ねこモンＧＯＧＯ！｜リアクション

ねこモンＧＯＧＯ！

【ねこモン探して三千里（違】

　真境名アリサも、『ねこモンＧＯ！』をプレイしていた。
　プレイを開始したのは昨日のことだったが、ちょうど仕事がオフだったこともあって、すでにかなりの数が集まっていた。
「でも、意外と、欲しいコは出てこないのよねぇ……」
　埋まらない図鑑のあるページを眺めつつ、アリサはふぅとひとりごちた。
　欲しいコというのは、招き猫ねこモンの『マネキニャー』のことだった。
　かぜタイプのねこモンで、かぜタイプとしては動きが遅い部類に入るが、ときおり放つ招きパンチは攻撃力が抜群なのだという。
「とりあえず今日はシーサイドタウンまで来たけれど、やっぱりいないわねぇ。あ、ラプニャス」
　アリサはまだ捕獲していないねこモンを見つけるたびにボールを投げまくってそれらを片端からゲットしていく。
　シーサイドタウンを一通りぶらりと歩くと、その足で星ヶ丘まで。
「ふーん。やっぱり高級住宅街なんて呼ばれるだけあって、旧市街やシーサイドタウンとはまた空気が違うわねぇ」
　穏やかだがどこか垢抜けない旧市街や、雑多で賑やかなシーサイドタウンとは違って、星ヶ丘には何と言うかブルジョアの空気のようなものがそこかしこに満ち満ちていた。
（庶民のあたしには、ちょっと敷居の高い街だわ……）
　そんなことを思いつつ、でもねこモンがいるので仕方なくというふうを装って、アリサは星ヶ丘のあちらこちらをぶらりと練り歩いていく。
　ときおり、街行く人に『マネキニャー』を見かけなかったか、と訊いてみたりもする。
　そうしているうちに、アリサは星ヶ丘が誇る超高級ホテル『ステッラ・デッラ・コリーナ』に辿り着いていた。
「……こんなところに本当にいるのかしら？」
　アリサは首を傾げた。
　エントランスをくぐると、客層の違いや、ロビーの高級感に圧倒される。
（……とりあえずカジュアルな格好だからっていきなり摘み出されたりしないみたいね）
　そして、こんなところにも、やはりねこモンはいるようだ。
　ホテルの宴会場では、どこかのお偉いさんの華やかなパーティーが開かれているらしい。
　その会場の方に、ねこモンの反応があった。
（招待客しか入れないみたいだけど、まあ、バレなきゃいいわよね）
　あまり良くない気がしたが、アリサはこそこそと会場内に潜入を試みた。
　人の良さそうなおじいさんが転がしているキャスターつきのトランクの陰に隠れて、会場の入り口を通り抜けようとして――。
「……お客様？　失礼ですが、招待状を拝見してもよろしいでしょうか？」
　と、すぐにスタッフに発見された。
「あは、あははは」
　とアリサは笑って誤魔化したが、すぐに外へ摘まみ出された。むしろ通報されなかっただけ良かったかもしれない。最近はアリサのような侵入者が後を絶たないようだった。
「……仕方ない。今日は大人しく帰ろうかな……って、あっ！？」
　そのとき、アリサはホテルの入口付近で手をこまねいているマネキニャーの姿をスマホに捉えた。
「……やっぱり噂は本当だったのね。えいっ！」
　アリサはタイミングよくボールを投じて、なんとか念願のマネキニャーをゲットすることに成功した。
　それは本当に、本当に長い道のりだった。

「これぞねこモン探して三千里ってやつね……！」

　何か違う気がしたが、達成感に満ち満ちた今のアリサにはそのようなことはもはやどうでもいいことなのであった。

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