ウィンター！部活動のお時間です！～文化部編～｜リアクション

ウィンター！部活動のお時間です！～文化部編～

　そうこうしているうちに、彩のお多福豆と絽紗の黒豆も仕上がった。
　絽紗の黒豆と鍋を並べて、彩が豆を見比べて言う。
「……凄い、つやつやに、出来ましたね……」
　時間がかかった甲斐が有る、と息を吐き汗をぬぐう。
「美味しく出来たみたい」
　綾花も自分の料理の味見を済ませ、一安心する。
「これでねかせた海老がいい具合になっていれば完成ですね」
　絽紗も言い、冷蔵庫の扉を開ける。
「ＯＫです。重箱に詰めましょう」
　手分けしてそれぞれの料理を重箱に詰めていく。
「重箱に入れた際の見栄えと彩りを整えて、完成でーす」
　絽紗が言い。
「こうしてきちんと形にすると、なかなか壮観だなー」
　とレオンが感心する。
「ほんと！　売ってるのみたいに豪華！　写真撮らせてもらっていいですか？」
　美弥子が言うと、
「……ど、どうぞ……」
「あ、私も撮りたい！」　
　彩がＯＫしたのを聞いて、ののこも美弥子と共に携帯を構えた。
「皆で作った物で一つのお重ができるのって嬉しいですね」
　綾花が言い、皆がテーブルについた。

「いただきます！」
　手を合わせて言った後、小皿に取り分けて食べる。
「美味しい！」
　誰からともなく言葉がこぼれ、皆が笑顔になる。　
「皆さん手際が良くて凄いなって思います」　　
　綾花が言い、
「ほんと、ＴＶの料理番組の人みたい！」
　ののこが賛成する。
「もうお正月が来た気分ですね」
　それから皆は感想を言い合ったり、お正月の話で盛り上ったりした。
「ごちそうさまでした。美味しかった！　お腹いっぱい～！」
　ののこや美弥子が感謝を述べる。
「お疲れさまでした。また寮で作ってみたいです」
　皆で片づけを終えた後、綾花は言った。
「……出来たものは皆で……タッパーで、少しずつ分けて持ち帰りましょう」
　彩が言い、それぞれが少しずつタッパーに詰めた。
「また食べに来たいなあ」
　ののこがつぶやいた。
「あ、あのっ、手芸もやってますので、また来てください……」
　この前よりは滑らかに言えた……かもしれない。
　皆でおせちを作り食卓を囲む楽しさと美味しさに心満たされて、彩は思う。
（よい新年を迎えられますように。来年も、今日のように、今年のように楽しい日がたくさんありますように）
　ののこと美弥子を送り出す彩の目に涙はなかった。