- 0
- 0
- 種族
-
- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
寝子高七不思議シリーズ：キサラギ君
■事情聴取と新しい鍵
「オレ様の武勇伝を聞かせてやろう」
「あ、白目剥いてぶっ倒れてた奴」
ブリジットのツッコミにネヴィアは長い髪を掻き上げながら答える。
無駄にきらめいている。
「なぁに、あれは一種のトランス状態という奴だ」
「いちいち髪をかきあげるその行為に意味はあるの」
「そう、俺はあの時勇敢にも一人で怪異に立ち向かわんと」
「それより昨日『キサラギくん』に遭遇したというのはあなた達？」
ツッコミに飽きたブリジットはネヴィアを無視して傍らの女子生徒二人に話を振る。
「ええ」
「間違いないわ」
事件の目撃者を捜していたブリジットとすばるだったが、ネヴィアの事件が起きた時、不思議と下駄箱周辺にいた生徒や教員は見つからなかった。
ネヴィア本人も周囲に人の気配は全くなかったと証言している。
代わりに、つい最近というか昨日『キサラギくん』と遭遇したという女子生徒が二人いることが発覚した。
1年の跡野 茉莉と3年の仙藤 紫である。
「あの日、私は一人で下駄箱にいたわ」
まず紫からその日あったことを淡々と話し始める。
「キサラギくんの噂は知っていたわ。この手の話は心理学や神経生理学で大抵説明がつくことも。でも、ここは寝子島で……科学では説明がつかない、不可思議なことも、一部存在しているから。
だから、帰り際に下駄箱を調べてみたのよ」
紫は自分の下駄箱は勿論、下駄箱の周辺も丁寧に調べた。
下駄箱自体に何かあるのか、もしくは下駄箱周辺に不審な人物はいないか。
しかし生憎とそれらしきものは見つからず。
気づけは周囲はシンと静けさに包まれていた。
（馬鹿らしい……何必死になっているのかしら、私）
嫌な静けさだったが、紫は恐怖を感じず、むしろ冷静になった。
（最近不可思議な事件に遭遇し過ぎて過敏になっているのね）
こんなことはもうやめて早く家に帰ろうと考え、再び自分の下駄箱を開いた。
「正直何が起きたのか、ハッキリは解らなかったわ。ただ、何かが物凄い速さで首を掠めていったの」
その時の感触を思い出して紫は自分の首に手をやる。
「小動物か虫か何かだと思ったんだけど、周囲にそれらしきものはなかった。それと……」
教室を出る前に、きっちり閉めた鞄が開いて中身が散乱していたのだ。
財布、スマホ、学生手帳と大切な物を確認しながら鞄の中に戻す作業をして、紫は気づいた。
「チョコがなくなっていたわ。……コンビニで買った安物だけど」
「成程、チョコを持っていたから被害を免れたケースね。跡野さんの話も聞かせてもらって良いかしら」
「オレ様の武勇伝は」
「それはいい」
「私は……」
人形めいた容姿と雰囲気を持つ跡野 茉莉が静かに口を開いた。
「キサラギくんの噂を聞いて、今回も「よくある超常現象」位に思ってた。だからチョコも持たずに、遭遇したらその時はその時って感じだったんだよねぇ」
のんびりとした口調で、どこか遠い場所を見つめながら茉莉は語る。
「一人で帰ることはそう珍しくないし、昨日もそうだった。でも、昨日はなんだか、嫌な空気だなぁって」
普段なら部活や委員会で活動している生徒も多い時間帯のはずなのに、下駄箱周辺は妙に人気がなかった。
そして空気はこころなしか重く、やたらと寒かった。
「なんか気持ち悪いなぁって思って、靴を出してさっさと帰ろうと思った。そうしたら」
下駄箱の奥から、にゅっと青白い腕が伸びてきたのだ。
驚きに茉莉の目は見開かれ、一瞬心臓が凍り付きそうになる。
しかし、同時にガキン！と小気味良い金属音が茉莉の耳奥に響いた。
x＝1、y=3
意識を集中し、両手の甲に浮かび上がる数字をイメージする。
ろっこんで3倍速になった茉莉のおさげが宙を舞い、下駄箱から出てきた腕の指が髪先を掠める。
危機一髪。
しかし今回の効果は1分間。しかも能力の反動で効果が切れれば茉莉の動きは1/3の速度になってしまう。
（どうする……？）
距離を取ったはいいもの、下駄箱からはもう一本腕が伸びてきてじりじりと茉莉に近づいてくる。
ろっこんの効果が切れるまで逃げようと、茉莉が脳内で結論を下した時だった。
「そこから離れて！」
男子生徒の声がした。
そして次の瞬間。
ツンと茉莉の鼻をつく『何か』が、腕に向かって投げつけられていた。
腕は悶えるような動きをして、しゅるしゅる下駄箱の中へ戻っていった。
茉莉が恐る恐る自分の下駄箱を覗き込むとそこには刺激臭と自分の靴だけが残っていた。
「男子生徒？ 刺激臭？」
「八神君が辛子を投げつけたんだよねぇ、そうしたら『キサラギくん』は消えちゃった」
「オレ様の武勇伝を聞かせてやろう」
「あ、白目剥いてぶっ倒れてた奴」
