おしゃれ日和｜リアクション

おしゃれ日和

　☆水泳とスキンケア

（今使っている化粧水、そろそろ切れかかってるしね……）
　仙藤紫は、シーサイドタウン駅ビルmiaoへ買い物にやってきました。
（服や靴はこの前買ったばかりだけれど）
　ちょうど使っていた化粧水がなくなりそうなので、どうせなら他にも化粧品を見て気が向いたらなにか一、二点ほど買おうかな、と思います。
　もうすぐ女子大生、しかも紫は年上に見えがちな美人なのです。
　おしゃれに手を抜くわけにはいきません。
　コスメなどを売っているフロアへ行くと、お店の人がにこやかに声をかけてきました。
「いらっしゃいませ、何をお探しですか？」
「化粧水に……乳液やクリームも見たいのですが」
　紫が答えると、
「かしこまりました。こちら、新商品のシリーズでございます」
　手際よく基礎化粧品を持ってくると、店員は紫の肌を見つめました。　
「お客さま、肌がお綺麗ですねえ。何か特別のケアをされているんですか？」
　うらやましそうに言います。
「いえ、そんな……水泳部に所属していて、冬でも屋内プールで長時間水の中にいることが結構あるので、スキンケアには気を使ってますけど、特別というほどでは」
　微笑んで紫が言うと、店員さんはアイシャドウで彩られた目を大きく見開きました。
「まあ、水泳部ですか。しっかりお手入れされてますね。私の妹も水泳をやってるんですよ」
「そうなんですか？」
　紫も驚きました。
「長時間水の中にいると、角質が柔らかくなってどうしてもお肌がふやけてしまうんですよね」
　２０代とおぼしきバッチリメイクの店員さんは頷きながら言います。
「ええ、プールから上がった直後の洗顔はタブーなんですよね。化粧水と肌の保護をしてくれる乳液やクリームで素早く肌をケアするのが一番って」
「そうなんですよ！　良くご存知ですね。アフターケアをしっかりやれば、水泳ほど美肌効果の高い運動はなかったりするんです」
「ああ、水圧でマッサージ効果があるんですよね」
　店員さんの熱心な話に引き込まれ、つい話がはずんでしまいます。
「あ、それじゃこの化粧水と、乳液とクリームもお願いします」
「ありがとうございます。お客さまはシンクロの方ですか？」
「いえ、普通の水泳ですけど……」
「それじゃ水中じゃアイメイクはされませんね。せっかくお綺麗なのですから、ぜひ陸上でお化粧なさってください。お客様にはこちらのお色なんかお似合いだと思いますよ。よかったらお試しください、どうぞ」
　そう言うと、店員さんはルージュやアイシャドーなどの試供品を持ってきて勧めるのでした。
「そうですね……実はまだ高校生なので、アイシャドーは慣れていないんです」
「お任せください！」
　紫は店員さんのアドバイスを受けながら、アイシャドーのテクニックを覚えていきました。

「ありがとうございました！　またお待ちしております」
　ルージュやアイシャドーなど自分でも気に入ったものが購入できて、話も弾んだことに満足しながら、紫はコスメフロアを後にしたのでした。

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