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漆黒の進撃・桜花寮篭城戦!
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後騒ぎ
守り、時に攻めに行った15人の働きは、確かに実った。光の結界は、勇気ある者たちの行動により広がり、また、新たな情報も落ちた。
柔らかい金色の光が、桜花寮へと降り注ぐ。それを見ていた
冬樹 闇
とツムジ、ライメイ、他の天狼族もまた己の力を振り搾る。
「あぁ……」
傷を負った
桜庭 円
の体から、黒い文様が消えていく。月光を浴びた途端、のこっていた鈍い痛みが音もなく消えていった。それは
サキリ・デイジーカッター
、
骨削 瓢
も同じだった。
(胸の奥に潜んでいた、もやもや見たいなのが無くなって行く。これが、清められるって事?)
円は、自然と涙がこぼれるのを感じた。あの時、彼女は見てしまった。恋が実らず、呪によって死に、魔物と化してしまった人々の思いを。その憶測に潜んだ、冷たくも物悲しそうな眼差しを。月光は、それらを抱きしめ、癒し、押し流し涙に変えているようで、円の胸の中はとても暖かくなっていた。
「……これが、呪いの主への対抗策って訳ですかぃ?」
瓢はいつになく楽しげに呟いた。彼は、自力で魔物の正体に気づいていた。だからこそ、この月の光の暖かさが、みょうに嬉しくもあり何故か恨めしくも感じてしまう。
中には、これを好機とみた者もおり、魔物へと攻めに出るものもいた。傷が完全に癒えたサキリは黒曜石のナイフを手に魔物の群れへと飛び込んで切り裂いた。
御剣 刀
は、疾風となって敵陣をかき乱して一刀両断し、
尾鎌 蛇那伊
はその拳に光を纏わせて襲い掛かる敵を粉砕する。
美咲紀はそんな中、的確に仲間の治癒にあたっていた。ピンチになれば叫んで修を呼ぶことにしてはいたが、それどころでは無さそうだ。
(前回、怪我をして学習しました。回復役は狙われる、と)
傷つく者たちを癒そうと、
椿 美咲紀
は花を手に踊る。月光を浴びて舞う彼女は、まさに天女のようだ。彼女のろっこん『舞花の祈り』はその神秘的な力に後押しされ、広範囲に広がっては傷ついたものたちを癒していく。
そうして、桜花寮周辺に蔓延っていた魔物は、全て駆逐されたのだった。
戦いを終え、避難していた月の民は皆援軍によって引き取られた。寝子島の住人達に感謝の意を伝えた一行は、皆光に導かれて天に開かれた門を通っていく。
「貴方がたのお陰で、どうにか生きる事が出来ました。心より感謝いたします」
綴が深々と頭を下げる。その傍らで、ライメイが笑みを強めた。
「避難を繰り返していた天狼族だが、今後は少しずつ呪皇と魔物たち……呪いと戦っていく。また、世話になるかもしれないな。その時は、助けて欲しい」
ライメイもまた頭を下げる。その傍ら、白い髪を束ねた、白虎族の王、白鋼が寝子島の住人達の前に姿を現した。
「そなたたちの協力、心から感謝する。おかげで、我々は、大切な仲間を失わずに済んだ。魔物の手から逃れるべく異界へと逃げなければならなかったが、そなたらと出会えたこと本当に僥倖だった」
傍らにいた朱雀族の王、珊夜や他の種族の王共々深々と頭を下げる白鋼。そんな彼らに、
骨削 瓢
は発言の許可を求めた。
「ちょいと、気づいてしまったんですがねぇ。九夜山で遭遇した魔物は、熱や結界を操ってたよぃ。そいで、こんな予測が立ったさね。……
この魔物、元は月の民で、おたくらが言う『呪い』てぇのはこの事も含まれるのかってね?
」
瓢の言葉に、白鋼は表情を険しくした。だが、それよりも早く口を開いたのは、円である。彼女は白鋼だけではなく、月の民の王たちを見、瓢を見て頷いた。何かを悟った瓢は、にぃ、と笑う。
「ボクは、魔物から傷を受けた。その時に見たんだ。恋が叶わずに死んでしまった人たちの遺体が黒い靄になって、魔物になるのを……」
その言葉に対し、口を開いたのは赤い翼を広げた珊夜だった。彼はとても申し訳無さそうな表情で寝子島の住人に語りかける。
「骨削殿と桜庭殿の言うとおりだ。先ほど、綴殿と闇殿からの報告を受けて、我々も確信した。……呪皇の呪いによって死んだ者は、天狼族を除いて皆、魔物になる。あの魔物は、皆恋叶わずして死んだ、哀れな死者の成れの果て。故に、聖なる光で倒すのが、一番有効的なのだ、と」
月の住人への呪いの悲惨さに、口を閉ざすものもいれば静かに憤る者もいた。
八神 修
は静かに手を握り締めると、呪いに対する根本的解決を考えよう、と決意を固める。
「天狼族の王は、今回の儀式が元で体力に限界を覚え、引退される。新たにライメイ殿が王となる。……寝子島の皆さんには、また迷惑をかけてしまうかもしれない」
そこまで白鋼がいい、ちらり、と他の王たちを見る。と、彼らは全員頷いた。白鋼はすう、と息を吸い、静かに言い放った。
「今、この夜より、月のある夜ならば寝子島から我らが暮らす『月華世界』へ行けるよう門を固定する。だが、それは影の魔物が寝子島へとやってくる危険性も出てくるのだ。このような異空間ではない、現世の寝子島に」
「へぇ……」
瓢は、どことなく楽しげに笑い、目を輝かせる。元々彼は、異世界の月と人間界を自由に行き来できるよう都合をつけて欲しい、と考えていたのだ。それがこのような形でかなうとは……!
