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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
洋菓子店『Ｒａｔｏｎ』の日常
【８】彼女の答え
やがて日は落ちて、『Ｒａｔｏｎ』は閉店時間となった。
店内の掃除や厨房のかたずけを終え、春彦と彰尋はバイト用の制服を脱いであとは帰るだけとなった。
「ご苦労さまでした。これは、二人の分のお土産です。持って帰って下さいね」
その二人に景貴が差し出したのは、彼と望春と紫、それに美幸が作ったお菓子とチョコチップマフィンが入った、例の箱だった。
「やりぃ、土産だラッキー！」
春彦は満面の笑顔でそれを受け取る。
（店長さんのこういうトコ嬉しいし、すげぇ尊敬する。だから、どんなに忙しくても、ココのバイトやめる気、全然起きねぇんだよなー）
胸に呟きつつ、「あざっす！」と礼を言う彼だ。
「いいんですか？」
彰尋の方は、驚いたように問い返した。
ちなみに彼は、家への土産にここで何かケーキを買って帰ろうと考えていたのだった。
「はい。せっかく作ったものを、無駄にするのはもったいないですからね。それに、どれもとても美味しかったですし」
うなずく景貴に、礼を言って彰尋もそれを受け取る。
（……家への土産、買う必要がなくなったな。甘いものはいくらあっても喜ぶだろうが、あんまり食べ過ぎるのもよくないだろう）
弟妹たちのことを考え、文字どおりもらったお菓子を土産にすることに決めた。
「そんじゃ、お疲れさまっす！」
「お疲れさまです」
挨拶して出て行く春彦に続いて、彰尋も軽く会釈して店を後にする。
「お疲れさまです。二人とも気をつけて帰って下さい」
景貴は言って、二人を見送った。
店内には、景貴と柳霞の二人だけが残された。
「お疲れさま」
声をかける柳霞に、景貴も微笑み返す。
「柳霞さんこそ、お疲れさまです。……遊びに来たのに、お手伝いまでしていただいて、すみませんでした」
柳霞は、美幸と話したあとや、彼女が帰ったあとなどに、空いたテーブルの食器を下げたり厨房内をかたずけたりといったことを、手伝っていたのだった。
「ううん、それはいいの」
言われて柳霞は、小さくかぶりをふった。そして、つと景貴を見上げる。
「今日、改めて思ったの。誰にでも優しい景貴さんも、お菓子を作ってる景貴さんも好き。でもちょっと妬きそうになっちゃう……そのくらい好き、大好き」
「柳霞さん……」
景貴は、彼女の言葉に小さく目を見張った。
それへ柳霞は、ほとんど一息に続ける。
「だから、私を景貴さんの人生のパートナーにして下さい。ずっと、貴方の隣にいたいです。……荒井 柳霞にして下さい」
「柳霞さん……」
景貴の目が、更に大きく見張られた。だがすぐにそれは、満面の笑顔へと変わる。
「はい。……はい、喜んで」
うなずくと景貴は、ポケットから小さなビロードの箱を取り出した。
春彦と彰尋が店内をかたずけてくれている間に、自分の部屋から持って来てあった品物だ。
箱を開けると、中に敷かれたビロードのクッションの間に、華やかなピンクダイヤモンドをあしらった指輪が収まっている。
彼はそれを取り出し、そっと柳霞の指にはめた。
「柳霞さん、ありがとうございます。あなたを、人生のパートナーとしてお迎えできるなんて、幸せです」
「景貴さん……」
幸福に輝く笑顔で告げる景貴を見上げ、柳霞もまた輝くばかりの笑みを浮かべている。
それへ、景貴は問うた。
「結婚指輪は、あなたと一緒に選んでもいいですか？ 僕は、あなたが隣にいる幸せを感じながら、指輪を選びたいです」
「もちろん。私も……私も、景貴さんが隣にいる幸せを感じながら、指輪を選びたいよ」
柳霞はうなずくと、婚約指輪のはまった指をもう一方の手でそっと握りしめ、わななくような吐息をついた。
その柳霞の肩を、景貴がそっと抱きしめる。
二人はそうして、しばらくの間、ただじっと寄り添い合って時を過ごしたのだった――。
やがて日は落ちて、『Ｒａｔｏｎ』は閉店時間となった。
店内の掃除や厨房のかたずけを終え、春彦と彰尋はバイト用の制服を脱いであとは帰るだけとなった。
「ご苦労さまでした。これは、二人の分のお土産です。持って帰って下さいね」
その二人に景貴が差し出したのは、彼と望春と紫、それに美幸が作ったお菓子とチョコチップマフィンが入った、例の箱だった。
「やりぃ、土産だラッキー！」
春彦は満面の笑顔でそれを受け取る。
（店長さんのこういうトコ嬉しいし、すげぇ尊敬する。だから、どんなに忙しくても、ココのバイトやめる気、全然起きねぇんだよなー）
胸に呟きつつ、「あざっす！」と礼を言う彼だ。
「いいんですか？」
彰尋の方は、驚いたように問い返した。
ちなみに彼は、家への土産にここで何かケーキを買って帰ろうと考えていたのだった。
