仲良くなりたい？｜リアクション

仲良くなりたい？

○剣崎エレナ

　とある洋菓子店の前で財前華蓮は剣崎エレナにばったり出会いました。
（剣崎さん？）
「はあ、我慢我慢ね。私は寝子高のアイドルなんだし、しっかりしなきゃ」
　こちらには気づいてないらしく、そんなことをつぶやいています。
（この私を差し置いてアイドルだなんて図々しい）
　そんなことを思いつつ、華蓮は高笑いし、いつものように憎まれ口を叩きます。
「オーッホッホッホ！　あら、剣崎さんじゃありませんの。我慢しなきゃコントロールできないなんて、まだまだじゃありません？」
　そしてカッとなったエレナも負けてはいません。
「何よ、ぜんざいやらカレーやら食べものみたいな名前して」
　金髪美少女同士の舌戦に衆目が集まります。
　そこへ背後から声がかかりました。
「あ、華蓮ちゃん」
　知り合いの十文字若菜でした。
「エレナちゃんと話してたの？　相変わらず仲がいいねー」
「ハッ！　あの女は私の宿敵ですわ！　あの女と仲がいいなんて……」
　否定する華蓮ですが。
　そのとき、華蓮の視線がエレナの視線と交差しました。
　その一瞬華蓮は、前に映画を見たときのことを思い出したのです。
『恋することより、友達のほうを大切にしたいな』
　あの時確かにエレナは、華蓮のほうを見てそう言ったのです。
「あの女と仲がいいなんて……ない……いえ、ある……？　あれっ！？」
　華蓮は小さな声で呟きます。
「やっぱり仲良しなんじゃない。じゃあ、またね」
　若菜はにっこり笑い、去っていったのでした。

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