奇妙な昼休み～先生、ろっこん発動しっぱなしです～｜リアクション

奇妙な昼休み～先生、ろっこん発動しっぱなしです～

おまけ

――数日後・昼休み

・家庭科準備室
「どのレポートも良く出来てるわね。それにケーキも美味しかったし、文句なしね」
　白沢絢子は先日の授業に提出されたレポートを採点し終わり、一息ついていた。紅茶のお供はおいしそうなカップケーキである。
「なんだか懐かしい気持ちになっちゃって作ったけれども、夢で食べたような……？」
　そんな事を言いながら1人もぐもぐしていると、こんこん、とノックされる。入室を促すと……結城永遠だった。彼は絢子が『無自覚』のもれいびである事を他のもれいびから聞いている。
（あの時は、なかなか元に戻らなかったが……。無事に戻ってよかった）
　そう思いながらも、その日日直だった彼は日直としての仕事をする。
「先生、次の授業に必要な物はあるのか？」
「そうねぇ、視聴覚室で配る資料を持っていってもらえるかしら？」
「解った」
　永遠は頷き、側においてあったプリントを手に退出しようとして……ふと、手を止める。よくみたら、あの日自分が買ったサンドウィッチと同じ物が机の上にあった。
「ん？　これは後で食べるの。今日はちょっと残業があるから……」
「そう、か……」
　なんとなく、それだけなのにちょっと嬉しくなった永遠なのであった。

　　＊　＊　＊　＊

・ボクシング部部室
「えっ？　センセとスパーしたんか？」
「うん。ほら、巧センセー、高校生ぐらいにもどってたから、丁度いい練習相手になるかなーって」
　同じ部活である須藤清一郎と桜庭円は部室で雑談しているうちに、その話題となった。清一郎は一応巧が少年に戻っているのを友達経由で知ってはいたが、やはり女性の方に行ってしまう辺り彼らしい。
「俺はその日、尚先生が困ってるみたいやったから色々手伝っとったんよ～。尚先生のろっこんって色々やっかいやし」
　彼は大橋尚のドジをフォローするためアレコレがんばった話を円にし、「なるほど」と頷かれる。
「だから練習休んでたんだ～。まぁ、気持ち解るよ？　先生たちが困ってたら助けたいよね」
「そうやろそうやろ？」
　円の言葉に相槌を打つ清一郎だが、脳裏を過ぎったのは、職員室で転びかけた尚を受け止めたとき、ふわりと香ったフローラルの香りだった。
（やっぱり、可愛い先生ってええな）
　内心でガッツポーズを決める清一郎だった。

　＊　＊　＊　＊

　五十嵐尚輝は相変わらずのんびりと実験準備に勤しんでいる。その姿を見ながら優木遥斗は、先日見えた小鳥の事を思った。
（多分、あれは聞いてはいけない類なんだ。きっとそうだ……）
　小鳥はかわいい。小鳥は好きである。だが、目の前の尚輝は……謎だらけだ。そんな風に思いながら、遥斗は尚輝を見る。
「優木君、……次の授業で使いますから、この道具をこの籠に入れておいてください」
「は、はい」
　遥斗は言われた通り道具を籠に入れ……気づいた。また、尚輝のぼさぼさ頭から小鳥が顔を出しているのを。そしてぴちちち、と愛らしく鳴くその声に、尚輝がのんびりと僅かに笑う。
「どこかで鳥がないてますね……。いい天気ですからねぇ」
（いや、先生の頭にいるから！）
　そういえない遥斗だった。

（おまけ・終）

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あとがき

担当マスター：菊華伴
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菊華です。
今回は先生方のろっこんが発動しっぱなしという地味なトラブルではありましたが、いかがだったでしょうか？
『コメディ路線』でしたので、面白さ重視を目指してリアクションをしたためてみました。

＞今回のおはなし
実を言うと、あーちゃんに関しては「ただお腹が一杯になる」だけではなく「優しく接する」というのも大事です。
関わってくださった皆さんのアクションはどれも優しいな、と思いました。
その優しさの積み重ねが、リアクションに出ております。

他の先生方より早く神魂の影響を抜けた白沢先生は、疲労度がほんのちょと少なかったりするのですよ。

また縁がありましたらよろしくお願いします。

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