this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
花の妖精のお手伝い ~枯れ木に花を咲かせましょう~
<< もどる
1
2
3
4
5
…
12
つぎへ >>
【釣れた妖精】
「……真剣に心配になるのだけど、夏朝は少し不用心ではないかな?」
恵御納 夏朝
もとい別人格である夏夜は、痛む頭をおさえながら呟いた。
状況を見る限り、どうやらまた転んで頭を打ったようだ。
今までも何度かこのようなシチュエーションで自分が表に出てきたことがある。しかし、意識を失うレベルで頭を強打するほど豪快に足を滑らすというのは、そうそうあってはならないのではないだろうか。
今のところ大事には至っていないが、かなり本気で心配になる頻度だと思う。
パペットを外して、バックに大切にしまう。
夏夜は少し散歩して、身体の様子をみながら帰ることにした。
旧市街の中をゆっくりと歩いていく。
冬から春へ移り変わる寝子島の風景は美しいといってもいいはずだったが、特に興味はわかない。夏夜にとって、夏朝と彼女が大切にしているモノ以外はあまり意味はないのだから。
だから、通りかかった小さな公園の花壇の、さらに小さな異常に気がついたのは偶然だったのだろう。
「……蕾がない?」
花壇にはクロッカスが植えてあった。この時期から咲き始めるのか。ちらほらとではあるけれど、鮮やかな花は周囲に彩りを添えている。
しかし、その一角は緑色しかなかった。
病気なのか。誰かがいたずらで摘み取ってしまったのか。蕾のないクロッカス。
蕾すらつけられず、咲けずに終わるのは……。
自然、足を止めてしまった夏夜は、直後にもう一つの異常に気がついた。
花が咲いているクロッカスの後ろに、小さな人影がある。
背丈が20cmあるかないかの、人形のような大きさだ。
しかし、その瞳ははっきりと夏夜を見つめていた。好奇心に満ちた丸く大きな可愛い瞳。
クロッカスの花を逆さにしたような帽子をかぶり、葉でできている洋服を着た男の子。
「……まるで妖精だね」
いかに不思議な出来事が多い寝子島であっても、流石に言葉を失った。
害意は感じられない。むしろ子猫が興味津々にこちらを伺っている。そんな印象を持つ。
そのせいだろうか。夏夜はいつもならとてもしないような行動にでた。
夏朝が常時バックの中に携帯している猫じゃらしを取り出して、妖精のまえで振ってみたのだ。
……なにをしているんだ、僕は。
自嘲した夏夜が、猫じゃらしをしまおうと手首を返した瞬間だった。
「!!」
釣れた。おもいっきり盛大に釣れた。
妖精はまさに子猫のように猫じゃらしに反応して、クロッカスの影から飛び出すとじゃらし部分に抱きついて感触を楽しんでいる。
夏夜は一瞬硬直した。
なぜなら、実際のところ気まぐれに猫じゃらしを差し出しただけで、何かしようという意思がなかったからだ。
夏夜には明確な希望や望みが薄いから。たったひとつの存在に関することを除いて。
動揺しているわけではない。困っているわけでもない。
次になにをするべきかが、特に思いつかなかった。
ただ、猫じゃらしにしがみつきニコニコ笑っている妖精の少年は、それこそ子猫のようだったから、夏夜は唐突に夏朝が猫に対してよくしている行いを思い出した。
確か、とまた夏朝のバックを探す。
取り出したのは緑茶と「こねころころ」。カワイイ子猫を象ったおまんじゅうだ。
「食べる?」
猫じゃらしで遊んでいる妖精に、おまんじゅうを小さくちぎってそっと差し出してみる。
「!!」
釣れた。またも盛大な勢いで釣れた。
猫じゃらしから離れ、差し出されたおまんじゅうの欠片に飛びつく。
両手に余る欠片を抱え、夏夜を見上げて視線で語る。
食べていいの?
頷く夏夜が見たのは、はちきれんばかりの笑顔だった。
お菓子を食べ始めた妖精は、一口ごとにコクコクと頷きながら満喫しているようだ。
その時、夏夜は気がついた。
妖精の側にあったクロッカスの葉のなかに小さくも確かに蕾が出てきていることを。
ああ、なるほど。これでいいのか。
なぜ安心したのか。自分でもよくわからないまま、夏夜はちぎれて格好が悪くなった「こねころころ」を口にした。
ただそれだけなのに、妖精は満足そうに夏夜を見上げる。
「分け合うのが嬉しい?」
またコクコクと頷く妖精。
飲食が可能で、それが楽しいらしく、しかも分け合って食べると嬉しい。
ここまで来ると、もう他に選択肢が思い浮かばなかった。
「行こうか」
手を差し伸べると、何のためらいもなく飛び乗ってくる。
もう少し警戒するべきではないかと思うのだが、その無防備さが何故か心地よかった。
たまにはこんな経験もいいだろう。
あとで夏朝が体重計の上で頭を抱えるかもしれないけれど。
夏夜は「ごめん、夏朝」とつぶやくと、妖精と共に旧市街へ食べ歩きに出かけた。
どうもこの妖精は駄菓子に興味があるらしく、小さな駄菓子屋の前で強烈な反応を示した。もし尻尾があったとしたら、ちぎれんばかりの勢いで振りまくっただろう。
身体が小さいせいもあってか、望むお菓子もきなこ棒や金平糖といったものばかり。夏夜は密かに安堵した。
公園のベンチに座り、黄色の金平糖に苦戦しながらかじりついている妖精を眺める。
飢えているというよりは「食べる」という行為そのものを楽しんでいるようだ。
正直、夏夜はその感覚をうまく共感できなかった。
しかし。
妖精がふと気がついたように別の金平糖を持って自分に差し出してきたとき、なにかがかすかな音を立ててはまる。
無邪気な満面の笑顔で、お菓子を分け合おうとする妖精。
ああ、と小さなため息が漏れた。
相手が幻想ともいえる存在だから、素直に感じたのかもしれない。
そうだ。この世で最も大切な存在と今までもいろいろなものを「わけあって」きたのではないか。
それは夏夜にとって喜びとも悲しみともいえない不思議な感覚であり、だからこそ夏朝をより大切にしたいと願うのだろう。
「ありがとう」
金平糖を受け取り口に放り込むと、妖精はますます輝くように笑った。
夏夜は小さな甘い塊をゆっくりと味わう。
ほのかな甘さは思ったよりも美味しく感じた。
お腹いっぱいになった妖精は、さて、という風に立ち上がると、軽やかにホップ・ステップ・ジャンプして夏夜の肩にまで跳び上がった。
なにをするつもりかと冷静に見守っている夏夜の頬へ、一回。
軽い親愛のキス。
流石に驚いた夏夜が肩を確認すると、すでに消え去った後だった。
「……幸せに、ね」
小さな幻想的な出会いに残す別れの言葉は、とてもシンプルだった。
帰り際に、もう一度花壇を見に行く。
確信を持って、花壇の一角を見る。
そこには蕾すらなかったはずのクロッカスが、大輪の花を咲かせていた。
<< もどる
1
2
3
4
5
…
12
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
花の妖精のお手伝い ~枯れ木に花を咲かせましょう~
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿都
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
動物・自然
神話・伝説
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年08月05日
参加申し込みの期限
2016年08月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年08月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!