ねこモンＧＯＧＯ！｜リアクション

ねこモンＧＯＧＯ！

【寝子島ねこモンめぐりの旅】

　綾辻綾花は、ねこモン図鑑の埋まり具合を確かめて、ふぅと小さく息をついた。
「まだまだ完成は遠いですね」
　綾花は配信開始と同時にアプリをＤＬし、着実に捕獲数を伸ばし続けていたが、図鑑完成への道のりはまだ遠そうだ。
　その日も、散歩がてら、綾花はねこモンを探しに行くことにした。
　もともと散歩はよくしていたが、『ねこモンＧＯ！』配信日開始以降、とみにその回数は増えていた。
　郵便局や、石像などのねこストップを巡回しつつ、公園や高校、旧市街方面へ向かっていく。もちろん歩きスマホはしないように注意して、だ。
「図鑑のついでに、猫メモのコンプリートも目指しましょう」
　と、綾花は愛用の猫メモをぎゅっと握りしめた。彼女はマナーだけでなく、メモと煮干しも携帯している。
「あ、あそこにいるのは……」
　と、そんな綾花が思わず立ち止まったのは旧市街の路地裏だった。
　そこにいたのは、一匹の三毛猫と一体のねこモン――まねきニャーである。
「どっちも可愛い……！」
　綾花はうっとりして、まずは三毛猫に煮干しをあげて、ついでにもふもふする。逃げる素振りは全くない。
　気持ちがいいのか、三毛猫は至福の表情さえ浮かべていた。
　が、そんな三毛猫をもふもふする綾花はもっと至福の表情を浮かべていた。クラスメイトにはお見せできない姿である。
　それから、綾花は三毛猫に画面を見せつつ、まねきニャーをゲットするためにボールを投げ始める。
（そういえば、このコ、模様が三毛ですね……。もしかして、色違い？）
　不思議に思いつつ投げ続けているうちに、ついにまねきニャー（三毛ver.）を綾花はゲットした。ウェブで調べてみると、どうやら噂の寝子島限定カラーがこれらしい。
　さらに、ふと綾花が何気なく塀の上にスマホを向けると――。
「あ、ピカニャンです！」
　原作ゲームのアニメ版の主人公――マサニャタウンのレッドの相棒にもなったピカニャンがこちらを見ていた。もちろんゲットする。
「ピカニャンゲットだぜ、ですね……！」
　それから、綾花はひとしきりリアル三毛猫と喜びを分かちあった後、意気揚々とその場を離れた。

「もしかすると、さっきの三毛のにゃんここそが、幸福（レアねこモン）を呼ぶ、招き猫だったのかもしれませんね……」

　はたとその事実に気づいた綾花は、慌ててさっきのにゃんこについて、猫メモに書きとめた。

　――もし、寝子島のどこかでふくよかな三毛猫を発見したら、その近くにはレアねこモンが存在しているかもかもしれない。

このページにイラストを設定する