仲良くなりたい？｜リアクション

仲良くなりたい？

○伊東大志先生

　ある晴れた、小春日和な冬の日のことです。
　大天使天吏は授業を抜け出して屋上で渡り鳥を眺めていました。
　成績は優秀な天吏ですが授業に対しあまり興味がないので、教室にいてもいつも上の空で空を眺めています。
　授業、というより人間が嫌いなのです。

　そこへ、担任の伊東大志先生がやってきました。
「大天使さん。授業中は教室で授業を受けてもらえませんか」　
　いつもなら天吏は無視してしまいます。
　しかし父親が大学教授なので、先生は尊敬すべき存在として認識しています。
　白髪交じりのベテラン教師である伊東先生は、頭ごなしに怒鳴りつけたりしません。
　口調も上品で爽やかなものでした。
「ごめんなさい先生」
　最近天吏は猫を被っておとなしくする悪知恵を習得しました。
　皮肉にもそれは彼女が嫌っている人間らしい方便でしたが。
　今回は悪知恵モードを働かせ教室に戻ることにしました。

　その背中を見送りながら伊東先生は、何かぞくりとするものを感じるのでした。
「やっぱり屋上は寒いですね……」
　長年教師をやってきて、さぼる生徒も猫を被る生徒もたくさん見てきています。
　しかし彼女は何か違う……と無意識に感じつつも。
　生徒を愛しつつ、公平であるべく深入りしすぎないことは、長年大過なく教師を務めるのに役立つ姿勢でありました。
　

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