授業風景～１年３組の場合～｜リアクション

授業風景～１年３組の場合～

●卵焼きを作ろう

　ゆで卵を作る生徒達は、鍋にお湯を沸かし、冷蔵庫に入れておいた卵を沸騰したら入れようとするが白沢先生に止められた。
「卵は茹でる前に、１０分くらいおいて卵を常温にしたほうが良いですよ。そうしないと、急激な温度変化で卵の殻にひびが入り、茹でている最中に白身が出てしまいますからね」
「へえ、そうなんだ。じゃ、固ゆでにする時はどのくらい茹でればいいのかな？」
　固ゆで卵を作る瑚野上栞凪が質問する。
「そうですね。固ゆでなら１１分くらいですね。黄身はだいたい６分～７分くらいで少しずつ固まってトロッとした半熟状態になりますから」
　１１分っと……とメモる栞凪に、これを使うと正確に時間が計れるからと吉野夕弥は持参したキッチンタイマーを貸してくれた。
「ありがとう。それじゃ、遠慮なく借りるね」
　同じくゆで卵を作る栖来衣夢、卵サンドに使うゆで卵を作る神城凛と宮野雷子もその話をしっかり聞き、それぞれ慎重に作ることに。

「さて、俺も作るとするか」
　夕弥は手際良く卵を白身を切るように解きほぐし、塩、砂糖を加え、フライパンで卵がポロポロになるまで卵を炒め、サラダ用の炒り卵を作る。
「手際いいね。さすがオカン」
「俺はオカンじゃないから」
　卵が常温になるのを待つ栞凪の言葉に反論するが、面倒見が良いため「オカン」と呼ばれることも。
「そういう君は何を作るんだい？」
「私？　まずは固ゆで卵だよ。その後は見てのお楽しみってことで」
　悪戯っぽい笑みを浮かべ、今はまだ秘密と教えない栞凪だった。

　雪原真白は母が作ってくれる卵焼きが塩味なので、それに倣い塩味の卵焼きを作ることに。
「おこげになっちゃうかもしれないけど、まぁ、とにかくやってみよう」
　ボウルに割った卵と塩を入れ、泡立て器で良くかき混ぜる。
　温めた卵焼き器に油をひき、溶き卵を少し入れ菜箸で軽くかき混ぜ、ある程度焼けたらヘラで端に寄せていくのだが、これが思いのほか上手くいかない。
「あー……失敗しちゃった。でも気にしない！」
「卵焼きは巻くのは難しいけど、結構楽しいよ」
　煮物を冷ましている時間を利用し、雪見大福もだし巻き卵焼きを作っている。卵を巻く手際の良さに、真白は「雪見君はすごいね」と感心する。
「卵の巻き方、教えてあげようか」
「うん、教えて！」
　大福の指導のもと、残りの溶き卵を入れ、先程の要領で卵焼きを作っていく。
　真白作の卵焼きは少し焦げたが、形は後で整えたので形の良い卵焼きができた。
（お母さんもこんな感じで作っているのかな？　卵焼き作ってくれてありがとう）
　お弁当を作ってくれた母に感謝する真白は、次に作ろうとするブロッコリーの茹で具合に悩む。
「塩茹でって、どうすればいいんだろう？　適当にお塩を一掴み入れればいいの？」
「お湯が少ないなら、軽く摘まむ程度の量が良いだろう。茹でる時に塩を入れるのは、酸化酵素を抑えて変色させず、栄養を水で流れ出るのを防ぐためだ」
「そういう効果もあるんだ。教えてくれてありがとう！」
　教え終えた大福は、俺も茹でるかなとほうれんそうのおひたしを作り始めた。

　普堂しおりの卵焼きは、一口大に切ったウィンナー、じゃがいも、人参、ブロッコりーを塩、こしょう、コンソメで茹でたものを加えためんつゆ入りのものだ。
　頑張って作ったものの、形はやや歪に。
「栄養バランスは良いんじゃないかな～。カロリーは……ウィンナーを茹でた分減ったかも？」
　彩りと栄養バランスは考えられているので、美味しければそれで良いのではないだろうか。