this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
巨大迷路と夢と巨人
<< もどる
1
…
3
4
5
6
7
●
作戦には、皆が足並みを揃える必要があった。適切なタイミングで、適切な能力を完全に行使できなくてはならない。
ゆえに、まず巨人をキルゾーンへ誘導する必要があった。その役割を担ったのが、常闇だ。その間は誰も助けに入れない、最も危険な役割の一つだ。
「……危険な役目は」
慣れています、と彼女なら続けただろうか。しかしその語調は諦念や厭倦によるものではない。あるいは、それは優しさか、誰かを一番守れるという誇りか。彼女の表情からそれを正確に窺い知ることはできない。
彼女はその身軽さと夏朝のろっこんによる軽量化を最大限まで活かして壁上で疾駆し、跳躍し、着実に、確実に巨人を仲間たちの待つ場所へと連れて行く。
キルゾーンへ到達すると、そこで待っていたのは八千穂だった。役目を終えて、音もなく速やかに離脱する常闇とバトンタッチするように、彼女は「こっちです!」と声を張り上げる。当然、巨人はすぐさまターゲットを八千穂へと変更した。
八千穂の視界。悪鬼のような巨人が迫り、その棍棒を振り上げる姿が見える。
――ふと、その棍棒からビシリと音が鳴った。振り上げられた棍棒が、まるで弾けるように破裂する。修のろっこん“分解”の進化能力による遠隔分解だ。
「――――」
彼はそのまま息継ぎもなく、研ぎすませた精神で第二の進化能力を駆使し、破片を操る。狙う先は、個眼の巨人のその瞳。まるで指揮者のように手を振るうと、それらは一斉にそれぞれ指向性を持って目標へと殺到した。
ほぼ反射的と言って良い速度で瞳を腕でかばう巨人。破片たちはその瞳に届くことはない。
「それで良い。お前ならそうするだろうと読めていた」
幾度とないろっこんの高頻度の使用で、精神も呼吸も疲弊させた修はそれでもその口元には不敵な笑みが浮かんでいた。
その根拠は、果たしてすぐに現れた。息を殺して潜伏していたサキリがそのろっこんを使用して瞬間転移し、巨人の腕で覆われた眼前に現れたのだ。その手には、赤熱したかのように赤く輝くナイフが握られていた。
“斬空赤刃”。その進化能力。サキリがナイフを振るうと、巨人の腕が、目が壊れる。その性質は鋭利な斬撃ではない。ただひたすら純粋な、超常的とすら言えるほどの破壊だ。極々短時間しか振るうことのできないそれは、それでも絶大な力だった。
巨人が初めて、苦悶の絶叫を上げた。目を覆い、もがき苦しんだ。
――けれど、怪物はまだ倒れていなかった。ダメージはあった。けれど致命傷からは程遠い。単眼そのものはそれの弱点ではなく、怪物の主な知覚は視覚ではなく聴覚だからだ。
ゆえに、もうひと押しが必要だった。
「ここです! 私は、ここにいます!」
盲目の巨人へ向けて、八千穂が再度声を上げる。
怒号を上げて、隻腕を振るう盲目の怪物。それと真正面に見据えた八千穂の抱く感情は、恐怖ではない。――誰かを守りたいと思う、願いだ。
八千穂の脳裏でカウントダウンが始まる。腕を交差し、防御姿勢を取る。巨人の殴打は、すぐに来た。
常人では四肢のいずれかが曲がってしまうほどの衝撃。――けれど今だけは、およそ八千穂は常人ではなかった。
「――8秒を、8回。合計で64秒間」
泣き出しそうな表情で、けれど懸命に涙を堪えて、八千穂は巨人へ向けて、言う。
「その間、私があなたを止めます!」
“8 seconds hero”。8秒間を8度だけ、その身体の耐久力を強化する八千穂のろっこんだ。
八千穂の言葉に逆上したかのように、狂気的とすら言える叫び声と共に怪物は再度その隻腕を振るう。八千穂に対抗する手段は、無い。彼女ができることは、ただ耐えることだけだ。
大振りな一撃。いくらろっこんで強化された耐久力と言えど、無敵からは程遠い。加えて、時間制限もある。時間が来るか、あるいは腕力による過剰な攻撃を受けてしまえば、八千穂は間違いなく死んでしまうだろう。
