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大きなイチョウの木の下で
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コーン、コーンと釘を打つ音が反響していた。
まぶしかった白い光が引くとそこは林のなかで、大きなイチョウの木を前に、長襦袢姿の女性が木槌をふり上げている。
『憎い、憎い、長田め』
女はぶつぶつと、そんなことをつぶやきながら木槌を振り下ろし、釘を打ち込む。
――こんなことをして何になる?
いつの間にかとなりに立っていた彼女が静かに涙を流す。
――失ったものは取り戻せない。せめてあの人が生きている間に、嫁として少しでも認めてもらえるよう、努力するべきだった。
はらはらとほおを伝う涙。
しかし目の前の女性は、恍惚とした笑みを浮かべて、一心不乱に釘を打ち込んでいた。
そうすると心の奥底に積もった澱
(おり)
が、釘を通して憑代である人形に流れ込んでいくような気がした。そして少しだけ、心が軽くなったような気がしたのだ。
――どうしても止められなかった……。考えずにはいられなかった。長田家が全て悪いのだと。わたしの幸せを奪ったあの家が憎くて憎くてたまらなかった……。
そしてこの光景を、あとをつけてきていた孝明に見られた。うかつにも一刻も早く満願成就をと気が急いて、鍵をかけ忘れて外に出た自分のせいだったのに、孝明のせいだと責めた。
孝明が悪いのだ。
家から出てはいけないと、あれほど言っていたのに、こっそりあとをつけてきたりするから。
だから、こうなるのも孝明のせいだと……。
知らぬ間に、狂っていたのだ。
自分にとって何が一番大切かも分からないほど長田への憎しみに凝り固まって、このためだけに自分は生きているのだと信じ込んでいた。
丑の刻参りを完成させるためには、孝明を殺さなくてはならない。
孝明は自分が見たものが何かも分かっていないようで、出された最後の食事を素直に食べて、いつものように布団に入った。
――そしてわたしは眠っている孝明の顔に白い布をかぶせた……。苦しむ孝明の顔を見たくなくて。
子どもの首はとても細くて、両手に余って。指に当たる骨はすぐにぽきりと折れてしまいそうだった。
ふわふわとして、痺れが起きて、まるで現実味がない。
『たかちゃん……、ごめん、ね。お母さんも、あとからいくから……、ごめんね……』
そう、何度も何度もつぶやいているうち、両手に力をこめられるようになっていく。
そのままだったら、最後までできたかもしれない。だけど苦しそうに孝明が顔を振って、白布がずれて。右目の部分が露出した。目には涙が溜まっていた。
『……どう、して……? おか……あ、さん……』
見上げる瞳。千切れる息をしながら振り絞られたか細く幼い声が、心を粉々に砕いた。
――わたしはずっと、できそこないの人間だった……。体が弱く、心も弱く、あの人が生きていたころはあの人に頼りっきりで、長田の人たちがそんなわたしに失望していることを知っても、怖くて見返すこともできなかった。そうして彼らを呪ったけれど、それさえも果たせない。息子を殺さなければ呪いはわたしに返ってくる。でももう息子は殺せない。
人として、妻として、嫁として、母として。何ひとつ満足にできなかった自分など、消えてしまえばいい――。
目が痛くなるほど白い光のなか、首を吊る女性の姿が遠くにかすかに見えた気がした。
そして耐え切れずまばたきをした瞬間、彼らは星神社の境内に立っていた。周囲はすでに真っ暗で、頭上では星がまたたいている。
「今のは……」
気の抜けた声でつぶやいたのは結梨亜だ。
まだ意識が自分の体に戻り切っていないような、半分呆けた頭で辺りを見回すと、みんな結梨亜と大して変わらない、似たり寄ったりの反応をしていた。
白昼夢、と言うのかもしれない。ただの幻。もしかすると修が人形を破壊し、紫の破魔矢で怨霊が砕け散ったことによる複合効果で見えたのかもしれない。分からないけれど。
「……孝明くん!」
はっとなって孝明の姿を目で捜す。
もしあの幻影を孝明も見たのだとすれば、あの女性が母親だと知ってしまったことになる。
はたして孝明は先に叫んだのと同じ場所に立っていて、人影のあった場所を見つめて彼らに背を向けたままだった。
「……知ってしまったのか……」
刀が林から出てきた。頭に手を添えている様子からして、彼もあれを見たのだろう。
(できれば知ってほしくなかった)
実の母親が丑の刻参りの目撃者である自分を殺そうとした、怨霊になって自分を苦しめていた、なんて事実は小学生には、いやだれにだって重すぎる――そう思い、唇を噛み締める刀の耳に、喬の言葉が届いた。
「大丈夫だ。ああ見えて、あれは強い。ナリは小せえが、人一倍勇気がある」
おれなんかとは違って、との声にならないつぶやきは、だれの耳にも入らなかった。
「……ああ、そうだな」
その言葉に刀も納得する。
彼らの前、結梨亜の何度目かの呼び声に反応して、ようやく孝明が振り返った。
孝明は穏やかな表情を浮かべていた。その心の内は見通せない。そして見守っている彼らを順々に見て、静かに頭を下げた。
「皆さん、ぼくのために、いろいろとありがとうございました」
その姿は、まるで一足飛びに大人になったかのようだった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
寺岡志乃
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
ホラー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年04月12日
参加申し込みの期限
2016年04月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年04月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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