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回向亭茶話 ~三世を渡る
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「猫さんを見かけて、その縁で…お店、見かけたので」
これは、可愛らしいお客様だ。
扉を潜った瞬間、リングベルの音色とともに声をかけられて、思わず
恵御納 夏朝
はそう言った。
年寄とも、青年とも聞いていて、ただ「坊主」というだけが共通していた噂のマスターは、若い青年だった。
「何がいいかな? 珈琲はまだ、はやい?」
「あ、いえ……それで」
くぅ。小さく胃がなって、頬が染まる。
そんな夏朝を見て、マスターが小さく笑って片目をつぶって見せた。
「サンドイッチでも?」
「あ……はい!」
ではそこにお座りなさいな。
カウンターの一席に腰を落ち着けた夏朝。
その目の前で、マスターが手早く挽きたてらしき珈琲豆を取り出した。
わずかに豆の形が残っているかのような頃合いの粒が、間接照明の光をほんの少しだけ反射している。
沸騰したお湯が不思議な器具の下側の丸いガラス球に注がれた。
ついで、少し傾けられた上の部分に先ほどの粉が静かに投入される。
アルコールランプに点けられた火が、ゆらゆらと揺れて煌めいていた。
「サイフォンは、初めて見る?」
興味深そうに眺めていた夏朝に優しい声がかかる。
見ればいつの間にか取り出したパンの耳が手早く切り落とされ、レタスやチーズ、ハム等の形が整えられているところだった。
「サイフォンっていうんですか――こういう風にして、淹れるんですね……」
「少し気難しい子だけどね。慣れるとこいつの方が淹れやすくって」
はい、どうぞ。
とりかかり始めて2,3分もしないうちに、サンドイッチが供された。
「奢りだから、遠慮なく――おなかをすかせていると、美味しい珈琲も飲めないし……悩みも、中々出てこないだろう?」
はっ、と夏朝が顔を上げると、マスターが少し肩をすくめて笑って見せた。
おあがりなさい。
言われるままにサンドイッチに手を伸ばす。そんな夏朝に一つ肯いて、禿頭の青年は小さくサイフォンの上ボールをきっちりとはめ込んだ。ゆっくりと、湯が下から上へと上がっていく。
そんなお湯の動きに誘われるかのように、夏朝が食べかけのサンドイッチをお皿において、言葉を紡いでいた。
「このお店の噂……『不思議な扉がある』って噂……本当ですか?」
竹べらで上がってきたお湯と豆をかき混ぜていたマスターが、小さく首をかしげる。
「扉は色々あるよ。トイレへの扉、裏口への扉――そして、そこの開かない扉」
目線をやれば、ノブのない扉があった。
「あれは確かに『不思議な扉』でね。開けられる人が入ってくると、いつの間にかノブがついてるんだ」
だから、君には開けられない扉みたいだ――なんてね。そういうマスターに、一つ夏朝は肯いた。僕は噂を知ってはいたけれど、入るには何かが足りなかったのかも。なんとなくそう納得できたのだ。不思議の噂、そのつながりが、なんとなく正月に聞いて実践してみた噂を思い出させる。
「少し……聞いてほしいです」
夏朝が語ったのは、正月に自らが噂を頼みに行った祈り。彼女の中にいる、今一人の自分――夏夜という少女がいるのだということ。そして、もし叶うなら……そんな彼女と一緒に、まわりのみんなと、フツウの生活を送りたい。そんな願いをしたのだと打ち明けた少女に、マスターは静かに珈琲をカップへと移しながら、応えた。
「それで、あなたはどうなってほしいのかな?」
何を、とも何が、とも言わずただ考えさせる言葉。
その問いへの答えは、思ったよりもスムーズに紡がれた。
「平穏を守りたいと思うのなら、諦めたほうが良いと思う……けど、普通を壊さず叶えられるのなら、叶えたい」
揺れる心が、そのままに吐露される。
そんな彼女の目の前に、黒々とした珈琲が供された。
「迷うのは良いことですよ――迷い、悩み、自分の位置を思い、自分本位にならず人を思う……それが、正しい場所へ行くための道しるべとなることでしょう」
言葉とともに、差し出された珈琲を飲みこみ――せき込んだ。
苦かった……眉がわずかに動いてしまったのを見られたのだろう。くす、と微笑んだマスターが、冷蔵庫から、そっとミルクを出してきて、砂糖とともに横においてくれた。
「ありがとう……急に変な話をしちゃってごめんね」
いいえ――そう言ったマスターは、それからはとりとめもない話題を振ってきて、夏朝もまた、それに答える。
僕は、もしかしたら弱いのかな――珈琲のお代だけでよいと言われ支払いをすませた夏朝が、店の外へ出ながら思う。下を向きかけた顔を前へ向けてみれば、そこは既に見慣れた通りで。振り返っても、小道すらそこにはない。
また会えるかはわからないけれど……。
「元気でね、マスターさん」
導いてくれた猫さんにもまた会いたいな――そんなことを思いながら、夏朝はゆっくりと歩き出した。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
蒼李月
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
神話・伝説
定員
15人
参加キャラクター数
12人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年05月30日
参加申し込みの期限
2016年06月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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