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【大晦日】旧市街の夜と朝
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【佳奈、父武正へ陣中見舞いを届ける】
リビングのテレビから音楽と共に、家族の賑やかな談笑が聞こえてくる。紅がどうの白がどうのとこの日特有の会話に口角を上げながら、
伊藤 佳奈
は玄関へ向かった。
「それじゃ、あたし先に行ってるね~」
今年最後の一夜は、家の外も一段と盛り上がっていた。
肩と肩がぶつかる人ごみの中をいき、目当ての屋台を見つけるとはじき出される要領で列に並ぶ。
苦労して購入した出来立ての熱さが伝わるプラスチック容器を持って、いそいそと向かったのは父、
伊藤 武正
が警備ボランティアをしている寝子島神社だった。
境内は真っ直ぐ進むのすら困難なほどで、視界いっぱいに黒い頭が見えている。
「うわぁ……、お父さん見つかるかなぁ?」
口の中で言いながら、佳奈はきょろきょろと首を左右に回した。胸の前でぎゅっと大事に持っているたこ焼きは、冬の夜の寒さでもまだほくほくと湯気を立てている。
せめてこれを無事に渡したいと躍起になって目を皿のようにしていると、ようやく頭一つぶん上に出た影が見えた。
あの背の高さは……と、ぱっと日が差すように不安げだった佳奈の表情が笑顔に変わった。
「お父さ~ん」
聞き間違えようのない我が子の声に振り返ると、パーにした掌が、彼女がジャンプするリズムに合わせてぴょんぴょんと上下している。
人の流れを横切らなければならず「すみませ〜ん」と頭を下げ、時間をかけながらやってくる姿を、武正はハラハラしながらも見守っていた。
「お疲れ様お父さん!」
「なんだ、先にきたのか」
照れからぶっきらぼうになってしまう武正に、佳奈は使命を果たせる嬉しさを顔いっぱいの笑顔にしながら、両手でプラスチックの容器を差し出した。
鼻腔にほんのりソースの香りが漂う。
「たこ焼き、陣中見舞いだよ〜」
受け取った指先に、じぃんと熱が伝わる。それは目頭まで刺激したようだ。
(なんていい娘なんだ)
娘の成長に過剰なくらいの感激する親心を感じ取ったのか、佳奈は気恥ずかしそうにへへっと眉を下げた。
しかし父親の愛情を全て受け止めきれないまだ思春期の少女は、誤魔化すように話題をそらし、「そうだ、甘酒も貰ってくるね」と、往路を引き返そうとした。
思わずなのか走ろうとするおっちょこちょいぶりに、武正が内心微笑ましく思いながらも娘の背中に声をかけようとした時。
「わっ!」
案の定で佳奈があげた声に、武正の目が光った。だがそれは、慌てて人にぶつかったことへの反応ではなかった。
「あ、ごめんなさい」
「……いえ」
短いやり取りで去ろうとした男の腕を、節くれだった5本の指がむんずと掴む。突然の出来事に、剣道家の父が見せた気迫に、佳奈は喉奥で驚きの音を漏らした。
「どうしたのお父さん!?」
慌て上ずった娘の問いに武正は返答せず、万力のように掴む力を強くしながら凄んだ。
「娘から盗ったものを返して貰おうか!」
「——え?」
佳奈は初め、『意味』が分からずにポカンとしてしまったが、父の言葉を反芻して、狼狽しつつも尻ポケットを探る。しかしそこにある筈の厚みが消えていた。
「もしかしてスリ!?」
動転で上ずった声に、周囲の人々が皆振り返った。
武正の肩口まで上がった片手には、スリから奪い返した財布が握られていた。
「僕の娘から大切な小遣いを盗むだけじゃなく、お尻まで触るとはな」
顔を赤くし眉を吊り上げた武正は、スリの腕をぎりぎりと上にあげ、声を低くする。
「お前、よほど命がいらないようだな」
「お、お父さんやりすぎ、骨が折れちゃうよ!」
我を失って見える父の腕に飛びついて抑えると、少しトーンを落としてこう付け足した。
「それにお尻触られてないし」
スリのことも気づかなかった佳奈には『多分』としか言えないが、周囲に注目された中では恥ずかしかったのだ。寒さとは別の理由で色づいている頰を見てそれに気づいた武正は毒気を抜かれ、一気に力を抜いていた。
* * *
捕まえたスリは巡回中の警察官に引き渡し——古い知り合いだった為、佳奈に親心に近い感情を抱いているのかもしれない。彼もまた武正と同じような赤い顔をしていた——、二人は境内の隅に横並びに立って休憩していた。
詳しい状況説明については後日になったが、あれからだいぶ時間をくってしまった。
「たこ焼き冷めちゃったかなぁ」
「いや、美味しいよ」
佳奈が覗き込んだプラスチック容器にみっちり詰まっていたたこ焼きは、武正の爪楊枝に刺されてどんどん無くなっていく。本当に美味しそうに頬張ってくれる父を見ていると、佳奈のショックで緊張していた心は解れていった。
一方で武正も(娘の事で冷静さを失う等、僕もまだまだ修行が足りないようだ)と反省していたのだが、娘の言葉に気持ちが高揚した自分を『世の父親という物は須らくこういう物だろう』と武正が割り切った。だが同じように、往々にして言葉の足りない男親の機微が分からないのもまた娘なのだから、どっちもどっちでいいのだろう。
「最後の一つだ、食べてしまっていいのか?」
「うん、お父さんの為に買ってきたんだからね」
睦まじく微笑み合い、武正が改めて「いただきます」と最後の一つを口に入れた時、遠くからうっすら聞こえていた除夜の鐘の残りの一つが撞かれた。
すると続いてやってきた激しい破裂音に、二人は顔を上げる。新年の花火が上がったのだ。
「新年だね。あけましておめでとう、お父さん」
「ああ、あけましておめでとう」
父娘が新年の挨拶を済ませた時には、プラスチックの容器は空になっていた。
「捨てておくね」と父の手から受け取って、佳奈は胸の前で軽く手を振る。
「それじゃ気をつけるんだぞ」
改めて姿勢を正した武正は、別れの言葉を言った後にももう一度娘を振り返った。しかし佳奈はもう祖父たちのいる鳥居の方へ駆け出している。
今度こそ注意しようかとよぎって、武正は考え直しながら後頭部をかいた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
東安曇
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
41人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年03月11日
参加申し込みの期限
2016年03月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年03月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
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