ブリジットのツッコミにネヴィアは長い髪を掻き上げながら答える。
無駄にきらめいている。
「なぁに、あれは一種のトランス状態という奴だ」
「いちいち髪をかきあげるその行為に意味はあるの」
「そう、俺はあの時勇敢にも一人で怪異に立ち向かわんと」
「それより昨日『キサラギくん』に遭遇したというのはあなた達？」
ツッコミに飽きたブリジットはネヴィアを無視して傍らの女子生徒二人に話を振る。
「ええ」
「間違いないわ」
事件の目撃者を捜していたブリジットとすばるだったが、ネヴィアの事件が起きた時、不思議と下駄箱周辺にいた生徒や教員は見つからなかった。
ネヴィア本人も周囲に人の気配は全くなかったと証言している。
代わりに、つい最近というか昨日『キサラギくん』と遭遇したという女子生徒が二人いることが発覚した。
1年の跡野 茉莉と3年の仙藤 紫である。
「あの日、私は一人で下駄箱にいたわ」
まず紫からその日あったことを淡々と話し始める。
「キサラギくんの噂は知っていたわ。この手の話は心理学や神経生理学で大抵説明がつくことも。でも、ここは寝子島で……科学では説明がつかない、不可思議なことも、一部存在しているから。
だから、帰り際に下駄箱を調べてみたのよ」
紫は自分の下駄箱は勿論、下駄箱の周辺も丁寧に調べた。
下駄箱自体に何かあるのか、もしくは下駄箱周辺に不審な人物はいないか。
しかし生憎とそれらしきものは見つからず。
気づけは周囲はシンと静けさに包まれていた。
（馬鹿らしい……何必死になっているのかしら、私）
嫌な静けさだったが、紫は恐怖を感じず、むしろ冷静になった。
（最近不可思議な事件に遭遇し過ぎて過敏になっているのね）
こんなことはもうやめて早く家に帰ろうと考え、再び自分の下駄箱を開いた。
「正直何が起きたのか、ハッキリは解らなかったわ。ただ、何かが物凄い速さで首を掠めていったの」
その時の感触を思い出して紫は自分の首に手をやる。
「小動物か虫か何かだと思ったんだけど、周囲にそれらしきものはなかった。それと……」
教室を出る前に、きっちり閉めた鞄が開いて中身が散乱していたのだ。
財布、スマホ、学生手帳と大切な物を確認しながら鞄の中に戻す作業をして、紫は気づいた。
「チョコがなくなっていたわ。……コンビニで買った安物だけど」
「成程、チョコを持っていたから被害を免れたケースね。跡野さんの話も聞かせてもらって良いかしら」
「オレ様の武勇伝は」
「それはいい」
「私は……」
人形めいた容姿と雰囲気を持つ跡野 茉莉が静かに口を開いた。
「キサラギくんの噂を聞いて、今回も「よくある超常現象」位に思ってた。だからチョコも持たずに、遭遇したらその時はその時って感じだったんだよねぇ」
のんびりとした口調で、どこか遠い場所を見つめながら茉莉は語る。
「一人で帰ることはそう珍しくないし、昨日もそうだった。でも、昨日はなんだか、嫌な空気だなぁって」
普段なら部活や委員会で活動している生徒も多い時間帯のはずなのに、下駄箱周辺は妙に人気がなかった。
そして空気はこころなしか重く、やたらと寒かった。
「なんか気持ち悪いなぁって思って、靴を出してさっさと帰ろうと思った。そうしたら」
下駄箱の奥から、にゅっと青白い腕が伸びてきたのだ。
驚きに茉莉の目は見開かれ、一瞬心臓が凍り付きそうになる。
しかし、同時にガキン！と小気味良い金属音が茉莉の耳奥に響いた。
x＝1、y=3
意識を集中し、両手の甲に浮かび上がる数字をイメージする。
ろっこんで3倍速になった茉莉のおさげが宙を舞い、下駄箱から出てきた腕の指が髪先を掠める。
危機一髪。
しかし今回の効果は1分間。しかも能力の反動で効果が切れれば茉莉の動きは1/3の速度になってしまう。
（どうする……？）
距離を取ったはいいもの、下駄箱からはもう一本腕が伸びてきてじりじりと茉莉に近づいてくる。
ろっこんの効果が切れるまで逃げようと、茉莉が脳内で結論を下した時だった。
「そこから離れて！」
男子生徒の声がした。
そして次の瞬間。
ツンと茉莉の鼻をつく『何か』が、腕に向かって投げつけられていた。
腕は悶えるような動きをして、しゅるしゅる下駄箱の中へ戻っていった。
茉莉が恐る恐る自分の下駄箱を覗き込むとそこには刺激臭と自分の靴だけが残っていた。
「男子生徒？ 刺激臭？」
「八神君が辛子を投げつけたんだよねぇ、そうしたら『キサラギくん』は消えちゃった」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2016年08月07日
- 参加申し込みの期限
-
- 2016年08月14日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2016年08月14日 11時00分
