カルティック・レボリューション　武装カルタバトル！｜リアクション

カルティック・レボリューション　武装カルタバトル！

「みんな、おなか空いてないか？」
　熱い烏龍茶に、特製の胡麻団子を添えて、小麗が配り始める。
「よかったらどうぞなのだ」
「ぼちぼち、反省会でもしてみようかのう？」
　いいなは普段からコートに仕込んでいる駄菓子を取り出し、大皿に取り分ける。

　気が付くと、一同は歌留多同好会の部室の中。
　
　万事、夢と言うことで決着がついたようである。
　
「ありがとう……楽しいバトルだったよ」
　お茶を啜って、五郎八が刀たちに笑いかける。
　真白も胡麻団子を食べながら頷く。
　妙な体験だったが、皆のカルタ愛、カードゲーム愛の溢れたバトルだったと思う。
　五郎八の傍らのカード、対戦型カードゲーム『ドレイク』のデッキ。
　なんとなく、再チューニングしてみたくなった。
　手元に取り出すのは、彼女ご自慢の『真竜王ドレイクザドレイク』のカード。
　その瞳が、親愛を示すように輝いたように見えた。

「ほんとにあるよー！　寝子島書房に、カルタバトルが」
　円が胡麻団子を頬張りつつ、力説する。
「平安時代の貴族の遊びで、ランクマッチをしていたんだって」
「説明すればするほど、説得力がなくなるぞ」刀が窘める。
「陰陽師が起源だって。『歌留多と陰陽師の相違点』で読んだ！」

「俺は一体、何をしていたんだ……」
　屑利執は茫然としていた。
　冷静であるはずの自分、つい逆上してしまった。
　おまけに、沼田さんにまで迷惑をかけてしまった。
　すみません、と謝る執に、沼田さんはふっと笑いを漏らす。
「いいんですよ。久々に娘と遊んだみたいで、楽しかった」
「沼田さん……」
「こんな髪の毛なんかより、大切なものがいっぱいある……そう思いませんか」
　茫然自失となる執。
　彼も気づいていた。いろいろ失った沼田さん、本当は傷ついている。
　不意に二人の心に虚無が流れた。
　かなしいとも、うれしいともつかぬ時間が、二人の間を過ぎていった。

　胡麻団子を頬張りながら、都は牡丹餅を取り出す。
　皆の口が重いのは、嵩張る餅菓子を食べているからだけではない。
　反省材料が、多すぎるということもある。
　
「人こそ知らね、のコーヒーだ」
　笑って修が、特製のコーヒーをみなに饗した。
　ちょっぴり苦めのコーヒーが、皆の精神を賦活させて、覚醒させた。

　――本当に終わったんだな……。
　しみじみと、誰かがつぶやく。
　
「終わったのだろうか……」

　不吉な円のつぶやきに、一同が静まり返る。
「今回のバトルで『カルタと陰陽師の相違点』を読み直し、これも予言の書だって分かった。
　これが何を意味しているかは、わからない……」
「どういうこと……？」
「ただひとつ言えることは、これが僕らとカルタの、戦いの始まりってことだけだ……」
「な、なんだってー！」

　それは置いておくとしても、戦いを終えた一同の胸に、不思議な興奮が生まれつつあった……。

　もしも、あのコンボが、完全に回っていたら……。
　もしも、あのカルタが、あそこで使われていたら……。

　全ての勝負は、それで完結した物語。
　だが、あらゆる物語は、想像力を誘発するものだ。

　そういえば、修の決め札……。
　牡丹餅を奪う程度で終わっていたが、あれが本気で発動したら、いったい何が起こるだろう？

　一同の関心が、ふっと修のデッキに集まる。

　すると、絢爛とした紅葉が、一瞬陽炎のように修の背後に揺らめいて……。

　――またやりたい？　いつでもいいぞ。

『いまひとたびの』の札を取り出した修が、笑顔を見せた。

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あとがき

担当マスター：ぱーすぺ
ファンレターはマスターページから！

ありがとうございました。
マスターは死にました。あまりにも素晴らしすぎるアクションの数々。
取りあえずいただいたカルタはすべて登場いたしました。
それから、カードゲームに関する知識は、多分ちょっと古いです。すいません。
あと、カウンターは強すぎですね。某カードゲームではカウンターが徐々に弱体化いたしましたが、
その理由がわかるような気がします。
本リアクションの執筆を通し、
「カオスもほどほどにしないと、収拾がつかなくなって、まとめるのに地獄を見る」
という教訓を得ることができました。
まあ、多分この教訓は生かされないんですけどね！
ではまた、熱いシナリオでお会いしましょう。最高！

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