ、いつから？　どうして？？）
　水着の胸元には『ちゆ』と書かれているし、ますます恥ずかしい。
　思わず、先生の後ろに隠れてしまう。
「ど、どうした？」
「だ、だって、その……」
　頭から湯気が出てしまいそうなほど、智瑜は真っ赤になっていた。
「……って、え？　何このタコ……？」
　バカタコの存在にも気づき、剥がそうとタコを引っ張る。
　しかし、取れるどころか驚いたタコはビューと墨を彼女の胸元に吹きかけた。
「うう、ベトベト……」
　真っ黒に濡れた胸元が彼女の大きな胸を際立たせて、ますますますます恥ずかしい……！！
　鞄からタオルを出して身体に巻こうとしても、何故かタオルが鞄に引っかかって取り出せない。
　こんなこと今までなかったのに。
　こうなったら、先生の背広を……いやしかしダメだ。
　さすがに墨でベトベトの状態で、先生の背広を借りたら真っ黒に汚してしまう。
　これってやっぱり神魂の仕業……？
　うう、と恥ずかしさで目を潤ませながら、智瑜は思った。
「……先生、どうしたらいいですか？」
「ど、どうしたらと言われても、何をどうしたらいいんだ……？？」
　異変をなんとなくしか認識できていない先生にはよくわからない。
　けれども、彼女の照れて赤く染まった顔を見ると、何かしてやらねばという気も……。
「意味がわからないが、とにかく……」
　先生がそう言いかけたそのとき、窓からバカタコが職員室に入ってきた。
　８本の足を翻し、華麗に先生の頭に着地を決める。
　次の瞬間、背広でびしっと決めていた先生の姿があらま、スクール水着に！
　実験成功！　と窓の外からユウと萌の声が上がった。
　どうやらバカタコが取り憑くと一瞬でスク水姿に変わってしまうらしい。
「せ、先生……！？」
「どうした、宮祀？　具合が悪いんだろう？　さ、保健室に……」
　先生は気づいていないのか、クールな表情を少し崩して優しく微笑んだ。
　胸元ははち切れんばかりにスク水が伸びきり、股間は……大人のこんな姿、み、見てられない！
「いやあああああああああ〜〜〜〜〜〜！！！！」
「ど、どこへ行くんだ、宮祀！　先生と保健室に行こう！　ま、待ってくれー！」

　おわり

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