1年3組のその日の授業は、担任の
白沢 絢子先生の思い付きから始まった。
「良いお天気だこと。こんな日は外でお弁当を食べたくなるわね~」
職員室でのんびり窓の景色を眺めながら、おっとりとかつての高校時代に思いを馳せる白沢先生。
晴れた日には、仲の良いクラスメイトと中庭でお弁当を食べたものだ。
おかずを交換したり、見比べたり。
(3組の子達も、仲良くお弁当を食べたりしているのかしら……)
ふと、そんなことを考えてしまった。
入学式が終わり、新しい生活に馴染んできた生徒もいるだろう。
クラスメイトと打ち解けられず、ひとりでいる生徒もいるだろう。
そこで白沢先生が思いついたのは、クラスの交流を深めるランチタイムだった。
お弁当とはいえ、購買で買ったパンや学食のメニューでは味気ない。
自分達で作ったものを皆で食べることに意義がある、と、授業内容を大急ぎで考えるのであった。
「皆さん、来週の家庭科は調理実習を行います。作るのはお弁当です。おにぎりでも、サンドイッチでも、から揚げでも、皆さんが食べたいものを作ってくださいね~。時間が限られていますので、手の込んだものは作れませんので気を付けてください」
「先生、授業で作ったお弁当がその日のお昼なん?」
授業内容に興味を示したのか、最新刊の食べ歩きガイドブックで新商品チェックに赤丸チェックし終え、次はどの商品を食べようかチェックする手を止めた
四野辺 蘭月が手を挙げて尋ねた。
「はい、そうですよ~」
「それって、コンビニ弁当みたいなカンジなモンでもええのん?」
趣味の資金源がコンビニのバイトである彼女らしい質問に、白沢先生は目を細め、微笑んで答えた。
「それも良いですが、栄養バランスもちゃんと考えてくださいね~。それだけでなく、カロリー計算もしてみましょうか。盛り付けや彩りにも工夫してくださいね~」
そう言うと、この授業のために作成したメニュー例、栄養素一覧、カロリー一覧表が掲載されたプリントを生徒達に配り始めた。
(何か難しそうやなあ……。あ、これならあたしでも作れそうかも)
八重歯を見せ、ようわからんけどおもろい授業になりそうやとニッと笑う蘭月の丸眼鏡のレンズが光った。
彼女だけでなく、何人かの生徒は来週の調理実習が楽しみになってきたようだ。中には苦悩している生徒もいるが。
「お天気が良かったら、皆で作ったお弁当を外で食べましょうね~。雨が降ったら、残念ですが調理室で食べることになりますけど……」
調理実習当日。
白沢先生の心配をよそに、雲ひとつない晴天、暖かい日となった。
まずは何を作るかを決め、決まったら4限目終了まで調理をする。
ただ単にお弁当のおかずを作るだけでなく、栄養のバランスを考えなければならない。
ダイエット中、体重が気になる女子は、綿密なカロリー計算を要することになるので調理開始には時間がかかるかもしれない。
授業なので、皆、知恵を出し、頭を捻りながらも一所懸命考える。
「では皆さん、各自、お弁当を作ってください。どんなものができあがるのか楽しみにしていますね~」
プリント片手に何を作ろうか悩む生徒達がどのようなお弁当を作るのか、各班の様子を見て回る白沢先生はどことなく楽しそうだった。
皆様はじめまして。
「授業風景」シリーズが初シナリオとなりますカターレと申します。
どうぞよろしくお願いします。
このシナリオは『授業風景』シリーズですので、運営部よりの注意事項を必ずお読みください。
●授業内容
調理室で昼休みに食べるお弁当作り。
調理だけでなく、盛り付けも行います。
調理器具一式は調理室にありますが、材料、弁当箱、箸等は各自持参となります。
足りないものは時間がロスしますが、買い出しに行くことになります。
時間は3限(10:40 - 11:30)、 4限(11:40 - 12:30)の間ですので、時間がかかるものは作れませんのでご注意を。
おかずだけでなく、デザートを作ることもできます。
その場合も材料は各自持参となります。
●必須条件
栄養のバランスを考えること。
炭水化物、野菜等、様々な栄養を取り入れてみましょう。
米、調味料一式、おしぼりは白沢先生が用意します。
白沢先生から一言。
「無いとは思いますが、冷凍食品は使っては駄目ですよ~」
料理の腕を思う存分揮う! と意気込むも良し。
苦手だけどお手伝いします……と頑張るも良し。
カロリー計算はお任せ! と綿密に計画を練るも良しです。
皆様がどのようなお弁当を作るのかというアクション、期待しております。