ふりふり☆　～平行世界鬼ごっこ～｜リアクション

ふりふり☆　～平行世界鬼ごっこ～

「はあ、は……、っひ……もう無理ィッ……！　音春君の体力ゴリラッ！」
　日課のランニングで持久力にはそれなりに自信があった陽毬が、遂にへろりとその場に崩れ落ちた。真白を捕まえようと走り続けていたのに、彼女が捕まった後にそのまま休まず次のターゲットの音春に向かったのが祟ったのだ。
「わーん、弟と年変わんない子に負けたぁ」
「悪いねポンポコ」
　音春が陽毬のタヌキ尻尾に触れると、彼女の姿が消える。しかし転送された檻ごとまた音春の近くに現れた。
「もうすぐ決着つきそうだし、参加者の皆には近くで見せてあげるね！
　……ねーねー聞いてる？　おーい！」
　鬼ちゃんの声を無視して騒ぎ続ける檻の中の惨状に、音春は眉を思い切り寄せた。
「なんだありゃ酷ぇな」
　思わず動きを止めていたが、弾かれたように首を回した。近くまで来た武道が、音春を見つけて反転しようとしていたのだ。
「逃がすかッ！」
　走り出した時、足音がもう一つ重なった。それも音春より早い。
　刀がバネに弾き飛ばされたようにしなやかに伸縮する足で地面を蹴り、一気に力を解き放つような爆発力で武道の尻尾に飛びついたのだ。
　次の瞬間には武道の姿が消えた。
　彼が収監されたのだ、１点が刀へ移った。展開は目まぐるしく、そこへ誉が駆けてくる。
　狙いは音春の尻尾だ。
「３点貰うぞ！」
「取らせるかよ！」
　音春のスニーカーのゴム底がきゅっと地面を鳴らした。彼の３点を奪取できれば優勝が見えて来る。
　反転する背中に伸びる刀の手、追いつこうとする誉。
　と、そんな時だ。

「カウントダウン開始」

　ぼそりと聞こえた声に、反応した時は既に遅かった。
　始めに誉が、次に刀が、最後に音春が、数秒の間隔をおいて、檻の中に収監されていたのだ。誰もがこの唐突な決着に、首を傾げている。
　そんな時に、まさに突然と言った体（てい）で、佐藤英二の姿が檻の外に現れた。
　否、英二はずっと皆の近くにいたのだ。常に漁夫の利を狙い続けていた彼は、隠れ場所から出て行く際に、周囲から自分の存在を『赤の他人』と認識させるろっこんの能力を使用し、泉から２点をとり、争う３人から５点をせしめたのだ。
　どこから見ても平凡で、可もなく不可もないフツウの高校生の英二が、圧倒的な力で皆を打ち負かしたのだ。
「７点でぶっちぎり、英二の優勝だよ！」
　鬼ちゃんが拳を振りながら言うと、皆が拍手で讃える。
「まさか上手くいくとは……」
　謙遜した言葉を吐いたものの、夜の動物園で走っていたシチュエーションも相まって、ちょっと自分がカッコよく感じられて、芝犬の尻尾を揺らす英二だった。

「皆で本気で遊ぶのって楽しいよね」

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あとがき

担当マスター：東安曇
ファンレターはマスターページから！

シナリオにご参加頂き有難うございました、東安曇です。
今回のシナリオはPCさん対PCさんになる場面が多かったので、色々なパターンでプロットを試してみました。
どのパターン中でも獲得点数が高かったアクションたちは、
『基本作戦は〜』『〜の場合はこうする』『逃げ方は〜』『捕まえ方は〜』と、状況に合わせて細かく作戦が練られていたものでした。
その他にもコメディ調や、ろっこんを生かしたものなど、見応えのあるアクションがいっぱいで、判定する側も楽しませて頂きました。
リアクションからも盛りだくさんな空気が伝われば幸いです。

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【総合獲得点数】敬称略
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＜０点＞
朝野未沙
虚金俊通
伊橋陽毬、イリヤ・ジュラヴリョフ、大道寺紅緒、高知竹高、幌平馬桐、美希（御幸若葉）、水海道奏、日本橋泉

＜１点＞
雨寺凛：（高知竹高）
白真白：（水上桜）
水上桜：（白真白）

＜２点＞
志波武道：（大道寺紅緒、幌平馬桐）
猫屋敷姫：（虚金俊通、水海道奏）
御剣刀：　（美希・御幸若葉、志波武道）

＜３点＞
水海道音春：（猫屋敷姫、伊橋陽毬）

＜４点＞
市橋誉：（イリヤ・ジュラヴリョフ）

＜７点＞
佐藤英二：（日本橋泉、市橋誉、御剣刀、水海道音春）

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