カルティック・レボリューション　武装カルタバトル！｜リアクション

カルティック・レボリューション　武装カルタバトル！

「な……なんだいそれは……」驚愕の表情を浮かべるのは、ロベルト。

　胸元に突きつけられた札。
　シグレの細い人差し指と中指で挟まれた、それこそが真の切り札。

「Посеянное взойдёт. 」
　シグレの唇から、流麗なロシア語。

　これこそシグレの怪盗たる面目、究極無比のカウンター。
　相手の言語――ロシア語の換骨奪胎！
　
「蒔いたものは生える」
　
　溢れ出る薔薇の花弁、そして蔓薔薇。
　むせかえるような香気、めくるめく真紅の色彩。そして――。
「うわあああああ！！」

　大きくはねとばされ、ロベルトは薔薇の園に墜落、そこが彼の臥所となった。
　薔薇架刑――。
　そのまま黙っていれば、秀麗なロシア系美青年で通るロベルトに、その死にざまはふさわしかった。

　シグレ・ナイトウォーカー、勝利――。

　彼は嫣然と笑い、ゆっくりと手を掲げる。

　その指先に赤い滴りを認め、一同は凍りつく。

　口元には笑み。そこからも滴る血。
　胸元には、熊の爪痕が、くっきり三条残る。

　至近で撃たれた、彼の逆転技。
　それは、自身を敵の間合いにまで詰め寄らせる必要があった。
　ロベルトを失う寸前、狂乱の熊の一撃は、確かにシグレの胸を捉えていたのだ。

　切り裂かれた襯衣の、その傷痕に指を這わせて。
　その指先から零れる己の血潮を、悠然とシグレは天に掲げる。
　手首から肘を真紅に染める流れは、まるで葡萄酒のよう。

　戦場に、淡いアレキサンドライトの馨が流れた。
　笑みを浮かべて、シグレもまた、彼の設えた薔薇の園に斃れた。

　沈黙の薔薇の園に、美貌の青年の動かぬ体がが、二つ――。

【第一回戦】
　×ロベルト・エメリヤノフーシグレ・ナイトウォーカー○

　壮絶な打ち合いの末、決着を迎えた第一戦。
　一同は、思わず固唾を飲む。
　使い手の本質により、如何様にも能力を引き出しうるカルタ。
　それは逆に言えば、使い手の本性が否応なく引きずり出されるということだ。
　
　恐るべき掟に、知らずにはまり込んでいたのかもしれない……。
　
　促されるままに、第二戦のメンバーが所定の場所につく。