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猫鳴館の壁は薄い。
加えて床は踏むたびに軋む。更に加えて、早朝だろうが深夜だろうが足音も殺さず歩き回る住人も多い。
神代 千早
の朝が早いのは、大抵が他人の生活音その他に否が応にも叩き起こされるためもある。
防音とは程遠い寮の建物の一室で、千早は、けれど今朝は誰かしらのたてる騒音に煩わされずに目を覚ました。
ひそりと静まり返る寮の天井をしばらくぼんやりと眺め、枕元の眼鏡を取る。明瞭になる視界に瞬き、布団から抜け出す。
肩を滑り落ちる黒髪を片手に掴む。手首に通したままの髪ゴムで適当に結いつつ、薄明の光が揺れる廊下に出る。
誰のものとも分からぬガラクタがそこかしこに散らばる廊下を、誰にも会わずに渡る。廊下の端に備え付けられた古びたシンクで顔を洗い、シンク脇のガスコンロで湯を沸かす。
あまり冷えない共用冷凍庫に入れていた冷凍ご飯と卵で卵粥を作り、倉庫代わりと成り果てている食堂の隅で朝食をとる。
(……珍しいな)
誰の声が聞こえないことも、廊下を誰も歩いていないことも。いつも誰かしらの気配があって騒がしい猫鳴館で、こんなに静かな朝食をとるのは、もしかすると初めてかもしれない。
食事を終え、食器を片づける。シンクに落ちる水音も、洗い桶に置く陶器の音も、
(やけに響くな)
自分のたてる音ばかりが響き渡ることをわずかに不思議に思いながら、自室に戻る。その間も、まるで世界にただ一人、己のみしか存在していないような静けさが広がっている。
微かに首を捻りながら、前日からの予定通り、自身の作品に使用するための素材集めに出かける。
テーマは『冬の寝子島』。
ダウンジャケットとボディバッグとデジカメが、素材集めの散歩のお供。
誰にも会わぬまま、猫鳴館の壁際に置いていた愛用自転車に乗る。空を仰げば、雲ひとつなく乾いた青空をひび割れさせるようなかたちして、一枚残らず葉を落とした木の梢。
舗装されていない坂道を下り、街に出る。
自転車で少し走ってみれば、異常は明らかだった。
通り沿いのカフェの窓ガラスから見える店内のテーブルで、珈琲のカップだけが静かに湯気を立てている。
コンビニに足を踏み入れる。軽快なチャイムばかりが店内に鳴り響く。客どころか、店員の姿すら見えない。
空っぽのコンビニを出る。白い息を吐き出し吐き出し、しばらく立ち尽くしても、眼前の道路を過る車は一台もない。
誰も居ない町を、自転車を押して歩く。
頭に蘇るのは、先日の停電の夜。眩しい星空を背にして海の空に浮かんだ、あの不思議の島。
(あの島のように)
今のこの状況も、誰かのろっこんが招いた現象なのだろうか。
自転車の車輪が回る音が聞こえる。空を渡る北風の音が聞こえる。
寝子島街道を北上する。誰一人としていないシーサイドタウン駅前を横目に線路沿いに歩けば、線路の途中に停車する寝子電が見えた。普段ならあり得ない光景をさらす列車内には、車掌の姿も乗客の姿もない。
朝の光を浴びる寝子電スタジアムに入り込む。警備の人間もいない、電灯ばかりが煌々と照る廊下を通り、青々とした人工芝のフィールドに出る。
空っぽな上にだだっ広いスタジアムの中心に腰を下ろす。
芝の上に背中を投げ出して寝転ぶ。張り出したドームの白い天井、何事もなさげにのんびりと流れる雲。普段は滅多と立ち入ることのないスタジアムの中央から見上げるアングルで、デジカメのシャッターを切る。
「そういえば、猫の姿もどこにもなかったな……」
スタジアムに響き渡るデジカメのシャッター音に瞬きつつ、ぽつり、零して起き上がる。背中についた芝を掃い、視線を巡らせる。次は海へ向かおう。
道々に、思う。
この世界が、――この空疎な世界が、本当に誰かのろっこんによって生み出された世界だとしたら、
(その持ち主の目に映る世界はどんなものなんだろう)
誰もいない道を辿り、誰もいない海に辿り着く。堤防の傍に自転車を置き、防波堤に登る。砂塗れの壁の上に座り込んで、気づいた。壁を這う虫さえこの世界にはいない。
ここには、己ひとりしか存在していない。
息が詰まるような、胸が締め付けられるような。朝から次第にひたひたと胸を侵してきた気持ちがとうとう喉元にまで迫って、千早は静かなまなざしを冬の海に放つ。
(もしも)
もしも、この気持ちがそう呼ばれるものだとしたら。
(孤独に色をつけるとしたら、僕は)
空の青を鮮やかに映してさえ、凍える海底の鉛色を波間に覗かせる冬の海の『青』。
孤独の色を掴み取ろうとするかのように、冷え切った指先を宙に伸ばす。デジカメのシャッターを切る。
もしも世界が元に戻ったら、絵を描こう。
冬の海の色で、誰もいない世界を。誰もいない世界に漂う孤独を。
そうして名づけよう。『アローン ザ ワールド』と。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年03月23日
参加申し込みの期限
2016年03月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年03月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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