●女子会雰囲気な調理

　ハンバーグを作る栖来 衣夢、椿 美咲紀、宮野 雷子の３人は、材料を出し合い、協力してハンバーグを作ることにした。
　美咲紀がエビフライの下拵えをしている間、衣夢が玉ねぎをみじん切りにし、飴色になるまでじっくりと炒める。
　雷子は牛肉と豚肉の合挽き肉に入れる絹ごし豆腐をペースト状にし、それをおからと混ぜていた。
　飴色になった玉ねぎと牛乳に浸して良く絞ったパン粉、衣夢持参の新鮮な卵、合挽き肉に混ぜたものを三等分し、それぞれの生地を作る。
　美咲紀は粘土を捏ねるように手で挽き肉を捏ねる。
「挽き肉って混ぜるの面白ーい。中にチーズを入れてみようっと」
「チーズハンバーグか。それはそれで美味しそうだよね」
　雷子は豆腐とおからを良く混ぜ合わせるように捏ね、衣夢は黙々と更に捏ねている。
　生地を捏ねたら、両手でキャッチボールするように何度か投げる。こうすることでハンバーグ内の空気が抜け、焼く時にハンバーグが割れにくくなるので綺麗に仕上げるためにも、この動作をしておく必要がある。
「これも面白ーい」
　ハンバーグ作りを誰よりも楽しむ美咲紀は、空気を抜いたら形を小判型に固め、油をひいて焼き上げていく。

　瑚野上 栞凪は固ゆで卵ができると縦半分に切り、黄身をスプーンでくり抜き、くり抜いた黄身に塩、コショウ、マヨネーズ、ミックスベジタブルにみじん切りしたハム加えて混ぜ、それを白身に詰め、小さく切った赤パプリカを乗せれば完成。
「栞凪風悪魔のたまご、完成だよ！」
　ハロウィンパーティの伝統料理「悪魔のたまご」も栞凪の手にかかればお弁当のおかずに変身。ミニトマトと茹でたブロッコリーを添えれば、ちょっとしたパーティ料理に早変わり。
「面白いゆで卵料理なの」
　悪魔のたまごを見ながら、天馬 ひびきはポテトとコーンのサラダを入れるトマトの器を作っている。
　トマトはカットしやすい高リコピンのものを選び、ヘたのすぐ下をカットして中身をくり抜く。
「中身、どうしよう？　捨てるの勿体ないな」
　悩むひびきに、ザルにこしてトマトジュースにすると良いと白沢先生が助け舟を。
「それ、いいかも。ありがとう先生♪」
　早速、アドバイス通りにザルでこし、即席のトマトジュースを作る。一品増えて嬉しいな♪　と喜ぶ。
　トマトジュース作りが終ると、茹でたうずらの卵に目となる黒ごまをつけた。
「おめめ可愛いの」

　豆腐ハンバーグを焼き終えた雷子は、レンジで蒸したポテトを熱いうちに潰し、手先の器用さを活かして切った花型にんじんを添える。
　ポテトが作り終えると、ゆで卵を細かくしてマヨネーズに混ぜた卵、ツナをサンドイッチ用のパンに挟み、食べやすい大きさに切り揃える。
　ＢＬＴはベーコン、レタス、トマトをベーグルに挟む。
「レシピ通りに作ったから味も見た目もそこそこになると思うよ」
　サンドイッチはおかずと別の箱に詰める。
「なかなかやるな、宮野君。私も負けてられないな」
　食パンにバターを塗り、砂糖をまぶすだけの作業だが、鰐淵 碧緒は苦戦している。
（この手の料理は、他人が食べていると食べたくなるもの。だから多めに用意しておくか）
　苦戦しながらも多めに作り、トースターで焼き上げる。その間、分量を量ったコーヒーに砂糖をたっぷり入れ、クリーミングパウダーを混ぜてキャンディーくらいの色になるように作り、保温用の水筒に入れられるよう大量に作る。

　神城 凛はサラダサンド、タマゴサンド、タツタサンド、カツサンドを１セット作り終えると、キャベツを煮込んだ煮汁にコンソメを入れスープに。
　熱湯で茹でた春雨と海藻を食べやすい大きさに切り、それに良く溶きほぐした卵に調味料を加え、冷蔵庫に入れて味をなじませる。
　サラダはサラダサンドが余ったものに春雨と海藻を入れ、あっさりめのドレッシングをかければ完成。
「ふふん、完成だ。どうだ、お手軽で簡単なサンドイッチを作ってみたぞ」
　どうだ、と自信たっぷりにお披露目するが、皆、お弁当作りに集中しているので見てもらえなかった。
　お弁当を食べる時に見せるべきだったか……と気を取り直し、残りの時間は優雅に他の生徒の行動を見ることに。
　

　焼けたかな？　と中火でしっかり焼き色をつけたハンバーグに衣夢が竹串を刺す。肉汁が透明だったので火が通った証拠だ。
　焼いている間に、変色防止のため塩水に浸けておいたリンゴの皮を剥きウサギを作る。
　美咲紀と蘭月もデザートにウサギリンゴを作る。
「ウサギさんリンゴでビタミンＣかーくほっと。これもお弁当の定番やろ。あとはタコさんウィンナーやな」
　人気メニューとも言えるタコウィンナーだが、切れ目を入れるのに作る面々は苦戦。
　縦に切り、その次に９０度回して更に縦に切れば４本足に。できた４本足を１本ずつ内側から半分ずつ切れば、８本足のタコに。
「袋に書いてある説明通りに切って、茹でれば大丈夫だよね？　指を切っちゃわないように気をつけなきゃ」
　と言いつつ作業をしていた雪原 真白だったが、指を切ってしまった。
「大丈夫かい？」
　それに気づいた吉野 夕弥がティッシュと絆創膏で真白の指の血を止める。彼のろっこんが発動したこともあり、切り傷の治りは早かった。
「ありがとう。夕弥君は頼りになるオカンだね」
「何度も言うようだが、俺はオカンじゃないから」
　呆れながらも面倒見が良い夕弥。
　足の切り目に苦戦しながらも、真白のように茹でてタコさんウィンナーを完成させた雷子と蘭月だった。