【お正月】初夢が見られなくなる！？｜リアクション

【お正月】初夢が見られなくなる！？

●これ以上食べさせない

　追いかけ、逃げてと様々な理由で合流した６人が寝子高を出た途端、何かが墜落したような音がした。
　音がした方向を見ると、ＳＦ作品かシューティングゲームの自機のような宇宙戦艦が不時着していた。
「いたた……」
「痛いですよ！」
　不時着の衝撃で機体から放り出された神薙焔と北玄が、痛む身体をさすりながらぼやく。
「神薙も獏を探しているのか？」
　八神修にそう尋ねられ「八神くんも？」と聞き返す焔。
「ああ。風雲児達と合流して一緒に探している。正直言うと、俺は逃げたいんだが」
　七夜あおいと過ごす時間を邪魔されたくないから、とは言えない。それは彼だけの秘密。
「私達も一緒に探すわ。これに乗っていけば、広範囲で探せるわ」
「同じ目的の奴と一緒に協力する。これぞホントのドリームチームだな！」
　やってやるぜ！　と意気込む風雲児轟を先頭に、皆、宇宙戦艦に乗り込んだ。

　綾辻綾花と森蓮は、夢を渡り歩く獏の異変に戸惑っていた。
「これまでに他人の夢を食べたからでしょうか？」
　綾花が制止しても、空腹を堪えられない獏は勝手に夢を食べてしまった。
「私達と会った時、既にたくさん食べているように見えました。伝説上の生物とはいえ、健康に問題がないか心配です」
　健康に害をもたらすと判断した蓮は、獏が望んでも、自分と他人の夢を食べさせないと決めた。
「獏さん、もう夢を食べちゃダメ！」
「綾花さん、獏さんは止めても無駄なようです。麻薬中毒が良い例です」
　２人が必死に引き止めても夢を食べに行こうとする獏に困り果てた時、ワープで辿り着いた宇宙戦艦が現れた。
「見つけたわ！」
　篠原翠響は宇宙戦艦から飛び降りるなり獏に接近するが、捕まりたくない獏は逃げ出した。
（ブクブク太って重たそうなのに、何で早いのよ！）
　追いかけている最中、獏は幾度か瞬間移動した。他人の夢を食べたことでパワーアップしたのだろう。
「乙女の底力、甘く見ないで！」
　執念の猛ダッシュで獏に追いついたので、しがみついて動きをとめようとしたが体重の入った体当たりを仕掛けてきた。
　こんなのに負けたくないと思ったその時、全身の体重がいきなり消滅したような感覚になり、先程よりスピードが増して動きがキレキレに。
　新体操で鍛えているとはいえ、急激にこうはならない。
（もしかして、これって、ろっこん？）
　機動力が増したので接近し一気に吹っ飛ばそうと行動に出るが、獏の体当たりで吹っ飛んだ。
「大丈夫か？」
　吹っ飛ばされた翠響を、轟が受け止めてた。
「皆さん、暴力で解決するのはやめてください。話し合いで解決しましょう」
　暴力を嫌う蓮は、獏と話をさせてほしいと退治しようとする面々を思い止まらせる。
（動物の言葉が理解できればスムーズに会話できるのですが）
　そう思った時、蓮の頭の中に何かの声が。

『ユメ………モットタベタイ……モット……』

　話をしたいと強く願ったことで、動物と話ができるろっこんが使えるようになったようだ。
「お腹いっぱい食べたい気持ちはわかりますが、身体に良くありません。腹八分目、という言葉を聞いたことがありませんか？」
　優しく微笑む蓮に話しかけられた獏が、急に苦しみだした。どうしたのだろう？

『モット……モットタベタイ！！　タベサセロ！！』

　ゆっくりとした口調、目つきが険しくなってきた。
「そういえば、皆さんと会うまでの間、私達から離れていました。その間に夢を食べていたのでしょうか？」
　蓮の言葉に、綾花もそうかもしれないと思った。
「獏さん、もうやめてください。これ以上食べちゃダメ！」
　綾花が止めるのを聞かず、獏は更に夢を食べようと動き出す。
「綾辻、森、おまえらには悪いが、俺はこいつを退治する。夢を食われちまったんでな」
「俺も御剣と同じだ。放っておいたら、寝子島の人の夢が食われちまう」
　御剣刀と轟は、申し訳ないと思いつつ獏退治の準備にとりかかっている。

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