ねこモンＧＯＧＯ！｜リアクション

ねこモンＧＯＧＯ！

【ねこモン、ゲットだぜ！】

　音海なぎさと夢宮瑠奈は季節外れのひまわり畑にやってきていた。
　もちろん真冬にこんな場所にやってきたのは、なぎさの相棒であるひまわりんを進化させるためだった。
　だが、
「……いないねぇ、ひまわりん」
「……うん。まあ冬だからねぇ……」
　案の定というべきか、ひまわりんは全く見つからなかった。
　ナゾノネコ、フシギネコ、マダコネコなどのくさタイプのねこモンは多数見つかったのだが、肝心のひまわりんがまったく見つからない。
「確かねこモンを進化させるためには同じ種類のねこモンをたくさん捕まえないといけないんだよね？」
「うん。原作の『ねこっこ☆モンスター』だったら、経験値を貯めれば進化させられたんだけど……」
　ふぅと溜め息を吐きつつ、なぎさはしっかりとスマホを操作して、そこにいるねこモンを次々と捕まえている。

（ほへー。おとみん先輩スゴいのです……。今日の先輩はちょっとカッコいいのです）

　そんなことを思いつつ、瑠奈はなぎさの真剣な横顔をぼんやり眺めている。
　やはり何かに夢中になっている人間の姿というものは、人を惹きつけるものだ。
　だが、

「……って、おとみん先輩、危ない！　そっちは田んぼですよ！」
「へっ……？　う、うわあっ……！？」
　ねこモンゲットに夢中になるあまり田んぼに足を突っ込みそうになるなぎさを、瑠奈は力一杯袖を引っ張ってなんとか引き戻す。
「た、助かった……。あ、ありがとう、夢宮ちゃん」
「まったく……。ゲームに夢中になり過ぎてまわりが見えなくなるなんて子供みたいです……」
　瑠奈が溜息まじりに言うと、なぎさが照れたように笑う。
「えへへ。ごめんごめん。さて、もうこのあたりはいいかな。夢宮ちゃん、ほかにどこか行ってみたいところある？　あ、街より、山の方がいいのかな。アイドルのオフって、大変そうだもんね」
「え……？　あたしはそういうの別に気にしませんよぉ？」
「あ、そうなの？　へぇ、意外……」
「でも、あたしねこモン詳しくないし、どこに行ったらいいかとか全然わからないなぁ。とりあえずあっち？」
　瑠奈は手近にあったねこストップを指差して、適当な感じで言う。
「うん。じゃあ行ってみよう。ルアーを設置したら、ひまわりんが来るかもしれないし」
　なぎさが冗談っぽく言ってルアーを設置した、その直後だった。

「「って、ほんとに来たっ！？」」

　二人の目の前に、ひまわりんが大量にやってきた。百匹ぐらい。ぶっちゃけホラーだった。

「ちょっ、お、おとみん先輩、早く捕まえてください。なんか食べられそう！？」
「……せ、急かさないでよ、夢宮ちゃん。ボクだってちょっと怖いんだからっ……！」
　言いつつ、なぎさはしっかりとひまわりんを捕獲していった。
　一匹、二匹と捕獲していくうちに、進化に必要なアイテムの個数が溜まっていく。
　そして、ついにひまわりんはニャフレシアンに進化した。
　毒々しい花びらと、臭い匂いを放つ独特のデザインを持つねこモンである。

「やった！　夢宮ちゃんのおかげだよ！　ありがとう！」
「えー……。これだったら、ひまわりんの方が可愛かったなぁ」

　大喜びするなぎさの一方で、可愛さ重視の瑠奈としては、その遺伝子のいたずらとしか思えない進化にちょっぴり複雑な気分を抱くのだった。