ある晩のこと、
御剣 刀は日課の素振りをしようと寝子島神社の境内に居た。
「ん? あれって——」
刀袋の紐を抜こうとした手が止まる。彼の目には、月明かりに照らされた、晴れやかな着物を着た童女が映っていた。
「
鬼ちゃんじゃないか。こんなところでどうしたんだ?」
童女は以前刀たちを
『平行世界の寝子島でのこおり鬼』に誘った不思議な存在だった。声をかけられた事に気付いて、体育座りのまま覇気のない顔をこちらへ向けてきた。
以前の彼女は他人を振り回しまくる元気な子だったのに、どうしたのだろう。
「今日は遊ばないのか?」
「……この間は朝イチに連れて行ったら、すこぶる不評だったじゃん?」
「イキナリだったしな」
「だから鬼ちゃん気を使って、今日は夜にした訳。んで、ちゃーんと一人ずつ声をかけようとしたんよ。
そしたらさあ。
最初に行ったところでは『録画してた推しのお当番回もう一回リピるから、あと30分待って!』」
「ああ……」
その人物が誰かを察した刀は頷いた。
「次の男子ところでは『部屋に入るときはノックしろつってんだろ!!』って」
「お取込み中だったんだな」
「パソコンの画面にな、えっちで綺麗なお姉さ——」
「やめてやれ。男には色々あるんだ」
「そんで次んところ行ったらもうベッドに居たんだよね。
でも寝てなかったみたいで『あと1時間待って』って言われて、鬼ちゃん分かったって言おうとしたら、そいつの傍に半裸の——」
「んっんー!!」
刀が赤くなって咳払いをすると、鬼ちゃんが背中をペチペチ叩いてきた。
「なーんちゃって。本気にした? きゃはは!」
訂正。
本日も鬼ちゃんは絶好調の模様である。というか下ネタばかりじゃないか!
「それで今日はどんな鬼ごっこをするんだ?」
「今日はねー、『
しっぽ鬼』!」
鬼ちゃんはすくっと立ち上がり、「しゃらんらー☆」と片手を振った。
気がつくと服の隙間から、動物の尻尾が顔を出していた。
「おおっ!」
驚くとピンと立ち、興味深く見ているとフリフリ揺れる。どうやら『本物』のようだ。
なお、頭の上にも動物耳があるが、これは「かわいいからついで」だそうだ。
「
この尻尾を触られるとー、鬼になっちゃうの!
制限時間の間にいっぱい触れた人が勝ちってルールだよ♪」
「へええ」そんな鬼ごっこもあったっけ? 刀が幼い頃を思い出していると、鬼ちゃんは「これさァ」とニンマリ笑った。
「小学生でも年上になってくるとあんまやらなくなっちゃうんだよね。なんでか分かるぅ?」
「……なんでだ? なかなか面白そうじゃないか」
「でもぉ、尻尾に触ろうとすると……?」
「すると——!?」
「むっふっふー。お尻に触っちゃったり、下着が見えちゃったりするんだよぉっ、ひょひょっ」
むっつりさんな刀は、鬼ちゃんに見えないところで密かに拳を握った。
(素晴らしい鬼ごっこだな……!)