「はい。せっかく作ったものを、無駄にするのはもったいないですからね。それに、どれもとても美味しかったですし」
うなずく景貴に、礼を言って彰尋もそれを受け取る。
（……家への土産、買う必要がなくなったな。甘いものはいくらあっても喜ぶだろうが、あんまり食べ過ぎるのもよくないだろう）
弟妹たちのことを考え、文字どおりもらったお菓子を土産にすることに決めた。
「そんじゃ、お疲れさまっす！」
「お疲れさまです」
挨拶して出て行く春彦に続いて、彰尋も軽く会釈して店を後にする。
「お疲れさまです。二人とも気をつけて帰って下さい」
景貴は言って、二人を見送った。
店内には、景貴と柳霞の二人だけが残された。
「お疲れさま」
声をかける柳霞に、景貴も微笑み返す。
「柳霞さんこそ、お疲れさまです。……遊びに来たのに、お手伝いまでしていただいて、すみませんでした」
柳霞は、美幸と話したあとや、彼女が帰ったあとなどに、空いたテーブルの食器を下げたり厨房内をかたずけたりといったことを、手伝っていたのだった。
「ううん、それはいいの」
言われて柳霞は、小さくかぶりをふった。そして、つと景貴を見上げる。
「今日、改めて思ったの。誰にでも優しい景貴さんも、お菓子を作ってる景貴さんも好き。でもちょっと妬きそうになっちゃう……そのくらい好き、大好き」
「柳霞さん……」
景貴は、彼女の言葉に小さく目を見張った。
それへ柳霞は、ほとんど一息に続ける。
「だから、私を景貴さんの人生のパートナーにして下さい。ずっと、貴方の隣にいたいです。……荒井 柳霞にして下さい」
「柳霞さん……」
景貴の目が、更に大きく見張られた。だがすぐにそれは、満面の笑顔へと変わる。
「はい。……はい、喜んで」
うなずくと景貴は、ポケットから小さなビロードの箱を取り出した。
春彦と彰尋が店内をかたずけてくれている間に、自分の部屋から持って来てあった品物だ。
箱を開けると、中に敷かれたビロードのクッションの間に、華やかなピンクダイヤモンドをあしらった指輪が収まっている。
彼はそれを取り出し、そっと柳霞の指にはめた。
「柳霞さん、ありがとうございます。あなたを、人生のパートナーとしてお迎えできるなんて、幸せです」
「景貴さん……」
幸福に輝く笑顔で告げる景貴を見上げ、柳霞もまた輝くばかりの笑みを浮かべている。
それへ、景貴は問うた。
「結婚指輪は、あなたと一緒に選んでもいいですか？ 僕は、あなたが隣にいる幸せを感じながら、指輪を選びたいです」
「もちろん。私も……私も、景貴さんが隣にいる幸せを感じながら、指輪を選びたいよ」
柳霞はうなずくと、婚約指輪のはまった指をもう一方の手でそっと握りしめ、わななくような吐息をついた。
その柳霞の肩を、景貴がそっと抱きしめる。
二人はそうして、しばらくの間、ただじっと寄り添い合って時を過ごしたのだった――。
あとがき
担当マスター：
織人文
ファンレターはマスターページから！
参加いただき、ありがとうございました。
マスターの織人文です。
さて。
洋菓子店『Ｒａｔｏｎ』での出来事は、いかがだったでしょうか？
美幸の方は、参加ＰＣさま方のご協力により、少しは洋菓子苦手を克服できたように思います。
きっと、バレンタインには彼に手作りのチョコレートケーキを渡すことができるのではないかと。
そして、これからは、洋菓子も美味しく食べられるようになるかと思います。
ありがとうございました。
そして、ＰＣさま同士のカップルには、とてもおめでたいことが。
シナリオ内でこうしたシーンを書くのはほぼ初めてでしたので、なんだか感動でした。
ともあれ、楽しく書かせていただきました。
みなさんにも、少しでも楽しんでいただければ、幸いです。
マスターの織人文です。
さて。
洋菓子店『Ｒａｔｏｎ』での出来事は、いかがだったでしょうか？
美幸の方は、参加ＰＣさま方のご協力により、少しは洋菓子苦手を克服できたように思います。
きっと、バレンタインには彼に手作りのチョコレートケーキを渡すことができるのではないかと。
そして、これからは、洋菓子も美味しく食べられるようになるかと思います。
ありがとうございました。
そして、ＰＣさま同士のカップルには、とてもおめでたいことが。
シナリオ内でこうしたシーンを書くのはほぼ初めてでしたので、なんだか感動でした。
ともあれ、楽しく書かせていただきました。
みなさんにも、少しでも楽しんでいただければ、幸いです。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2016年08月21日
- 参加申し込みの期限
-
- 2016年08月28日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2016年08月28日 11時00分
