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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
【星幽塔】酒場にて →飲む →話す →外に出る →脱ぐ
サジタリオの大通りに、座敷童がいた。
いや、座敷童のような旅芸人だ。絣のような着物に尺八を持ち、どこか優美な口上と尺八の音を通りいっぱいに響かせる。
その尺八に宿るは星の力である、癒しの光。優しいその音色が、時に笑いをとりながらも聴く者の心を癒すのだ。
その旅芸人は雨崎 荒太郎だった。知らぬ内にこの異世界に飛ばされた彼は、動じることなく演奏で路銀を稼いでいたのだ。
荒太郎の演奏が終わり、観客は惜しみない拍手と硬貨を送る。彼はゆっくりお辞儀をすると、口上を述べた。
「次なるは黒竜退治に向かう勇者達に捧げる歌……あれれ、今日は相方の子泣きさんがみあたらないよ？ あぁ、熱が出たから休んだがんすねー。しかたないから１人でもやるね！」
荒太郎はおどけて言うと、周囲から「頑張れ！」と声をかけられる。荒太郎はにこやかに頷いた。
「三味線ないのが寂しいが、皆様の手拍子が力になる。―――それ、お手を拝借！」
荒太郎の尺八の音が響き、客がそれに合わせて手拍子を始めると、彼は悠然と歌い始めた。
『さぁさ 拍子をつけとくれ ドラゴン退治 のお話さ
北に見えるはサジタリオ 取り戻せるのはいつの日か
襲い来るのは 魔物たち 見るその姿もおぞましい
ゴブリン ガルムにガーゴイル スライム野郎にゃ気をつけな
我らが乙女のフランさま 守る勇者もつぶぞろい
剣を振るいて 弓引きて
世界に光をもたらしがんす』
人々に勇気を与え、こどもたちもワクワクと楽しめるようなそのメロディ。どの観客も満足そうに聴き入る中、荒太郎はまた尺八を聴かせようと取り出す。と、観客の間からひょっこりと女の子が顔を出した。その姿に荒太郎の目が丸くなる。思わず尺八から顔を離し叫んだ。
「あいりちゃんじゃないでがんすか！」
「すばらしい演奏と歌が聞こえると思ったら……こーたろーさんでしたか！」
荒太郎の顔を見て女の子の顔が輝く。それは学童で一緒の寝子小生、暁桜 逢莉であった。
「あいりちゃんもここに来たでがんすか？」
「ええ、おけいこ帰りにいつのまにか。でもこんな旧き街並や服装は、まるで高名な作曲家のかたがたの時代を感じますね！」
そう言うと逢莉は、自分の着ている簡素ではあるが丈が短く動きやすいドレスの裾をつまみ、クルリと１回転する。すると、２人を囲んでいた観客から声がかかった。
「おい、お２人さん知り合いかい？ そしたら一緒に演奏とかしてくれよ。お嬢さんはハープを持っているじゃないか」
え、と２人は顔を見合わせる。確かに逢莉は癒しの光が宿った小型のハープを持っていた。
「そうそう、この町の人々を苦しめている黒竜が退治される歌を歌ってたでがんす。今、討伐の噂があるから皆さん聴きたがって……」
荒太郎の言葉に逢莉は目を見開いた。
「まあ、そんなことが？ 暗雲低迷の中の希望の光ですわね！ なればわたくしもおうえんしませんと！」
（わたくしだって音楽家、元気になる演奏をしてみたいです！）
逢莉は少し芝居がかりながら後ろに下がると、荒太郎に向かって背筋を伸ばしたまま後ろで足を軽く交差させ、膝を曲げた。西洋の伝統的な挨拶、カーテシーである。
「―――わたくしも１曲、ごいっしょしてよろしいでしょうか？」
可愛らしく挨拶する小さな貴婦人に、荒太郎も恭しく胸に手を当てた。
「光栄ですがんすお嬢さん、明るい曲ならなんでもござれ」
逢莉の顔が輝く。彼女は手にしていたハープを軽快に弾きながら、たくさんの観衆にむかって歌い始めた。
『勇者さまは夜明けに来たる 暗き夜を裂き光をもたらす
なれば我らは祈ろうか いや祈るよりもやることだらけ！
朝にすることご飯に洗濯 勇者さまにもご用意を
美味しいご飯は仕込みから 洗濯前には一っ風呂
自分の分も忘れちゃいけない
勝利を信じ待ちわびよう 暁と喜びを分かち合おう！』
楽しく、踊りたくなるような歌が、ハープと荒太郎の尺八の音とともに響く。演奏しながら逢莉がドレスをふわりと広げてくるくると回り、それに合わせて荒太郎も一緒に回り踊る。観客達も手拍子をしながら踊り出し、大通りは笑顔でいっぱいになった。
最後は観客達も大合唱でジャムセッションが終わった。
「未来の大音楽家、あいりちゃんに拍手を～♪」
荒太郎が観客に呼びかけると、割れんばかりの拍手が起こった。逢莉が頬を上気させながらカーテシーで挨拶をする。また大きく拍手が起こり、荒太郎と逢莉は大勢の観客に向かい、笑顔でお辞儀をするのだった。
いや、座敷童のような旅芸人だ。絣のような着物に尺八を持ち、どこか優美な口上と尺八の音を通りいっぱいに響かせる。
