【星幽塔】第二階層　ラッシュ・ザ・ストリーム｜リアクション

【星幽塔】第二階層　ラッシュ・ザ・ストリーム

　宙に浮かぶ円形の庭。
　中央には石柱が立ち、周囲を三体の像が並ぶ。
　決戦の場。バトル・フィールド。
　
　庚は呟く。
「……星の力……少し変わったらしいな」
　握りしめた拳の、指の隙間からサファイアの光が漏れる。
　魔水の力を秘めた指輪。

　像が動き出し、襲い掛かる。これもまた壁。
　だが、直接ゴーレムを狙うのは、分が悪い。

　顔を上げて跳躍。策がある。
　
　梢は気になることがあった。
　先ほどのスライムの攻勢。スライダー。
　派手に跳躍したり、飛行に使用可能なろっこんを発動した人間が、標的になっていた。
　
　何かの手段で、ショートカットを狙う者がいれば、真っ先に狙われる……。

　ならば、自分のろっこんはうかつに使用できない。
　梢のろっこん『胡蝶の詩』。
　自らを蝶に変えるのが、その主な能力の一つ。
　使いどころが大事だ。
　蝶化の技を使用しない手はない。
　リスクが大きいぶんリターンも大きい。危険を取らずに突破できる関門でもなさそうだ。

　それに何より……彼女には重大な問題があった。

　――スカートで水の中に入るの、嫌なんですよねー。

　周囲をうかがって、ろっこん発動。
　そのまま、庚の背中に乗る。
　うまく、気づかれなかった様子だ。あとは、いざとなったら狙われるのは庚。

　――まっしぐらに戦場に向かう二つの影。
　それを追うように、利平、刀、歩と続く。
　後続部隊を気にしつつも、いち早く戦場についた彼ら、待ちかねたように戦端を開く。