勇者オーディションIN寝子島！｜リアクション

勇者オーディションIN寝子島！

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　Ｂ－1終点の長のかお

「きっと、ここのことだよね」
　雅人とフィーナが訪れたのは星ヶ丘駅だった。寝子電本線はここで終わり、後は折り返すしかない。
「長って、駅長さんかな？」
「たぶん、そうなんじゃねえか」
　駅にはイベントののぼりと、『勇者イベント開催中！　オーブはここかも？　詳細は専用窓口に！』という幕がかかっている。フィーナはしばしそれを見つめてから、
「たぶんというか、絶対だよな」
「ホントだ、分かりやすいねぇ」
　利用客が多いせいだろうと、雅人も苦笑する。駅に入ると、これまた目立つ感じに専用窓口が設けられていた。座っている女性に話しかけ、来訪の旨を伝える。
「ようこそいらっしゃいました、勇者様。ですがオーブをお渡しするには、もう一つ試練を受けてもらいます」
「え、そうなの？」
「へぇ、RPGっぽいな」

「はい、フィーナちゃん」
「サンキュ」
　馬車で休憩しているフィーナに、雅人が買ってきた飲み物を渡す。
「ずいぶん手軽な試練だったねぇ……」
　試練とは、イベントに関連したクイズのことだった。島のことでもあるのでオーブは早々にゲットでき、今は小休止。
「あと分からないのははＢ２だけだね」
「この調子なら楽勝、楽勝」
　得意げに言うフィーナ。
「っても、油断は禁物だよな。チドリはどう思う？」
「うーん」
　雅人とフィーナと顔を寄せ合うようにして、紙を見つめる。
「たぶん、温泉か銭湯だよな」
「えっと、じゃあ、近い旧市街の杜の湯に行って、それから寝子島温泉に行くのは？」
「それじゃ謎解きじゃなくて『しらみつぶし』になっちまうだろ？」
「あ、そっかぁ」
　指摘され恥ずかしいのか、むむ、と考え込みつつも顔が赤い雅人。そんな彼を見て、フィーナは笑みをこぼした。
　――ま、それもいいよな。
　大切なのはこの時間を楽しむことだ。
　幸い、まだまだ時間はたっぷりとある。
「とりあえず、解けるまでチドリの案で行くか。エスコート頼むぜ」
「もちろん。今日の俺は騎士だからね！」
　頼もしい返事を雅人が返して、馬車は旧市街の方へと歩み出した。