【お正月】『ねこじま双六』｜リアクション

【お正月】『ねこじま双六』

● 三巡目

「あさひの番ー！」
　３度目のサイコロを振る。２。
　ふたつ先を目で数え、あさひは「あっ！」と口元を手で押さえた。
「あさひも一回休みだよぉ」
「……一緒に休もう？」
　アルクのカードを、本物の猫のように撫でていた夏朝がふわり、小首を傾げる。
「うん。そうするー」

「お猫さま～カムカムなのだ！」
　意気込んで振った真央のサイコロは３を出し、なんと、あさひと同じく一回休みのマスに止まってしまった。
「なんですと～、なのだ～」
「まおおねーさん、いらっしゃーい！」とあさひ。
「く……これも全お猫さまに会うための試練なのだ？」

　先をゆくふたりが続けて１回休みマスに止まったのを見て、一番先頭をゆく由貴奈も、自分の行く手、ちょうど道が二つに分かれる地点にある１回休みマスを見遣る。
「うちもひっかかっちゃったりして……」

「って、また６だよぉ！？」
　なんと由貴奈、これで３連続６である。ダイス運はよくないと言っていたが、なかなかのものだ。
「分かれ道は海沿いに行くよぉ」
　由貴奈、初のオレンジマス。引いたらっきー！カードは、『寝子島ふぁんた爺ズが現れた！　爺グリーン（正体は謎）が「チャオ♪」といって猫をくれた。１枚もらう』。続いて引いたねこカードは……
　『白い仔猫：ユキ：寝子高校長室で飼っている。かわいい』
「爺グリーンから、校長室のユキを貰ったよぉ」
　爺グリーン、正体は謎ということになっているが、見た者は言う。あれって校長先生だよね、と……。

「うらやまし……くなんてないし」
　ちょっとツンデレな発言をして、アカリは一回休みである。

「そろそろ１じゃない目が見たいな」
　修がサイコロを振ると、４が出た。
「青、か……」
　すこし残念そうにつぶやく。
　引いたカードは『猫同士がじゃれあって、勢いで走って行ってしまった。２枚失う』。
「だが今、俺の元に猫はいなかった」

「では私」
　エムアは５を出し、分かれ道を海へ。
「らっきーです」
『公園でお昼寝中の猫を発見！２枚もらう』
　エムアはふふ、と笑ってねこカードを２枚引く。
　『三毛猫：ゆんゆん：神出鬼没。鍵をかけてる家の中にも現れたりする』
　『灰色のツンデレ子猫：テオテオ：テオに似ているけれどテオじゃないにゃん』

「ではでは、小萩が行きますよ！」
　えいっと振ると出目は６。
「青のマスですー。『片思いのあの人に、もうお相手がいた。２枚失う』！　なななんてこったですよ！」
　小萩の手元にはミケさんしかいない。
「ミケさーん！　小萩は失恋の痛みに耐えきれなかったですよー」

「辛いね……」
　夏朝は静かにアルクを撫で続けている。１回休み。

　綾花の番だ。
「にゃんこに、会いたいです……えい」
　テーブルの端まで転がったサイコロは、小気味よい音を立て、６の面を天井に向けた。
「わ。オレンジマスです！　『リアルねこ鍋発見写メ激写！１枚もらう』」
「おお～！　リアルねこ鍋！　超見たいのだ～！」
　真央が蕩けるような顔をする。
　説明しよう。ねこ鍋とは、空の土鍋などに猫がぎゅうっと入ってしまうことである。超かわいいのである。
「あら。がおーですよ、真央さん」
　綾花は引いたカードを真央に見せる。
　『召喚デブ三毛猫：がおー：ねこのろっこん』
「がおーがねこ鍋してたのだ！？」
　今度リアルがおーにもねこ鍋してもらいたい。そんな欲望がむくむく膨らむ真央である。

「綾花さんに続け、ですよ！」
　結梨亜はサイコロを振ったが、１が出て１回休みマスに止まってしまった。
「ああ～、お休みです……」
　眉を八の字にしてしょんぼり。

　さて。
　ふりだしに戻ってしまった姫さんはといえば。
「４。快進撃の予定が、なんてこったですよ。『目の前でマンボウくんが気絶！きゅう～！２枚失う』？　まあ幸運そう続かないので仕方ないですが……マンボウくん……夜道に気を付けろですよ」
　姫はクロワとアルクのカードを場に捨てると、冗談っぽくガッデム！ポーズをした。

　三巡目終了

　あさひ（白）　　：　７マス目　：ナガグツ、モーネ、モモ
　真央（みどり）　：　７マス目　：ボン太
　由貴奈（金色）　：Ａ３マス目　：ユキ
　アカリ（ピンク）：　７マス目　：お三夜さま、ミエコ
　修（黒）　　　　：　６マス目　：ねこなし
　エムア（紫）　　：Ａ１マス目　：ゆんゆん、テオテオ
　小萩（水色）　　：１１マス目　：ねこなし
　夏朝（橙色）　　：　７マス目　：アルク
　綾花（青）　　　：１０マス目　：がおー
　結梨亜（黄色）　：　７マス目　：ねこなし
　姫（赤）　　　　：　４マス目　：コバン

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