寝子高七不思議シリーズ：キサラギ君｜リアクション

寝子高七不思議シリーズ：キサラギ君

　桜庭円が図書館で2月14日という日付に焦点を当て、図書館で大量の新聞を探して出てきたのは20年前の記事。

　20年前の2月14日、場所は寝子高の下駄箱、時間は放課後。
　『衣更月雄（いさら・つきお）』という男子生徒が、持病の発作を起こして亡くなっている。

「ふむ……」

　どうやら噂と全く無関係というわけではなさそうな記事を見つけ、円は更に図書館に寄る前に入手していた過去の生徒名簿をぱらぱら捲る。
　その中であるページに目が釘付けになった。

「あれ、この人って」

『梅月初花』

　その名前に円は見覚えがあった。
　生徒でもない。
　教員でもない。
　しかし寝子校内で確かに見た覚えがある。

（どこだっけ……ええと、にゃーくんも一緒だった気がする。昼休み、放課後……あ）
　
　ピンと記憶の糸が繋がる。
　ばさばさと慌ただしく広げていた資料を片づけ、足早に図書館を飛び出した円は手をあげタクシーを呼び止めた。

「寝子高まで、超特急でね」