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【バレンタイン】フェアリィテイルとチョコレート!
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「バレンタイン♪ バレンタイン♪」
そんな鼻歌混じりに星ヶ丘を行くのは
天宮城 因
だ。友達の家に届け物をとやって来たのだけれど、その道すがら白い兎を見つけてしまったのだ。見つけてしまったからには追い掛けなくては、と因は白兎を追い掛けた。
「可愛いウサギさんっ因と一緒に遊びましょ~♪」
耳をぴこぴこと動かして、白兎は因をどこかも分からない世界へと誘った。突然霧が出てきたと思ったら、あっと言う間に視界が晴れて目の前にはお茶会をしている人達がいて、因はその丸い目を更に丸くする。
「……ここドコですかぁ? それに、因の服もなんだか違うみたいです~」
着ていた服はいつの間にかフリフリでちょっと甘めなロリータ風の赤ずきんのような衣装になっていて、因は首を傾げる。けれど、それは因にとても似合っていたし何より可愛い。
「ふふ、可愛いから大丈夫ですねっ♪」
可愛いは正義なのだ、例えそれが女装男子であろうとも似合っているのなら、正義なのだ。
「わぁ、お茶会ですかぁ? ぜひ因もご一緒させてくださいっ♪」
笑顔も仕草も完璧で、誰も男の子だとは思わないだろう。因は赤と白の水玉キノコの席に座ると、にこにこと笑顔を振り撒いて飲みたい物、食べたい物を要求する。
「因はミルクティーが好きなので茶葉はアッサムでお願いしますっ! お茶請けにはバタークッキーを頂きますねぇ~。うん、このクッキー美味しいですぅ」
中々に遠慮ない因にヴィランズ達は遠慮のない娘だね、だの何だの言ってはいるが、追い返す気はなさそうだった。来る者拒まず去る者追わず、が信条のお茶会なのだろうか。
「よぉ、ここ良いかい? お嬢ちゃん」
そう言って因の隣の席に座ったのは足は獣の物なのに器用に2本足で歩き、手は人のように5本の指がある、人狼のような狼だった。そしてややイケメン、いやイケ狼でもあった。
「あら、オオカミさんこんにちは~。赤ずきんの因のこと、食べに来たんですかぁ?」
「お嬢ちゃんはそう簡単に食べさせてはくれなさそうだけどなぁ」
「冗談ですよぉ~オオカミさんもクッキーおひとつどうぞ♪ はい、あーんっ♪」
素直に狼がその大きな口を開けると、舌の上にクッキーを置く。一個じゃ足りなさそうだなと思ったけれど、狼は美味しそうに食べてくれたので因は嬉しくなって微笑んだ。そしてその狼らしからぬ仕草が因のパパを思わせて、因はふっと目を伏せた。
「ん? どうしたんだいお嬢ちゃん」
「……あのね、オオカミさん。オオカミさん、因のパパにそっくりなんです……とっても。だから、ちょっとだけ因のこと、お話させてくださいねぇ?」
「そりゃあ変わったパパだな。お嬢ちゃんのパパにはこんな立派な牙や尻尾があるのかい」
ううん、と因は首を横に振る。因のパパには牙も尻尾もない、それでも似た何かを感じたのだ。
「ふうん、まぁいいや。暇潰しでもよけりゃ聞いてやるよ」
「ありがとう! 狼さん」
狼の尻尾がふさりと揺れるのを見て、因は静かに話だした。
「因ね、因のことを拾ってくれたパパのことが大好きなんです。でもパパ、因のことちっとも見てくれないんです」
狼の尻尾が動く。ふさり、ふさり。それは相槌のようで、因は続きを促されているのだと思い言葉を続ける。
「ううん、因を見ながら、因じゃないヒトを見てるの。だから因は、そのヒトみたいになりたくて、こんなに頑張ってるのに……なのに、振り向いてくれないの。おかしいですよね?」
少し冷めてしまったミルクティーを1口飲んで、因は溜息を吐いた。
「ねぇオオカミさん、因、どうすればいいと思いますか?」
クッキーを手で弄んでいた狼が、皿ごとざらりとクッキーを平らげる。暫く咀嚼していたかと思ったら、赤い舌をちらりと覗かせて因を見て言った。
「そりゃあ、お嬢ちゃんが――いや、お坊ちゃんか? パパとやらの事をちゃんと見てないからじゃねぇのかね」
因が一瞬目を瞠る。どうして自分が男だとわかったのだろうか、それから狼の言葉に思わず因の目が険しくなる。
「俺はこう見えてもれっきとした狼だぜ? 鼻が効くんだよ。まぁ、お嬢ちゃんって呼んだ方がしっくりくるけどよ」
