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来訪を告げるチャイムが鳴った。
八神 修
は読んでいた文庫本を閉じて玄関に向かう。
扉を開けると白いコートに身を包んだ
椿 美咲紀
が上気した顔で立っていた。修の目をしっかり見て胸を張った姿で言い放つ。
「勇者美咲紀、強大な悪を斃す為に馳せ参じたのであります!」
「ただの定期勉強会だよな?」
修は笑って美咲紀を迎えた。
「勇者美咲紀はこれから死地に赴くのです!」
美咲紀は肩のトートバッグを引き上げて口を真一文字に結んで歩き出す。手足を曲げない恰好は兵隊の行進を思わせた。
「……俺は賢者にでもなるか」
苦笑して修は付いていく。
美咲紀は廊下を弾むようにして進んだ。間もなく切れの良い動きで一つの扉と向き合った。右の掌を開いた状態で前に突き出し、険しい表情を作る。
「我、勇者美咲紀が命じる。混沌の狭間の要たる扉よ、我が栄光の道をここに示せ!」
「今、開けるよ」
修は自室の扉を開けた。瞬間、美咲紀の顔が綻んだ。
「シュー君、シュー君、あの円卓で勉強をするのですね」
「俺の机で並んでするよりは広いと思って用意したんだけど、どうかな」
美咲紀は部屋の中に駆け込んだ。艶やかな木目の卓上に指先を走らせる。
「広くて良い感じです。この革張りの椅子も焼き立てのパンのようにふかふかー」
「長時間の勉強に耐えられるように用意したものだ。座ってみて感触を、って言う間もないな」
美咲紀は深々と椅子に座っていた。背もたれは可動式になっていて程良い角度は仮眠に適していた。
仰向けに近い姿となった美咲紀は瞼を閉じる。
「これまでの疲れが、すっと抜けていくようです」
「これからが本番なんだけど」
「気疲れも疲れの内なのです! これですよ、これ!」
跳ね起きた美咲紀はトートバッグから教材を掴み取り、卓上に叩き付けた。修は一目で納得した。
「なるほど、これは強敵だ。美咲紀は数学、苦手だからな」
「基礎問題はザコキャラなので軽く蹴散らしちゃいますけど、応用問題やまとめの小テストはドラゴンクラスなのです! 用意を怠ると白い炎に巻かれて頭まで真っ白になっちゃいます!」
力説する美咲紀に修は笑いながら話に乗る。
「そこで伝家の宝刀、公式の出番か」
「シュー君、正解!」
「それは、どうも」
修は軽く返して美咲紀の正面の椅子に座った。事前に用意した教材にそれとなく目を通す。
座り直した美咲紀は更に熱く語る。
「公式はドラゴン退治の切り札! 武器で言えばドラゴンキラーみたいなものなのですっ! ドラゴンの種類に合わせて武器を変えれば簡単に無双ができるのですっ! 勇者美咲紀は無敵なのですっ!」
「面白い例え方だ。俺は勉強が嫌いではない。知識が増えることに喜びを感じる。設問から得たヒントを元に解を求める流れはパズルに近いものがある」
朗らかに話す修に美咲紀は湿っぽい目を向けてきた。
「数学は敵なのです。問題を解くことは戦いなのです。呑気に構えていたら、赤点の血塗れ状態で瀕死の重傷になるのです、主に心が!」
「じゃあ、そうならないように勉学に励まないといけないな」
上手く話を纏めると修は各教科の参考書を開いた。美咲紀は深呼吸のあと、渋い表情で数学の問題に当たる。
二人の静かな戦いが幕を開けた。
学校の復習を簡単に済ませた修は微分積分の問題に取り組む。設問を読んで、ふと視線を上げた。美咲紀は唸り出しそうな表情でノートに何かを書き込んでいる。
美咲紀の例えで言えば、微分積分はボスクラスになるのかな。イメージとしては重騎兵か。油断をすると槍の痛い一撃を喰らう、みたいな。
想像して少し口元を緩める。数秒で態度を改めて問題を次々に解いていった。先に進む程に手の動きは速くなる。
来年の夏までには高校の課程を終わらせたいからな。
次の頁を捲って程なく、前から鈍い音が聞こえた。視線を向けると美咲紀がノートに突っ伏していた。
「敵に攻撃が通じないのです。相手の属性がわからないと武器でダメージを与えられないのです。こんな時に味方の強力な援護魔法があったら、ピンチを乗り越えられるのに」
「もしかして問題を解く公式を俺に聞いているのか?」
美咲紀の頭がぴくりと動く。最初に手を掲げて、ゆっくりと上体を起こした。縋るような表情を天井に向ける。
「賢者シュー君、ここに蘇るのです!」
「まあ、いいけどさ。人に教えることで俺の理解も深まるし、頼られることは嫌いじゃない。それでどこがわからないんだ?」
「その前にダメージの回復をお願いしたいなー、なんて思ったりして」
しおらしい声で美咲紀が言った。例えば、と修は疑問で返す。
「甘い物はHPに効果があるらしいですよ。極上のチョコレートは心まで幸せになって、なんとMPまで回復してくれるそうです!」
「酷く偏った情報だな。わかったよ、ついでに何か飲み物でも持ってくるとしよう」
「さすがは賢者シュー君なのです。ちなみにケーキの類いも受け付けていますよ」
美咲紀は上目遣いで品を作る。修は苦笑しながらも、善処するよ、と答えた。
その十数分後、二人は甘い香りに包まれた。上質な香気を纏う紅茶で喉を潤す。三段の銀製のケーキスタンドには焼き菓子と生菓子が過不足なく揃えられた。
「HPとMPは満タンなのです」
「それは良かった」
修はティーカップを持ち上げて中身を飲んだ。
「今日のオペラは悪くない」
「お菓子もグッドなのです」
両方の頬を膨らませた美咲紀が生菓子へと手を伸ばす。
「冬籠りをするリスみたいだな」
「そう言われてみれば、少し眠気がきたような」
少し笑った表情で美咲紀は椅子の背にもたれた。
「この姿勢で瞼を閉じると、なんだか頭が涼しくなって気持ちがいいのですー」
修はそっと椅子から立ち上がる。足音を立てずに美咲紀の横にきた。笑いを堪えるような表情で耳元に口を寄せる。
「まな板、まな板、まな板、まな板……」
「なんの呪文ですか!」
美咲紀は目を見開いた。
「賢者シューの治癒魔法、キュアスリープによって勇者美咲紀は目を覚ました」
「まあ、確かにそうですけど」
「頭が冴えたところで死地に戻ろうか」
修は笑顔で数学の教材を手に取った。えー、と言いながらも美咲紀は同意した。
二人は甘い香りが漂う中、冒険を続けるのだった。
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担当ゲームマスター
黒羽カラス
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
バトル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年02月04日
参加申し込みの期限
2016年02月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年02月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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