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夜の美術館でおいかけっこしましょ!
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薄暗い館内を、
フィーナ・シレンツィオ
は油断なく見回す。
「また変なところに迷いこんだみてぇだが、ここは……」
目に入ったのは、暗い色の壁を彩る陰鬱な絵画の数々。
口元に手を宛がって、フィーナは思案顔を作った。
「美術館っていったとこか? とりあえず外にでねぇと……ん?」
薄闇の中に気配を感じて振り返る。
かつん、かつん。近づいてくる、音。
「誰かいるのか?」
問いに応じるようにして姿を現したのは、警備員の格好をした知り人だった。
庭木用の大鋏を手に靴音を鳴らすは、実家に居るはずの口煩くも優しいメイド長。
フィーナの瞳が、驚きに瞬かれる。
「なっ、あんたが何でこんなとこに……って、うわ!?」
じゃきん、と大鋏が鈍く唸り、フィーナの銀の髪を掠めた。
明らかに自分を狙ったその一撃に、フィーナは軽やかに身を引きながらも双眸を見開く。
「ちょっと待て! 何でいきなり襲い掛かってくんだよ!」
叫ぶも、『メイド長』は感情のない目でフィーナのことを捉えて、
「お嬢様……悪戯はいけませんよ……?」
なんてことを言いながら大鋏の刃が噛み合う音を辺りに響かせるばかりだ。
「くそっ……!」
身を翻して、フィーナはその場を逃げ出した。一旦退くのが得策だと考えたのだ。
「館内では走らないでください、館内では……」
耳に馴染んだ声が背に纏わりつくのを、振り払うようにしてフィーナは駆けた。
(あぁ、もうわけわからねぇ!!)
声に混乱を誘われるフィーナだったが、冷静にならねばと己に言い聞かせ息を吐く。
(っ……落ち着けあたし……あの人がたった一人でここにいるってことはまずありえねぇ)
どこに現れるにしろ、彼女はフィーナの父や母と行動を共にするはずだ。
ならば、自分を追い掛けてくる『彼女』は100%偽者だと、フィーナは判じた。
(……誰だかしらねぇけど胸糞悪い演出してくれるじゃねぇか)
胸の内に吐き捨てて、足を止めることはしないままに後ろを振り返る。
見慣れた顔をした『何か』は、大鋏を仄暗い中に光らせながらフィーナを追ってきていた。
(返り討ちにして、あたしを襲ったこと後悔させてやるぜ!)
勝気な思いを胸に沈め、フィーナは頭をフル回転させる。
(美術館っつったら、防災設備は標準的に備えてあるはず)
ちらと視界の端に消火器が映った。よし、この仮説に間違いはない。
(なら、もっと大規模な消火設備だってあるはずだよな?)
水を用いる消火栓があれば、水の猫を作り出し操る自身の能力を存分に発揮できる。
フィーナは、薄気味の悪い作品が並ぶ館内に消火設備の赤を探した。
『何か』に距離を詰められないよう、けれど見失わないよう気を付けて。そして、
「見つけ……くそ、これじゃ駄目だ!」
目に留まった消火設備を素早く検めて、フィーナは舌を打った。
そこにあったのは、作品の水濡れを防ぐ為の、水を使わないタイプの消火設備。
フィーナは、またすぐさま走り出す。
(取り乱したら負けだ……『展示物のない部屋』なら、消火栓があるかもしれねぇ)
確証はない、けれど、希望が潰えたわけでもない。
突破口を求めて、フィーナは闇の中に銀の髪を閃かせるのだった。
振り返れば、そこに立っていたのは厳格な父だった。
その姿を緑の双眸に見留めた途端、
都府楼 暦
は息苦しさに知らず喉を抑える。
「まさか……何故、あなたがこんなところに……?」
絞り出した声は、痛々しいほどに震えていた。
警備員姿の父親は、暦の必死の問いに答えることはなく、
「こんな時間まで、何をやっている。早く帰りなさい!」
代わりに、暦の耳に残っている通りの声で、聞き覚えのある台詞を口にして。
瞬間、暦の頭の中は真っ白になった。
門限や外出の制限など、過剰なまでに暦の行動に干渉し、それを制限してきた彼女の父親。
全ては病弱な娘を想う余りの言動だったのかもしれないが、
(どうすればいいの? わかんない……わかんない!)
