【かるた】わんだふる・ゑきさいてぃんぐ・かるた大会｜リアクション

【かるた】わんだふる・ゑきさいてぃんぐ・かるた大会

　２試合を終えて、源氏組と平氏組は1勝1敗と並んでいる。熱戦が続いて、観客も盛り上がってきた。
　第３試合を前に放送が入り、選手の呼び出しが始まる。
「続いての出場選手は、『ヴァルハラ3人娘』の、加藤……。…………かとう、かみがみの―――？」
「あの、呼び出し係のお姉さま。私の名前は呼びづらいので、『加藤』で大丈夫でございます。……読み方？……その……」
　放送を聞いて、加藤神々ノ黄昏がおずおずと出てきた。初見で「らぐなろく」と読むのはまず無理だろう。
「うきゃー、出番だねっ。一緒に楽しもうねぇ～！」
　同じチームの八城緑里が、可愛らしい声を上げて神々ノ黄昏の後に続いた。
「トメちゃん、ロコちゃんと試合に出るためにいっぱい練習もしたよぉ～」
　緑里に続いて、会場の視線を意識しながら颯爽と現れたのが、加藤戦乙女だ。
「これでも、乙女ちゃんもいちおー練習してきたんだよ！練習！」
「……乙女お姉さまはずっと鏡を見ていた気がするのでございますが」
　妹の神々ノ黄昏が突っ込みを入れる。
「そんなことない、したもん！そう、いかに可愛くかるたをするかを！すんごい頑張ってきたんだから！」
「……」
「オメガ可愛い乙女ちゃんのギガント可愛いかるた姿を見せてやるんだからっ！ ……ってやだ、オメガとかギガントとか語感的に全然可愛くない！今のやっぱりなしね！」
　ベクトルはおかしいが、気合は充分なのだった。

「なんだかよくわかんないけど、勝ったらアカリがお菓子買ってくれるんだよな？ルールわかんないけど、適当に取るぞ！」
　東条あんずはいつも以上に元気いっぱいだ。
「なーなー、ゆきのはどんくらい覚えてきたー？」
「勉強してきたから……アカリ……邪魔しないで……」
　あんずとは対照的に、楠木ゆきのの口調は物静かだ。
「俺、邪魔なのか……？」
　小学生二人の保護者役をしている来島アカリは凹むが、ゆきのに悪意はない。今の台詞は、「勉強してきたから、アカリの邪魔しないで頑張るね」の意味なのだ。
「覚えてきたの？ルールもわかるの？すげーなゆきの！」
「ったくもう……二人とも頼むから大人しくしててくれよな？」
　とにかく試合は平穏に終わらせたいアカリだった。
「でも、こんなチームでもやるからには勝ちたいよな。とりあえず全首覚えては来たけど……」
「全部わかるんだ！何探せばいいのか教えてアカリ！」
「試合直前にかよ！」
　ひとまず、あんずには動物が出てくる歌だけ教えておいた。
「かささぎ白い！ほととぎすタダ！覚えたぞ！あとの動物のも頑張るぞ！」