激走！　寝子島横断三人四脚駅伝！（第一区間）｜リアクション

激走！　寝子島横断三人四脚駅伝！（第一区間）

【老人は元気に限る】

　チェックポイントの町役場前に現れた４人の老人。

「頑固でホット！　爺レッド！」
「気ままでクール！　爺ブルー！」
「セレブでゴージャス！　爺イエロー！」
「煌くインテリジェンス！　爺グリーン！」

「「聞いて驚け！　４人揃って、寝子島ふぁんた爺ズ！！」」

　まるで戦隊ヒーローばりの口上とポーズで見参！
　これで背後が爆発したら完璧である。
　そして４人はなんと、リッカルド町長のお面を被っていた。
「「さぁ、誰が本物の町長かな？」」
「全員偽物だぁー！！　ぶふふっ」
　１位で到着した松チームの桐野の腹筋が崩壊した。
　根性が足りない！
「ほぅ……」
　だが志波は冷静だ。根性はあるようだ。
　すかさず高梨とアイコンタクト。
　次の瞬間、２人は明後日の方向を指差した！

　志波「あーっ！　あそこに旧市街のアイドル、駄菓子屋店主のオトメさん（78歳）が！」
　高梨「女子高生のパンチラが！」

「「な、なんじゃってー！！」」

　爺ズが過敏に反応した。
　ついでに観客の男性たちも反応してしまう
「む、貴様！　モグリだな！？」
　志波は反応しなかった近くの清掃員の男性へ指差す。
　明らかに怪しい雰囲気が漂う。
　指差された清掃員は顔を上げると、ニヤリと微笑みながら振り返った
「――よく分かりましたね」
　なんと、本物のリッカルド町長だった！
「町長かよォーッ！！　てか、こんなとこでタイムロスしてたまるか！」
　桐野の合図で再び走り始める！

　ワンテンポ遅れて竹チーム。
　爺ズの機敏さに感動する桜庭。
「すごい元気！　あれ、校長先生？」
　その言葉にグリーンが酷く狼狽え始めた。
「ぐぬぬ、だ、誰が本物だって！？」
　呆れる御剣と八雲とは対照的に桜庭は真剣に悩みだした。
　その結論。
　
「ボクたちが寝子島高校だ……！」

　桜庭は狼狽えるグリーンを指差した。
「そこの緑のお爺さん！　校長先生でしょ！？」
「……みんなに言わないで」
　とグリーンは一言呟くと、道を譲ってくれたのだった。
　疑惑が確信に変わった。

　梅チーム、怒涛の追い上げで最下位から６位へ上昇！
「どけぃ！」
　鬼河内、ゴムボートを台車に括り付けて町役場をボブスレーの要領で突撃！
　爺ズごと轢き逃げするつもりだ！　奈良橋とシダは巻き添えだ！
　だが！
「「老人舐めんな！！」」
　爺ズはガシッとゴムボートを受け止め、なんと畳返し！
　梅チームは吹っ飛んだ！
　最近、お年寄りの交通事故が多発していると聞くが、こんなに元気な爺ズなら安心だね！
「チョロいもんじゃ！」
　レッドがモリッと上腕筋を見せ付けた。
　流石、戦争を経験した老人は逞しかった！
　この後、奈良橋が塩分補給のために持参していた20年物の梅干で爺ズに謝罪。
　何とか町役場を通過したという。
　ちなみにシダが梅干を初体験したところ……。
「ンゴ？！　み、水ーっ」
　衝撃的だったらしい。

　爺ズは次の区間へ向け、スーパーニャブ（バイク）に大漁旗を取り付けだす。
　そして、雄大にそれをはためかせながら颯爽と４人揃って走り去るのであった――。

このページにイラストを設定する