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「父さん? 母さん?」
誰もいない。
「ばぁちゃん」
家族の名を呼び、家中を探して回る。
「……ゾーイ」
誰もいない廊下で、どんなに小さな声で呼んでも駆けつけてくれる愛犬の名を呼ぶ。来ない。
「ゾーイ!」
今度はもう一度大きな声で呼んでみる。大好きなゾーイが元気に床を蹴って来る足音は、家中のどこからも聞こえてこない。
(どうして誰もいないんだ……)
気づいた時には、家の中は空っぽだった。どれだけ探しても、誰もいない。
大好きな祖母ゆずりのアイスブルーの瞳を心細さに歪めてしまってから、
双葉 由貴
は少年らしい滑らかな頬にぎゅっと力をこめた。
(これ……神魂の影響か?)
そうであるのなら、
(どうにかしないともしかしてずっとこのまま……?)
過る不安を首を激しく横に振って追い出す。
亜麻色の短髪を乱したまま、冷たい廊下を渡り、靴を履いて外に出る。明るい冬空の下に広がる、いつも通りの旧市街の街に、けれど人だけがいない。人どころか、いつも道のどこかしらにいる猫の姿さえ無い。
父と仲よしな近所の家の庭にも、母と一緒に行く八百屋にも、祖母が時々連れて行ってくれる喫茶店にも、――どこにも、誰もいない。
(もしかして俺一人だけ?)
思った途端、身体中の血が熱くなって、冷たくなった。
「父さん、母さん、ばぁちゃん、ゾーイ!」
家族を求めて声の限りに叫んで、空っぽの街を見回す。誰か隠れていないかと見知った道を駆ける。
(嫌だ)
会いたいのに。また会いたいのに。
友達も、家族も、皆どこにもいない。
目眩にも似た心細さが胸を潰す。息が詰まる。
(誰もいないなんて嫌だ)
誰もいない街の真ん中、思わず立ちすくむ。立ち止まった途端、涙があふれた。押し寄せる北風に華奢な身体を叩かれ、よろめく。
(泣いてどうするんだよ俺)
ぺたり、道端に尻をついてしまえば、不安を堪え続けて我慢し続けて来た涙は止まらなくなった。
(泣いたって皆は帰ってこないんだぞ)
こんなときだからこそ男らしく強くありたいのに、どうして涙が止まらないのだろう。震えが止まらないのだろう。思えば思うほど、自分で自分を叱りつけるほど、かみ殺そうとした嗚咽が喉から漏れた。
「皆……みんなっ」
どれだけ呼んでも誰も答えてくれない。こんなのは嫌なのに。こんな世界は嫌なのに。
乾いた空の下、涙に濡れた唇を噛む。しょっぱい涙と一緒に悲鳴じみた慟哭を飲み込む。
泣いて哭いて、泣き疲れてしまえば心は少し落ち着いた。青い瞳に蒼い空を映す。
(俺は男だから)
勇気を引き出す呪文を思う。男だから、泣いてばっかりはだめだ。まだ諦めちゃだめだ。だって、
(俺はまた皆と会いたいからっ)
強張る膝に力をこめ、ゆっくりと立ち上がる。服の袖で眸を拭い、両手で涙の跡の残る頬をきつく叩く。
「しっかりしろ俺!」
どこかに誰かいるかもしれない。
(探そう)
自分ひとりではこの状況をどうすればいいのか、まだわからないけれど、誰かと出会うことが出来れば、何か思いつけるかもしれない。
(見つからなかったら)
気弱な呟きは、
(見つからなかったでまた考える)
拳を固めて追い払う。
とにかく今は動こう。
動かなくては、動けなくなってしまう。
(だから動かなきゃ)
再び歩き始める。無意識のうちに辿るのは、毎朝通う小学校への道。
道を辿りつつ懸命な瞳で人の姿を探す。角を曲がる度に誰かがいることを期待して裏切られて、それでも立ち止まらずに歩き続けて、――そうして、道の向こう、空っぽの街の真ん中にたった一人立ち尽くす、栗色の髪した女の人を見つけた。
「良かった……!」
人がいた喜びを隠しきれずに駆け寄ろうとして、振り返る女の人の手に錆びついた包丁が握られているのを、見た。
絶望の色した翡翠の瞳で、
後木 真央
が無表情に振り返る。
「クローネ」
「……え?」
錯乱のあまり少年を烏の姿に見紛い、真央は地を蹴る。
「クローネ、許さないのだ!」
躍りかかる。逃げようとする少年の細い肩を掴もうと手を伸ばす。逃げようとした少年が自分の足に自分の足を絡め、転んだ。
「うわっ?!」
機敏そうに見えて思いがけず鈍くさい少年の思いがけぬ動きに虚を突かれて巻き込まれ、真央と由貴はその場に一緒に倒れる。
真央の手に握られていた包丁の切っ先がアスファルトに弾かれ、その衝撃に真央の手から離れて滑った。
「わひゃう?!」
倒れた拍子に額を打って、真央は正気を取り戻した。押し倒した格好の少年の身から跳ね起き距離を取る。
「ごッ、ごごごごめんなのだッ!」
「……へーき」
土下座の勢いで頭を下げる女子高生に向け、起き上がった由貴はそれでも安堵の息を吐く。微笑む。
「人が居て、良かった」
人を探しに探した果て、野宿しようと潜り込んだ夜闇の橋の下、ふたりが見つけたのは色鮮やかに心を和ませる、絵画。
「月詠ちゃんの絵なのだ!」
真央が飛び跳ねる。友達が壁に描いた絵に全身で抱きつき、頬や制服にペンキの色を付着させてまた笑う。
夜も近いためか月詠の姿はここには見えないけれど、描き上げられたばかりと見えるカラフルな絵を見仰ぎ、由貴は澄んだ瞳で笑う。
「……大丈夫」
この世界にひとりきりではないということを信じて、少年は繰り返す。
「大丈夫、明日になればきっと――」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年03月23日
参加申し込みの期限
2016年03月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年03月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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