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「ひまつぶし、ではないですよね」
返答は入り口からした。
毒島 虹子
が軽くドアに肩を預けて立っている。
気配に気づけず、いつからそこにいたのか、内心とまどう月に、虹子はほほ笑んだまま付け足した。
「場合によっては、趣味の部分は多少あるかもしれませんが。ね? 中山さま」
そして喬の元へ歩み寄る。無言で自分を見る喬の眉間にしわが寄っているのを見て、くすりと笑った。
相変らず口元を固く引き結んだままで、訪ねてきた客を歓迎する素振りも見せない。喬のこの飾ろうとしない不愛想さが虹子にはおかしく思えてならなかった。
今もきっと、自分のことを勝手に言われて、気を損ねているのだろう。
「……何の用だ」
「はい、これ」
虹子が差し出したのはひざ掛けだった。
「いくら室内でも、用心しないと駄目です」
黒や紺、ボルドーの別珍素材の布にスパンコールをつけて星空をイメージされたそのひざ掛けは、茶会の客用として用意されていたものだった。
茶会のことを知った虹子が、きのうのうちにわざわざ持ってきてくれていたことを喬は知っていた。あいにくと彼が留守中の訪問だったため、密架から聞いただけだが、これが虹子の手づくりの品であることは聞かなくても分かった。
ため息をつくとそれを無言で受け取って、ひざに広げる。
「ふふ。中山さまには、やっぱりボルドーが似合いますね」
ほほ笑んで見せたあと。虹子はやおら居住まいを正した。
「スノードームのときは大変お世話になりました。……失礼かもしれませんが、私、中山さまが芸術家として真摯に作品づくりに取り組んでいることにあのときは気が付きませんでしたの。
これから先、中山さまの作る作品、作品に込めた思いを私は受け止めたいのですわ……駄目でしょうか?」
もちろんこれは、この言葉が完全にまとはずれであることを理解しての言葉だ。あえてこういうことを慇懃無礼に口にすることで喬の神経をさかなでするというか、ちょっと揺さぶってみるのが虹子の目的だった。
思ったとおり、眉間のしわはますます深くなって、見るからに嫌そうだ。
内心小気味よく感じていた虹子の耳に、ぼそっとそのとき喬のつぶやきが入る。
「やめろ」
「え?」
「その、「中山さま」っての。あと、おまえもだ」
と月を見る。
「私?」
「先輩はやめろ」
「だって先輩なのは間違いな――」じろり、とにらまれて、月は肩をすくめる。「ま、たしかにどんな呼び方したってたいして変わらないか。
言葉づかいも、態度もそう。実際、製作者同士でそれはあまり意味がないと思うよ。己の中にある他者に示したい情景や想いや意思とそれを作品として表現しうる技術。作品で語り合う私たちにとって、それ以上の何が必要なんだ?」
(あらあらこれは)
虹子はほおの内側を噛んでこらえる。思ったとおり、喬は最高に不機嫌そうだ。
月も喬も、そして虹子もデザイナーではあるが、彼女たちと喬はほぼ正反対、対極にあると言っていい。
喬は自分のために何かをつくることはない。彼はまず売れることを前提に商品をつくり、販売する。デザインは製作にかかる材料費と時間、想定販売価格を計算しながら行う。そこに自己表現だのはないし、自己を切り売りもしない。そもそも自己と同一化などしていては第三者的視点による評価が行えない。むしろ商品と自分に距離を持つことが必要なのだ。
彼は自分がしていることを芸術とは思っていなかった。むしろ職人と思い、だからクラスも普通科に入っている。
知り合ったばかりでそこまで深く理解しろというのはどだい不可能な話だが……。
(もしかして、面白いのが見られそう?)
喬が何と言うか、期待して待っていたのだが。
そのときがらりとドアの開く音がして、軽快な声が飛び込んできた。
「お邪魔しまーすっ。下に来てひと息入れたらどうかって、密架さんがおっしゃってますよ……って、あれ?」
結梨亜・カールシュテイン
は、喬を見て何かに気づいたような、驚きの表情を浮かべる。
「もしかして、中山くん? ここ、中山くんのおうちだったんですか?」
「ああ……?」
妙に知った様子で口をきかれて、喬は面食らった。すっかり先までのことは忘れて、首を傾げて結梨亜を見ている。
結梨亜はスリッパでぱたぱた軽い足音をさせて寄っていった。
「私、覚えてません? ほら、この前のクリスマスパーティーでご一緒した」
「――ああ」
クリスマスパーティーと言われて、喬のなかで閃くものがあった。
そういえばサンタ帽をかぶって、何かと会場内を走り回っていた女の子がいたな、と。
『よかったらお菓子食べますかー? このクッキーおいしいですよ!』
そう言って、チョコとクッキーを差し出されたこともついでに思い出した。
「あのときの」
「1年8組の
結梨亜・カールシュテイン
っていーます。よろしくお願いしますねっ」
喬が思い出してくれたことにうれしそうに笑って、結梨亜は言う。
「あ! それで、さっきの密架さんからの伝言なんですけど!」
「……行く」
ふーっと重いため息をつきながらも立ち上がった喬に満足そうな表情で、「よかった」と結梨亜は内心ほっとした。
断られたらどうしようかと思っていたのだ。
こういうのは無理強いするものじゃないし、人混みや騒々しい場所が苦手って人もいる。そういう気持ちは大切にしたい。
でもやっぱり、みんなが集まって楽しくしているのにひとりだけ別の場所にいるって、気になってしまうから。できれば彼にも来てほしかった。
「じゃあ私、先に下りて、テーブルの準備しておきますねっ。あ、そうだ、これ!」
思い出したようにポケットをさぐって、使い捨てカイロのお徳用袋を取り出す。
「下のみんなに配ったので開封してますけど、まだ残ってますから! 差し上げますっ。外の空気、冷たくて気持ちいいけど、やっぱり寒いですから。
これ、すっごくよく効くんですよ! ぽっかぽかですっ」
「あ、ああ……」
喬が受け取ると、次に結梨亜は虹子と月を見た。
「おふたりの分の席もご用意しておきますので! ぜひ皆さんご一緒に!」
ぱたぱたぱたとせわしなく部屋を飛び出して、現れたときと同様に唐突に去って行く。階段を駆け下りる足音にかぶさって、結梨亜が密架を呼ぶはずんだ声が下と外、両方から聞こえてきた。
「密架さーんっ。中山さん、来てくれるそうですっ♪ 」
そしてテーブルの準備をしているような音がかすかに聞こえてくることに、喬はもう一度ため息をつくと、まだ握りっぱなしだったカイロの袋を上着のポケットに突っ込みながら部屋を出て行った。
「――行くの?」
歩き出した虹子に月が問う。
虹子はこのときもまた、現れて以来片時も崩さない、どうともとれる笑みを浮かべたまま、首を振った。
お茶会にはもとから興味がない。ここへは喬に会いにきただけだ。そして思っていた以上に面白いものを見ることができた。
(彼には何かある……。底に潜んでいるものを引きずり出したら、一体どんな顔を見せてくれるかしら?)
月の光の届かぬ闇で、口角が角度を深めた。
先までとはまるで違う、ひそやかな笑みを浮かべ、後ろ手に店のドアを閉じる。
ひと気の途絶えた月夜の道を、虹子は靴音もたてず歩き去った。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
寺岡志乃
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年03月01日
参加申し込みの期限
2016年03月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年03月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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