そう、彼女一人なら。
「スパイダー・スパイダー!」
壁上からの声と共に、八千穂へと振りぬかれた腕へと白いクモ糸が射出される。まもるだ。
「ヘイ、さっきは俺のクモ糸引きちぎってくれたらしいな! そんな欲張りボーイには俺から出血大サービスだ、パンチェッタで乾杯しとけ!」
彼は執拗に振り抜いて接地した隻腕へ向けてクモ糸を連続射出する。
大振りな攻撃の振り抜き際、体勢を整えることもできずに巨人は幾重にも重ねられたクモ糸によってその腕を固定されてしまう。
けれど――けれどそれも一時の気休めにすぎないだろう。巨人はいずれ体勢を整えて、その怪力によって再びクモ糸を引きちぎってしまうのだろうから。
そう、気休めに過ぎない。それと同時に、それは明確な“隙”だった。
「今だ、赤毛ちゃん!」
まもるの呼びかけに応じるように、猛然と走り寄り、巨人の隻腕へと手を伸ばす人がいた。
「――がちゃん!」
ニナだ。彼女はそのろっこんによって、隻腕とそれに接していた地面とを結合したのだ。
隙が隙を作り、布石が布石を打つ。連綿と続いた皆のチームワークによって今、巨人はその両腕を完全に封じられ、無防備を曝していた。
「今です――御剣さん!」
耐えるように機を伺っていた御剣が、応、と答えて駆け出す。
ガチン。撃鉄の落ちるイメージ。それと同時に、世界の動きが鈍くなる。
彼はゆっくりとたゆたうような速度の世界の中で、巨人へと接近し、その破壊された単眼を掻き分けた。
瞳の奥。そこには刻まれた文字があった。
「EMETH……」
刻まれた単語の意味は、真理。単眼の巨人の正体は、改良されたゴーレムだった。本来ならば同意を必要とするニナの“錠前師の束縛”が機能したのも、そして日本刀の刃すら受け付けないほど異様に堅かった皮膚も、巨人がゴーレムだったがゆえにだろう。
刀は日本刀を逆手で持ち、大上段に構え、そして“EMETH”の文字へと突き立てた。
ゆっくりと過ぎ去る世界の中で、音を置き去りにして、確かな手応えだけが刀の手に伝わってくる。“EMETH”の最初のEだけが削られ、単語は“METH”へと変様した。――“死”という意味だ。
――鈍化していた時間の矢が、再びその勢いを取り戻す。刀が巨人から飛び降りた時には、かつて絶対的な暴力を振るっていた怪物は、砂の山になっていた。
「……私たちが、勝ったのか」
影で八千穂を回収していた桜 月が、信じられないように呟いた。
誰ともなく、頷き、顔を見合わせ、こう言った。
「ああ、勝ったんだ」
それぞれ少なからぬ負傷を負いながらも、暴威へと立ち向かい、それを打ち倒した。
あるいは歓声を上げ、あるいは涙を流し、あるいは静かに微笑む中、皆の視界が白く染まる。
現実への、帰還だった。
<< もどる
1
…
3
4
5
6
7
このページにイラストを設定する
あとがき
担当マスター:
豚野郎
ファンレターはマスターページから!
この度は大変お待たせしてしまい申し訳ございません。
また、並びに今までお待ち頂き感謝の念に絶えません。
これにて「巨大迷路と夢と巨人」は終わりです。
お待たせした分、楽しんで、ご満足頂ければと思います。
↑ページトップに戻る
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
巨大迷路と夢と巨人
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
豚野郎
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
バトル
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月29日
参加申し込みの期限
2016年08月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年08月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!