「なるほど、そのお鼻のせいだったんですねぇ」
別に男だとばれたところで困りはしないのだ、別に隠している訳でもない。聞かれないから答えない、ただそれだけの事なのだ。
「……因は、パパのことちゃんと見てますよぉ」
「そうかい、それなら頑張るのをやめてみるとかよ。ちょいと難しいか……まぁ頑張んな、お嬢ちゃん」
狼は因の頭を撫でる。その撫で方はまるでパパのようで、因は俯いて噛締めそうになった唇をふわりと開く。
「難しいですねぇ……ふふ、お話き聞いてくれてありがとうございました、オオカミさん♪」
次に顔を上げた時、因はいつもの因だった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
椿 美咲紀
は言った。
「可愛いウサギさんを見かけたら誰でも追うでしょう。だから私は何も悪くないのです」
花厳 望春
は答えた。
「白い兎をなんとなく追いかけてみたら、いつの間にか奇妙なところに」
そして2人は顔を見合わせる。
「花厳さんも?」
「椿さんも?」
望春が星ヶ丘に来ていたのは、家にいると姉達に、
「バレンタインなのに浮いた話もないなんてかわいそう」
と、哀れみやからかいの視線が飛んでくるからだ。言い返そうにも、何か言えば100倍になって返ってくるのはわかっている。『俺にそんな事言うけど、あんたらも浮いた話ないだろ』なんて言ってみたいけれど、後が怖くて言えるはずもなかった。そんな居心地が悪い我が家を脱出せんが為、望春は適当な理由をつけて出てきたのだ。そして何故か白兎と出会い、追いかけていたら美咲紀と出会ったのだった。
対して、美咲紀が星ヶ丘にいたのはただの必然だった。何せ美咲紀が住んでいるのは星ヶ丘寮なのだ、学校が終わって星ヶ丘寮に帰る途中に白兎に出くわして追いかけて……冒頭に戻る。
「それにしても、ここはどこなんでしょうね? 何か既知感のような物も感じるのですが」
「全然わかんないんだけど……あそこにいる人達さ」
「おや、本当ですね。人がいます、良かった……遭難ではなさそうです!」
「その発想はなかったー! いや、そうじゃなくてその、あの人達の格好って童話にでも出てきそうっていうか……そのもの?」
そう言われて見れば、どうやらお茶会をしている人達は童話の世界の悪役の格好をしていて、美咲紀の新聞部員の性が疼きだす。
「これは……」
「知ってるの?」
「知りません! でも取材するしかないですね!」
いざ、とばかりに美咲紀はお茶会へと向かう。一瞬呆気に取られた望春は、ハッと我に返って美咲紀の後を追った。万が一、危険なお茶会だったら女の子である美咲紀を放っておく訳にもいかない。それに何より、面白そうだと思う気持ちも強かった。
近付いて見てみれば、身分の高そうな女性からワンコまで色々いますね、と美咲紀は思う。取りあえず話を聞いてみようと美咲紀は臆する事なく声を掛けた。
「こんにちは、寝子高新聞部の椿ですっ。今日は皆さんでお茶会ですか? 取材させてもらっていいですか?」
「取材とはなんだ小娘」
「色々お話を聞かせてもらうことです、お姉さま方!」
「ほう、退屈凌ぎには丁度いいかもしれぬな。許そう」
「ありがとうございます! 花厳さん、お邪魔してもいいそうですよー!」
女性は大抵お姉さんと呼び掛ければトラブルが少なくて済む、を実践した美咲紀は望春を呼んで共に席へと着いた。
「悪役だけど、ただの悪い人たちってわけではなさそうだね」
「ですね! これは楽しくなってきました!」
内緒話をするように喋っていると、紅茶のカップが回ってきて2人はありがたく頂く事にする。気が付けば目の前にはクッキーやプチタルトといったお茶菓子が置かれている。ここにはヴィラン達しかいなくて、でもいつの間にかお菓子が目の前にあると言う事は、ヴィラン達の誰かだったりもしかしたら全員だったりが置いてくれたと言う事で、望春はやっぱり悪い人って訳でもなさそうだと考える。
「そういえば、人魚姫の『海の魔女』って特に悪いことしてないんじゃない?」
「そうですよね、言われてみれば悪い事ではないですよね」
それは取引で、人魚の足を人の足に変える魔法の対価に人魚姫の声を貰ったのであって、無理やり奪った訳ではない。
「でも、世間一般的には悪役のイメージがあるし……ヴィランズって大変なんだな」
「よし、そこのところをどどーんと取材していきましょう!」
