せんせいといっしょ：桐島先生編｜リアクション

せんせいといっしょ：桐島先生編

●先生のじゅなん！

　ようやく静かになった。辺りではなく、己の心がだ。
　先ほどの事態を知る者は帰宅した。
　幸いだったのはあのマウスパッドについての誤解が(多分)解けたことと、破れ目が無くなった事だろうか。
「ふぅ……」
　お茶を飲んでも、もう激辛メロンパンの味が襲ってくることもなくなった。
　うっかり思い出しそうになる感覚に、桐島義弘先生は眉間を抑える。
　辛くない、辛くない、辛くない。
　念じる義弘は、気付かない。後ろから近付く存在とその視線に。

　偶然にも義弘の姿を見つけた宮祀智瑜。
　普段からよく転び、今日もまたそれに習う。
　別に足元に何かがあったとか、滑りやすかったという事は一切ない。

「義弘先生、わっ…！！」
「……なんだっ！？」

　振り返った時にはもう遅く、目に入ったのは自らにダイブしてくる女学生。
　勢いは止められない。しかしかろうじて、抱きとめる事は出来た。
　え。なんか先生カッコイイ。決まっています。
　――しかし。

　先ほど何か、嫌な音がしました。
　びりっと、とっても嫌な音がしました。
　嫌な予感しかしません。

「ご、ごめんなさいっ」
（勢いで先生にぎゅってしちゃった！）
　顔を赤く染めながら謝りつつも内心喜ぶ智瑜と、
「……宮祀、」
　抱きとめたまま溜息をつく義弘。
　それにしても、と何か嫌な音を聞いた気がする……と予感が一つ。
　記憶に新しいとても嫌な音。
　まさか、とまた後ろを気にし始め、手を伸ばしてみると……、

「！！！！」

『また』だった。
　何が、かは察して貰いたい。

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