寝子島スペシャル！寝子島探検隊！人食いマンボウは実在した！｜リアクション

寝子島スペシャル！寝子島探検隊！人食いマンボウは実在した！

「ボクは……これは、気づいてしまったよ……」
「どういうこと？」
「みんな、何かをごまかそうとしているじゃないか」

「ということは……」
「『陰謀』さ！」
　力強く言い放つ円。
　何時の間にか、一同が周りに集まっている。
「どうしたんだ、北原」
「ちょっと頭が」

「『陰謀』？」
「ボクらは、なにか触れてはいけない真実に触れようとしているんだ。知ったら消される」
「人食いマンボウ？」
「それだけじゃない。
　大いなる謎を隠すために、何をするべきか……。
　それは小さな真実味のある嘘をならべて、隠してしまうんだ」

　人食いマンボウ。
　毒サンマ。
　安土桃山時代の、秋刀魚を斬ったという妖刀の伝説。

　どれも、人の心を惑わさずにおれない、魅惑的な謎。

「察するところ、ＭＪ－１２００００、はたまたイルミニャティ、シルバードーン……」
「なにそれ」
「宇宙人」言いかけて、円は首を振る。「知らなくていい。知れば、命が危うい」

　はっと気づくののこ。そういえば一人だけ、ずっと足を引っ張っているような人がいた！
　彼が、愚鈍なふりをして、何かの調査にたずさわっていたとしたら……。

　泥まみれのネヴィアが、そのときののこの前に這い出してきた。うめき声で一言。
　
「……の……」
「……罵ってくれ……」
（のの、知ってくれ！）
　ネヴィアの、最後の願い。

　のの、って言う風に呼ばれたのは新鮮だが、なんかフランスっぽくってお洒落だ。
　たまらずののこは、ネヴィアの手をとって叫ぶ。
「バカだなー！　初めから、そう言ってくれればいいのに！」

（馬鹿者め）
（初めから、そうお云いなさいな）
「ああ……」
　幼少の頃の罵り声と同じ響きの、どことなく母性を感じる叱り声に、ネヴィアの心は涅槃に飛んだ。

「知ったよ！　今知ったよ！　これは宇宙人の陰謀なんだね！」

　サムズアップされた指が、沼に沈んでいく。
　これは外すことができない、俊通、ばっちり「お約束」をカメラに収める。

　――何とか、無事にすんだようだな。
　ノートから目を離し、目頭をもむ俊通。
　各自で状況好転のために動いてくれる連中と動けたので、何とか事態は収拾できた。
　自分も力になれたようでうれしい。
　彼らとまた、行動をできたりすると、自分を発揮できるチャンスかもしれない。
　――まあ、今回みたいなことは二度と御免だけどな。

　数日後、俊通が受け取ったメールを見て、

『寝子島探検隊第三弾！　宇宙から飛来した謎の生物、宇宙マンボウの正体は？
　探検隊空へ！　宇宙人の秘密計画の真実とは！』

　の文字に、舌打ちを連発することになるとは、今の彼はまだ予想もしていない。

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