仲良くなりたい？｜リアクション

仲良くなりたい？

○鷹取洋二

　テストも返却され終業式も間近に迫ったある日。
　羽生碧南は、ワカメ頭先輩こと鷹取洋二とばったり出会いました。
「やあ羽生くん、元気にやっているかい？」
「はい。鷹取先輩も元気そうですね」
「僕？　僕はいつでもオーケーさ」
　変人と言われる鷹取ですが、碧南とは波長が合います。
「ところで、羽生くんは冬休みはどうするんだい？」
「えーと、初詣には行こうと思ってます。それ以外は……やっぱり、乙女ゲームの攻略ですね。あ、そういえばネコミケも行きたいです。乙女ゲーの同人誌を買いに」
　バスケットボールを手にすれば全国レベルの選手の碧南ですが、楽しみは断然乙女ゲームなのでした。
「羽生くんらしいね。クリスマスは？」
「うーん、特に考えてないです。先輩は？」
「僕も先のことはあまり考えてないけどね。芸術を楽しむ冬休みにしたいね。あとは駄菓子とか」
「先輩らしいですね」
　お三夜まつりで碧南は洋二に、似合う衣装をコーディネートしてもらいました。
　予想外に格好いいその出来栄えに碧南は感動しました。
　見かけはワカメ頭ですが、鷹取先輩のセンスはたいしたものだと思います。

　ずっと話していたかったけれど、チャイムが鳴りました。
「それじゃまた」
　碧南の姿が見えなくなってから、洋二が呟きました。
「そういえば、クリスマスはコンサートがあるのを忘れていたよ」