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花の妖精のお手伝い ~枯れ木に花を咲かせましょう~
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【執事の使命】
その日、
烏頭嫺 霓
は久しぶりの休日だった。
名のしれた食器会社の跡継ぎであり、寝子島の支店を任されている以上、本来は休日など無いに等しい。しかし、副店長が告げたのだ。たまには休んでいただかないと、部下が休めません、と。
方便だと分かっていたが、逆に言えば部下が気遣うほど根を詰めているように見られているということだ。
烏頭嫺自身はそれほどまで仕事に心血注いでるつもりではなかったが、副店長の心遣いを無駄にするのも良くはない。急遽一日だけ休暇を取ることにした。
思えば、寝子島に来てからあまりゆっくりと島を巡ることなどなかった。
だから普段行かないような星ヶ丘の教会付近を散策していたのだが、まさかこんな不思議に会うとは思っていなかった。
「……人形、ではないよな」
教会の側の花壇の側に、身長20cmほどの人影が文字通りひっそりと佇んでいる。
落ち着いた藍色の着物をきて、長い黒髪が美しい。切れ長の目は、鋭さよりもたおやかさを感じさせた。
そんな物語に出てくる妖精のような大きさの女性が、烏頭嫺を静かに見つめている。
思わず周りを見渡すが、他に変わったところは見当たらない。あえて言うのなら、花壇のある一角だけが明らかに育ちが悪い点ぐらいだろうか。
「はは、これは白昼夢……。いや、日頃の癒しを求めるサラリーマンへのメッセージ、かな」
自分の目が信じられず、ぼやくようにつぶやく烏頭嫺へ、妖精は穏やかに頭を下げた。
その流れるような仕草。凛とした品格。透き通るような眼差し。
烏頭嫺は己の中のスイッチが強制的に入ったのを自覚した。
幻覚か、実在か。それは分からない。
しかし確信を持って言える。
彼女は仕えるべき女性なのだ。
「ごきげんよう、小さなお嬢様。この私に出来ることがあれば、足となり手となり、なんでもいたしましょう」
胸に右手を添え恭しく礼を捧げた烏頭嫺に対して、妖精は微笑みを浮かべて頷く。
差し出した掌に乗ってもらいコートの胸ポケットへ誘導すると、恥じらうように頬を染めて視線を下げた。
「これは失礼いたしました。ですが、だいぶ暖かくなったとはいえ、風はまだまだ冷たくございます。どうぞこちらで暖をお取りくださいませ」
烏頭嫺の誠実な瞳を前に、妖精は頷き楚々として胸ポケットに収まった。
見上げてはにかむその姿は、儚い可憐さを感じさせる。そんな消えゆくような表情を目の当たりにしては、烏頭嫺でなくとも何かしてあげたくなるだろう。
まして執事モード発動中の烏頭嫺のこと。なんとかしてこの小さなお嬢様をもっと笑顔にしてあげたいと思うのは当然だった。
「それでは、参りましょう。気になる場所はございますか、お嬢様」
ゆっくりかぶりを振る妖精に、烏頭嫺は少し思案した後、歩き出した。
「ありがとうございました!」
店員の声を背中に受けつつ、コンビニから出る。
なんとなく感じていたが、やはり自分以外にはこの女性は見えないらしい。本来コートの胸ポケットに人形のようなものをいれた男性が入店すれば、それなりの反応があるはずだが、拒絶も興味もひかなかった。世間体も大切なサラリーマンでもある烏頭嫺からすれば、ありがたい。
妖精が選んだシンプルな塩むすびと温かなお茶を入れたビニール袋を片手に、星ヶ丘の外れにある公園へと向かった。
街を歩くだけで、妖精は頬を染め笑顔を浮かべている。まるで世間知らずのお姫様が、お忍びで下町見物に出かけているようだ。
その様子を胸に感じながら、烏頭嫺はなぜか心が穏やかになっていくのを自覚していた。
たどり着いた公園では、早咲きの桜が並んでいた。三分咲き程度で満開には程遠かったけれど。
和風な妖精を見たときに思い浮かべたのは花見の席だった。
我ながら少し短絡的だったかなと胸元を確認すると、妖精は夢見るようにため息を漏らした。
どうやらお気に召したらしい。
「それでは、お嬢様。少し早いですがお花見でもいたしましょうか」
桜の下にあるベンチに座り、胸ポケットからおずおずと降りた妖精とならぶ。
ウェットティッシュで手を清めた後、お米を数粒とって指先で器用におにぎりにし、海苔の欠片で包んだ。ペットボトルの蓋にお茶を注ぐ。
「このような器で申し訳ございません」
食器会社に勤める身としては不本意ではあったが、妖精に不満はないらしい。手を合わせて礼をすると、ミニおにぎりを受け取った。
二人して、早咲きの河津桜を眺める。妖精はおにぎりを少し食べただけで、心奪われたようにちらほらと咲いている桜を見つめていた。
やがて妖精はおにぎりとお茶を置くと、軽々とベンチから飛び降りた。着物姿にもかかわらず一切の乱れなく降り立つ様は、おもわずため息が出るほど見事だ。
「……お供すればよろしいのですか?」
妖精の視線を読み取る。会って間もない、しかも人外の存在の意思を言葉なく理解するのは、烏頭嫺に染み付いた執事としての能力だろうか。
さすがに妖精というべきか。20cmほどの身長で動きづらい着物姿のはずなのに、平然と烏頭嫺の先を行く。
着いた先は公園のすぐ近くにある雑木林。緑豊かな寝子島に点在する小さな林だ。
その中で、懸命に何かを探す妖精を見て、烏頭嫺はすぐさまコートを近くの枝にかけた。
「お嬢様。そのような瑣事は私にお任せください」
烏頭嫺は高級なジャケットやパンツが汚れることも厭わず、落ちた枝葉を取り除き、下草を払っていく。
妖精は期待を込めた眼差しで見守っていたが、急に飛び出し烏頭嫺の作業を止めた。
「それがお探しのものですか?」
包につつまれた小さな緑色の茎。妖精はどう見ても力のない芽を、子供をあやすようにゆっくりと撫で始めた。
不思議なことに妖精が撫でれば撫でるほどに、その茎はどんどん生気を取り戻していく。
いつしか蕾は大きくなり、鮮やかな黄色の花を咲かせていた。
「……驚きました。お嬢様は花の精でいらっしゃったのですね」
漏れ出た烏頭嫺の呟きに、妖精は微笑み優雅に礼をして、静かにその姿を消した。
後に残された福寿草の花を見ていた烏頭嫺は、ふと気がつき、もう一度星ヶ丘の教会へ足を伸ばした。
思った通り。寂しかったはずの花壇の一角には、黄色い花が美しく咲き誇っていた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿都
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
動物・自然
神話・伝説
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年08月05日
参加申し込みの期限
2016年08月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年08月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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