皆さんこんにちは、東安曇です。
今回のシナリオは
ラッキースケベ回!!『平行世界の寝子島でしっぽ鬼』をするストーリーです。平行世界も時間帯は夜になります。前回の鬼ごっこに未参加のPCさんも、バッチリご参加頂けます。
もちろんろっこんを使用しても構いませんが、人間対人間のお遊びなので、過度な暴力描写は致しません。過度なセクシー描写も致しません。全てコメディ風になります。
今回の判定はハードでもありませんが、PCさん同士で鬼ちゃんが挙げたような『事故』が起きてしまったり、それによって『なにすんのよー』『破廉恥ですわ!』『えっちぃ事は嫌いです』的な制裁にあってしまう可能性が大いにございます。予めご了承の上でのご参加をお願い致します。
因みに毎度の事ですが、鬼ちゃんは探したり捕まえようとしたりしても上手くいきません。予めご了承ください。
ルール
今回は参加者に鬼と子の区別がない鬼ごっこです。
相手の尻尾に触れると、点数が1点ずつ加算されます。(NPCは加算点数が高いものもいます、詳しくは下記をご覧下さい)
鬼ちゃんがゲーム終了を宣言した時点で、点数が一番多かったPC(及びNPC)が優勝です。
尻尾を触られたPCは、その時点で脱落になり、鬼ちゃんによって檻の中に収容されてしまいます。
▼場所
平行世界のまたたび市動物園(I〜J、5〜6辺り)の夜が舞台になります。
細かく気にする必要はございません、大きな敷地で、緑に溢れ、隠れるところが多い場所と認識してご参加下さい。
参加者以外に人はいませんが、動物はいつもと同じように檻の中に居ます。しかし参加者を仲間だと認識しており本気で襲ってくる事はありません。
▼尻尾について
参加PCは漏れ無く動物の尻尾と耳がはえます。
動物の種類はアクションにご指定頂かなかった場合、柴犬のようなものになります。
長さの指定はなく、多少短くても構いませんが、尻尾を捕まえる遊びなので、余りにも有利になりそうなものは自重頂けると有難いです。
NPC
▼鬼ちゃん
PCを平行世界に誘う自称『鬼ごっこの妖精』
何もかもが適当でいい加減ですが、鬼ごっこを見るのを楽しんでおり、参加者がやる気を見せないと怒ります。
本気で誰にも見つからない場所に隠れると、位置をバラしたりと悪戯を仕掛けてくる可能性があります。ご注意下さい。
※以下、ゲーム参加NPCです。
全て捕まえる必要は有りません。点数加算用にモリモリ用意してみましたが、逆に襲われる可能性もありますのでご注意ください。
下に行く程、難易度が高いNPCになり、加算点数も高くなります。NPCがつるんで行動している事もあり、一発で逆転のチャンスも……?
リンクのないNPCはマスターページの一番下の相関図をご覧下さい。
【1点】
▼大道寺 紅緒:ネコ
寝子島高校1年のライトノベル作家。体力皆無。服が派手過ぎて隠れてもすぐ見つかるでしょう。
ろっこん*使用しません。
▼美希:ヒョウ
陽毬の友人のモデル。運動神経は良いですが、やたらと良い香りがするので、位置は分かりやすいです。
このキャラクターは人間です。
▼高知 竹高:イヌ
寝子島中学2年、バンドのギタリスト。全てにおいて平均的。積極性はありますが、ラッキースケベ耐性は有りません。
ろっこん*肩を叩いて迷子になっちゃえと告げると、対象を一定時間迷子にすることが出来る。
▼幌平 馬桐:ネズミ
寝子島中学1年、バンドのキーボーディスト。基本的に平均値ですが、身長について触れるとブチ切れます。
ろっこん*使用しません。
【2点】
▼伊橋 陽毬:タヌキ
寝子島高校1年のプロコスプレイヤー。体型維持の為に運動をしており、持久力はありますが、瞬発力はありません。
ろっこん*対象に触れながらハミングでワンフレーズ歌うことで、相手を眠りに誘う。
▼水海道 奏:ウサギ
寝子島小学校4年生のドラマー。すばしっこく、隠れるのも得意です。
ろっこん*有無不明。
▼日本橋 泉:オオカミ
寝子島中学3年、バンドのベーシスト。体力面は不明。隠れるのは物理的に難しいみたいです。
ろっこん*対象に両手で触れながら視線を合わせると、対象がトランス状態に陥る。
【3点】
▼水海道 音春:トラ
寝子島中学2年、バンドのドラマー。体力バカです。
ろっこん*じっと相手の目を見て念じると、対象が地味でくだらない不幸に陥る。
【4点】
▼イリヤ・ジュラヴリョフ:ネコ(また)
寝子島中学3年、旧市街のカフェの末っ子。持久力はありませんが……。
ろっこん*手を前に出して念じ、氷塊を飛ばせる。