その尺八に宿るは星の力である、癒しの光。優しいその音色が、時に笑いをとりながらも聴く者の心を癒すのだ。
その旅芸人は雨崎 荒太郎だった。知らぬ内にこの異世界に飛ばされた彼は、動じることなく演奏で路銀を稼いでいたのだ。
荒太郎の演奏が終わり、観客は惜しみない拍手と硬貨を送る。彼はゆっくりお辞儀をすると、口上を述べた。
「次なるは黒竜退治に向かう勇者達に捧げる歌……あれれ、今日は相方の子泣きさんがみあたらないよ？ あぁ、熱が出たから休んだがんすねー。しかたないから１人でもやるね！」
荒太郎はおどけて言うと、周囲から「頑張れ！」と声をかけられる。荒太郎はにこやかに頷いた。
「三味線ないのが寂しいが、皆様の手拍子が力になる。―――それ、お手を拝借！」
荒太郎の尺八の音が響き、客がそれに合わせて手拍子を始めると、彼は悠然と歌い始めた。
『さぁさ 拍子をつけとくれ ドラゴン退治 のお話さ
北に見えるはサジタリオ 取り戻せるのはいつの日か
襲い来るのは 魔物たち 見るその姿もおぞましい
ゴブリン ガルムにガーゴイル スライム野郎にゃ気をつけな
我らが乙女のフランさま 守る勇者もつぶぞろい
剣を振るいて 弓引きて
世界に光をもたらしがんす』
人々に勇気を与え、こどもたちもワクワクと楽しめるようなそのメロディ。どの観客も満足そうに聴き入る中、荒太郎はまた尺八を聴かせようと取り出す。と、観客の間からひょっこりと女の子が顔を出した。その姿に荒太郎の目が丸くなる。思わず尺八から顔を離し叫んだ。
「あいりちゃんじゃないでがんすか！」
「すばらしい演奏と歌が聞こえると思ったら……こーたろーさんでしたか！」
荒太郎の顔を見て女の子の顔が輝く。それは学童で一緒の寝子小生、暁桜 逢莉であった。
「あいりちゃんもここに来たでがんすか？」
「ええ、おけいこ帰りにいつのまにか。でもこんな旧き街並や服装は、まるで高名な作曲家のかたがたの時代を感じますね！」
そう言うと逢莉は、自分の着ている簡素ではあるが丈が短く動きやすいドレスの裾をつまみ、クルリと１回転する。すると、２人を囲んでいた観客から声がかかった。
「おい、お２人さん知り合いかい？ そしたら一緒に演奏とかしてくれよ。お嬢さんはハープを持っているじゃないか」
え、と２人は顔を見合わせる。確かに逢莉は癒しの光が宿った小型のハープを持っていた。
「そうそう、この町の人々を苦しめている黒竜が退治される歌を歌ってたでがんす。今、討伐の噂があるから皆さん聴きたがって……」
荒太郎の言葉に逢莉は目を見開いた。
「まあ、そんなことが？ 暗雲低迷の中の希望の光ですわね！ なればわたくしもおうえんしませんと！」
（わたくしだって音楽家、元気になる演奏をしてみたいです！）
逢莉は少し芝居がかりながら後ろに下がると、荒太郎に向かって背筋を伸ばしたまま後ろで足を軽く交差させ、膝を曲げた。西洋の伝統的な挨拶、カーテシーである。
「―――わたくしも１曲、ごいっしょしてよろしいでしょうか？」
可愛らしく挨拶する小さな貴婦人に、荒太郎も恭しく胸に手を当てた。
「光栄ですがんすお嬢さん、明るい曲ならなんでもござれ」
逢莉の顔が輝く。彼女は手にしていたハープを軽快に弾きながら、たくさんの観衆にむかって歌い始めた。
『勇者さまは夜明けに来たる 暗き夜を裂き光をもたらす
なれば我らは祈ろうか いや祈るよりもやることだらけ！
朝にすることご飯に洗濯 勇者さまにもご用意を
美味しいご飯は仕込みから 洗濯前には一っ風呂
自分の分も忘れちゃいけない
勝利を信じ待ちわびよう 暁と喜びを分かち合おう！』
楽しく、踊りたくなるような歌が、ハープと荒太郎の尺八の音とともに響く。演奏しながら逢莉がドレスをふわりと広げてくるくると回り、それに合わせて荒太郎も一緒に回り踊る。観客達も手拍子をしながら踊り出し、大通りは笑顔でいっぱいになった。
最後は観客達も大合唱でジャムセッションが終わった。
「未来の大音楽家、あいりちゃんに拍手を～♪」
荒太郎が観客に呼びかけると、割れんばかりの拍手が起こった。逢莉が頬を上気させながらカーテシーで挨拶をする。また大きく拍手が起こり、荒太郎と逢莉は大勢の観客に向かい、笑顔でお辞儀をするのだった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2016年05月29日
- 参加申し込みの期限
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- 2016年06月05日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2016年06月05日 11時00分
