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回向亭茶話 ~三世を渡る
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朝鳥 さゆる
がその路地に差し掛かったのは偶さかのことだった。
仮初の寝床を離れ、行くあても特にないままに街を歩き、気の向くままに店を冷やかして歩く少女。
――にゃあ。
普段ならば気にも留めない、猫の鳴き声。
ふと視線を飛ばした先には、見知らぬ小路。
これはまだ仮宿で見る夢の続きなのだろうか。気の向くままに歩み入った彼女は、そこでその店を見つけたのだ。
珈琲、ね……。
これが夢なら、苦い珈琲でも啜れば目が覚めるだろうか。
醒めたとして――その先には、何もありはしないのでしょうね。
ふと浮かんだ思いへ返す、ただ淡々とした心中の独白。
小波すらも起きない心に軽い諦観を抱きながら、少女はその店の敷居を跨いでいた。
「さゆる、早く起きなさい」
朝早く、窓の外で冬の寒さを訴える鳥の鳴き声を微睡みの中で楽しんでいたさゆるに、部屋の外から声がかかる。
「もう、少し~」
高校に入ってからというもの、背の高さを見込まれ誘われたバスケ部で、練習に明け暮れていた彼女にとって朝の最大の敵は、低血圧であるその体質だった。
朝練が課されている一日の始まりは早く、そしてそれは母親の協力なくしては乗り越えられない日常の壁。
「ほら! さっさと起きなきゃだめじゃないの!」
口うるさい母だが、きちんきちんと娘の予定を把握し、それに合わせて朝食とお弁当を用意してくれる。――これで無理やり布団をはがす癖さえなければな……。
ぶつぶつとつぶやきながら用意されたフレンチトーストとバナナで朝食をとる。添えられたコーヒーで、ようやく目が開いてきたさゆる。その前で、父親が読み終えた新聞をゆるりとした動作でたたんでいた。
「部活は順調かい?」
「ん、ふつうよ」
「そうか、ふつうか」
苦笑して父が、机上の珈琲を飲みほした。
「普通はいいことだ、楽しめよ」
出勤の時間は、席を立ち、さゆるの傍を通り抜けざまにそういって、軽く頭を叩いていった。
寝子高への登校路。
「おはよー! さゆりんきょうもかっくいーねー!」
「おはよう――また遅刻?」
「そそ! 中々これが朝起きられなくってさー……って、さゆりんもでしょ! じゃーあちしはこれで~!」
陸上部に通う友人が、心持ち速足で歩いていたさゆるを置き去りにして、疾風のように去っていく。
その後ろ姿を見、そして腕時計に目をやったさゆるは、ふぅ、と一つため息をついた。
「起き抜けで、どこまで走れるのかしら……」
迫るリミットを自覚し、さゆるもまた、顧問の怒鳴り声を回避すべく、駆け出していく。
「つっかれたー」
ばた、と倒れ伏した少年を前に、さゆるはアイスティーを飲みながら、Cutie Kittyを開いて眺めていた。
ニャブンイレブンの店頭にあるイートインコーナーで、部活帰りの相方を待って一服をしていたら、到着早々に当の相方は倒れ伏したというわけだ。
ぱらり、ぱらり、頁をめくる音と、軽快なテンポのアナウンスだけが、二人の間に横たわる。
「さゆる、慰めてくれないの?」
「……なんで?」
どうせいつもの愚痴でしょう?
「くっ……!」
愛情がない! そう叫ぶ少年の頭をわしわしと撫でながら、さゆるはふと携帯の通知が光っていることに気付く。しまった、そろそろ門限じゃないか。
届いたメールを開けば、案の定、母からの連絡しなさいメールだった。
「もぅ、ちょっと遅れただけでこれなんだから……」
「げ、もう門限?」
うん、そう。生返事をしつつ、今から帰ります、と返信する彼女に、少年が笑いながら、真面目だよなぁとつぶやく。
そんな少年の背中をぱん、とたたいてさゆるは立ち上がった。
「またあとでメールで、ね――バイバイ」
しょうがない、ゆるしてやらぁ。
ばぁか。
そんな他愛もないやりとりで、店を出たさゆる。
メールが続けざまに、2通。
『さっさと帰ってきなさい。帰ってきたらお説教です』
『母さんに何かデザート買ってきてくれって頼まれたんだが、何か欲しいのあるか? メインが生姜焼きだから、あんまりおしゃれ過ぎない奴って言われたんだがどうしたもんかな』
ふ、と思わず噴き出した。
きっと帰ったら母は連絡なしに遅くなったことを怒るだろう。
がみがみと続くお説教。部屋に逃げ込んだら、しばらくしてごはんに呼び出されるのだ。
不機嫌で降りていけば、並んでいるのは好物の生姜焼き。そして席についたころに、父が甘味をもって帰ってくる算段というわけだ。
我が母ながら、ぬかりない算段だし、それを無意識に漏らす父も、和ませてくれる。
さて、精々拗ねて見せなければならないのでしょうね――いつの間にかついた我が家の扉を前にして、さゆるはうん、と一息ついた。
扉の向こうに待つ、幸せな普通の家庭に、今日も帰るのだ。
『お前さんもくぐってみるかい?』
妙に老成した声の、二十歳過ぎのお坊さん。それが彼女がマスターに抱いた印象だった。
馬鹿げた話。そう思いながらも、ほろ苦い珈琲を飲み干し、どうせ日頃から悪夢のような現実だものね、と話に乗ったのは、確かに自分だった。
悪夢の方がまだマシよ……。扉を潜る前に彼女はそう言い捨てた。
戻ってきた今、扉の前で彼女は声もなくへたりこむ。
悪夢の方がまだマシだったわ――。
似たような言葉だが、意味は違う。
物心ついたころには、さゆるの周りに両親がいることは稀だった。
夜、帰りの遅い両親を待ちながら、彼女は雷鳴響く嵐の夜も、ただ淡々と、感受を薄め、抱きしめる手のいらない日々を送ろうと努めていた。
決して、両親の愛情を感じなかったわけではないのだ。
だが、ほしい、と思う時に常に差し伸べられる手がなかったことも、また事実。
ネグレクトでも受けていた方が――愛情という寄る辺などない方が、どれだけ幸せだったことか。
扉の向こうに見たのは、もしさゆるが、その手を求めていることを両親に告げており、そしてそんな日々が続いたならば、あったかもしれない世界。
心の奥底。自覚していたかすら怪しい願いを、まざまざと見せつけられたのだ。
「……心なんて、いらない……心なんかあったって、つらいだけだもの」
こんな時でも、さゆるの身体は涙を流さない。
いや、精神が、流すことを許さないのかもしれない。
へたりこんだまま、ひざを抱え、頭を沈みこませる少女。
マスターである坊主は、そんなさゆるの姿を横目に見つつ、静かに珈琲を入れていた。
言葉は交わされない。
ただ、焙煎された豆の香気が、静かに二人きりの店内を満たしていくのだった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
蒼李月
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
神話・伝説
定員
15人
参加キャラクター数
12人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年05月30日
参加申し込みの期限
2016年06月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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