もちろん悪い事をしているヴィランズの方が多いのだが、もしかしたら情状酌量の余地があるかも? と美咲紀は口を開く。
「皆さん、どんなお話をしていたんですかぁ?」
そう問い掛ければ、口々に上がるのは悪役のちょっとした辛さだったりあるあるだったり。意外と世知辛いなと思いつつ、望春と美咲紀は彼らの話を聞くのだった。
「……と言う訳さ。白雪が隣国に嫁いだら国は隣国の物だろう?」
「なるほどなるほどー、治世もありますし色々厳しいですよね」
白雪姫の継母に美咲紀が相槌を打てば、
「そうだろう? アタシは何も悪い事してやしないんだよ。取引ってもんをわかっちゃいないんだよ、あの甘いお姫様達は!」
「そうだよね、嫌がらせしたりした訳じゃないもんな。愚痴、もっと言ってもいいんだよ」
海の魔女に望春が頷いてその先を促したりしている。そのうちに立場が逆転して、望春が愚痴を零す番になっていた。
「バレンタインでみんな幸せそうでさ、それはいいんだけど、独り身の俺としてはつまらない。ってか寂しいんだよね」
「アンタは優しい子なんだねぇ」
今度は海の魔女がしんみりしながら相槌を打って、まあケーキでも食べなと望春の皿に美味しそうなベリームースケーキを置いてくれた。それにお礼を言って、一口食べる。甘酸っぱさが丁度望春の気持ちを解してくれるようだ。こんな話を聞いて、更にちょっと優しくしてくれるなんて、ヴィランズって案外いい人達なのかもと思いかけた頃に横からハートの女王が白い指を望春へと突きつけた。
「ならいっそ、そいつらを不仲にさせてしまえばいいじゃないか。お触れでも出してやろうか?」
「うーん、気持ちは嬉しいけど解決方法が物騒なのはちょっと。そりゃ悪役らしい考え方だとは思うけど……」
自分はそういうのはイヤだと、やんわりと断る。
「あーあ、どうせなら俺が嫉妬するのもバカバカしくなるくらい幸せになってほしいよ」
「平和な坊やだね」
「あー、でも、やっぱ爆発しないかな!」
どっちなんだいと突っ込まれながら、望春はケーキを突いた。
一方、美咲紀はと言えば、ワンコだと思っていた狼の話を聞いていた。
「確かに狼さんの場合は逆に酷い目にあわされている気がしますが、元が狩猟民族なのでいた仕方なしと言いましょうか……」
「そうだろう? アンタ中々話せるお嬢ちゃんだな」
「でも、いいですか狼さん。世の中で一番恐ろしいのは人間なのですよ」
怖い話をするかのように、美咲紀が狼に顔を寄せる。
「ほんと容赦ないですからね人間って。自分の欲望には忠実ですし……良い人も多いのですが、怖ろしい一面もあるのです」
「お嬢ちゃんは人間なのに、容赦ねぇんだな」
「新聞記者とは物事を色々な面から見る必要がありますからね!」
えっへんと美咲紀が胸を張って、紅茶を飲んだ。
「それにしても、皆さん思ったより大変なんですね……。ちょっと認識が変わっちゃいそうです。あ、そうだ! 私、バレンタインのお菓子を持っているので差し入れますね」
美咲紀が鞄から袋を取り出すと、空いているお皿にざらりとその中身を撒いた。それはワックスペーパーで包まれたチョコブラウニーで、丁寧に透明の袋に入れてシールで留めてある物だった。
「学校でみんなに配ろうと思って、た~っくさんチョコブラウニーを作ってきちゃったの。配りきれないぐらい。ここで会ったのも何かの縁ですから、皆さんにも配りますね」
そう言って大量のチョコブラウニーを載せた皿を回していく。
「はい、花厳さんもおひとつどうぞ!」
「え、いいの? ありがとう!」
思わぬところでバレンタインのチョコを手に入れて、それは友チョコだったけれど望春は嬉しくなって美咲紀にお礼を言う。
「さっき幸せなカップルは爆発しろって言ったけど、前言撤回しておくべきかな」
いや、でも爆発してもいいか、と望春は思う。そう、末永くなら――なんてね。
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2016年09月19日
参加申し込みの期限
2016年09月26日 11時00分
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2016年09月26日 11時00分
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