瓢は、にぃ、と楽しげに笑った。
こうして、異世界の月と寝子島は、月の出る夜のみ繋がることになった。都合が良い事に、寝子島の住人達は月の世界から帰る際のタイムラグは、出発した時間の数分後から1時間後で収まるらしい。
しかし、白鋼が言ったとおり、影の魔物が門を通ってやってくる可能性も無きにしも非ず、なのである……。
(終)
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あとがき
担当マスター:
菊華 伴
ファンレターはマスターページから!
菊華です。
始めに、ガイドに登場してくださった弘明寺 能美子さん、真にありがとうございます。
そして、参加者の皆さん。
篭城戦、いかがでしたでしょうか?
今回は、(前回の参加者さんにとっては今回も、ですが)リアクションを読んでからこちらをご覧下さる事を推奨します。
まず簡単に色々と説明をしようと思います。
>探索について
これは「どこ」を「どのように」調べるか、もしくは「どこ」で「何を」探すかによって
取得確立があがります。大雑把だと取得率は低めに。
今回、探索を選んだ方の中で取得物が多い人は「どこで」や「何を」をはっきり記載していたようにおもいます。
きっちり書いたのに見つからなかった! という方もいるかと思いますがその時の原因は……状況と運です。
>『光の番』について
最低でもそれぞれ1人ずついないとアクシデントが起こる仕組みになっています。
今回は1日目午後の女子寮側に挙手者がいなかったため結界の一部が破れかけました。
しかし、それでも完全な失敗判定に繋がらなかったのは、
なるだけ安全な運搬ルートの確立の際に行った行動
のお陰です。
これにより建物だけに施される筈の結界が若干広がり、敷地に侵入した影の魔物の弱体化に繋がりました。
>運搬ルート
うん、誰か橋をつくるとか言い出すと思った。
ろっこんをいかに生かすか、が成功の鍵でした。
色んなアクションとの兼ね合いで、2日目と3日目(ともに午前)の運搬に繋がるわけです。
>影の魔物
正体が、まるっとお見通しされました。
そうなんですよ。そして、彼らの共通点は……!
くわしくは、リアクションをチェック!
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
結果発表
最終的な難易度『★★★★』
アクションの兼ね合いにより
・橋を作り上げ定期的に物資のやりとりをした
・結界を保つことが出来た
・次に繋がる情報を一定量落とした
・発電機の修理をやり遂げた
・光源を製作した
以上を主な理由とし、籠城成功➡全体評価『成功』です。 おめでとうございます。
また、ラスボスの名前も出ました。
呪皇『愛憐』(アイレン)。いったいどんな存在かは、次回!
実は文字数制限のために今回は説明をいれられませんでしたよ。
ライメイが「後で話す」と言っていたのに・・・・・・!
全員への称号【籠城戦を乗り越えた兵】
取得:六種族の王からの感謝状
青い宝珠をあしらった勲章
以後、一度でも異世界の月に関わったPCさんは基本的に菊華が手がける異世界の月に関するシナリオに限りですが、
『月が出ている夜』ならば、好きなときに『異世界の月』に行くことが出来ます。
(帰宅すると、寝子島を発った数分後から一時間後に戻ります)
ちなみに。次回以降につながるヒントも今回でました。
・呪いのうつりかたは不透明だよ!
・ある方のアクションにより、『対魔物アイテム』が作られるかも?
・魔物への対抗手段はPCさんにもある?
今回のアクションの中にヒントはあるよ!!
よろしくおねがいします。
そして、このシナリオを1つの区切りとし、次回からは【月華世界】というシリーズで
展開していきます。中心になるのは異世界の月に呪いの物語です(息抜きシナもよていしてますが)。
それでは、今回はこのあたりで。
また縁がありましたらよろしくお願いします!
*余裕がありましたら、ダイアリーにてアンケートに答えてくださると幸いです。
Q1:『異世界の月』には6つの種族があり、白虎、朱雀、天狼がシナリオで取り上げられました。
次はどれがいいですか?
1:玄武 2:青龍 3:麒麟
Q2:気になる月華世界のNPCはいますか?(3人まで。可能なら理由も)
対象:白鋼、透、銀穣、華夜、珊夜、紅緒、ライメイ、ツムジ、綴
以上2つとなります。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
菊華 伴
前回シナリオ
狼は九夜山に吼える?
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
推理・サスペンス
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年06月12日
参加申し込みの期限
2016年06月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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