彼の一声は、暦の思考をぐちゃぐちゃにかき乱してしまうほどの力を持っていた。
父親が、一歩暦へと歩みを進める。
その足音に弾かれたように、暦は竦む足を奮い立たせてその場から駆け出した。
(逃げなきゃ……逃げなきゃ!)
目の前の父親の正体も、その手に握られた無骨なナイフも、暦には関係ない。
父に捕まるということは、暦にとって自由の剥奪に直結していた。
(もう捕まりたくない! 私は……辛くても苦しくても、自由になりたいの!)
息が上がり胸が苦しくなっても、足がもつれても、暦は止まらない。
ポケットに入っていた油絵の具が、中で弾んだ拍子にこつんと床に落ちる。
胸いっぱいの混乱を抱えながらも、暦は拾い上げた絵の具のチューブの蓋を開け、
「っ、えい!」
ゆらりゆらりと追ってくる父親の足元へと投げつけた。
黒い革靴がチューブを踏み躙り、びちゃりと散る若草色。
瑞々しい若葉の色をした足跡が、暗い美術館の床に場違いに明るく残っていく。
逃げて、逃げて、逃げて。暦はやがて、扉を一つ見つけた。
振り返る。警備員の姿は、いつの間にか見えなくなっていた。
迷わず扉を開けて、中へとび込む。
「ここは……休憩、室?」
そこは、一切の展示物のない、広いけれども殺風景な部屋だった。
扉は、暦が入ってきた物と、もう一つ。
「これで……逃げ切った……」
乱れる呼吸を整えながら、閉じた扉に背を預けて暦は息を吐く。しかし、
「……うそ」
やがて、もう一方の扉がギィと開いた。
現れたのは――暦の父親の姿をした、あの警備員だ。
「先回り、された……」
父の姿が、ゆっくりと近づいてくる。
暦は、半狂乱になって扉のノブを回した。がちゃ、がちゃ、がちゃ――扉は、開かない。
「嘘! 何で!?」
振り向けば、父の姿はもうすぐ近くまで迫っていた。
暦の身体から、力が抜ける。
崩れ落ちるようにしてその場にへたり込む暦。
双眸から滲む涙に煙る視界の中で、父親が手にしたナイフが鈍く光った。
誰にも見せられないような無様な姿だと、身体を震わせながら思う。
(だけど……だけど、私は!)
――やっぱり、自由が欲しい!
叫んで、暦は殆ど相手を突きとばすようにして立ち上がるや再び駆け出した。
(みっともなくたっていい。恥も外聞も関係ない)
最後まで抗うことを暦が決めた、その瞬間。
「見ろ! こっちだ!」
力強い声がして、それと同時に、水の猫が暦の父の姿をしたモノの首筋に噛みついた。
ぶしゅ、と傷口から絵の具のような黒が噴き出す。
無機質な色の双眸を見開いたきり、『何か』はその場にくず折れた。
「あ……」
「おい、大丈夫か!?」
呼び掛けたのは、消火栓から伸びたホースを手にしたフィーナだ。
半ば放心状態で、暦はこくと頷いた。
「黄緑色の足跡が残ってた。あたしの他にも誰かいるかと思ったんだが、当たりだったな」
それに消火栓も見つかったと、フィーナは開いたままの扉へとホースを向け、
「っつーわけで、食らっとけ!」
ノズルを捻るや、ふらり現れた大鋏を手にした警備員に向かって勢いよく放水する。
フィーナの指が水に触れ――その途端、水の猫が彼女の意思に応えて生まれ出でた。
「顔見知りに化けたからって、簡単にやられる気はねぇんだよ!」
濁流の如き勢いで警備員へと向かっていく水の猫。
大鋏の攻撃をしなやかに掻い潜って、猫は警備員の首筋へと容赦なく牙を突き立てる。
再び黒が噴き出して、メイド長の姿を取った『何か』もまた、永遠に沈黙したのだった。
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3人まで
シナリオジャンル
ホラー
SF・ファンタジー
バトル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年05月19日
参加申し込みの期限
2016年05月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年05月26日 11時00分
参加キャラクター一覧
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