勇者オーディションIN寝子島！｜リアクション

勇者オーディションIN寝子島！

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「やっぱりここだよねぇ」
　瑠樹は見上げた『寝子島図書館』と、ヒントカードを見比べた。

　Ｂ－3魔術師がいるのは、最も本がある場所でい

　最も本のある場所。瑠樹はあまり奥の方まで行ったことはないが、本棚が立ち並ぶ様子は一種の迷路のようにさえ思ったことがある。
「でも、『でい』ってなにかなぁ？」
　そんなことを思いつつも、中に入る。目に入ってきた掲示板に、瑠樹は立ち止まった。
『本日、勇者イベントで魔術師あらわる！？』
　やっぱり合ってた。
　髭を生やし、とんがり帽子をかぶった魔法使いの絵に確信して、館内を見まわす。
　まじゅつしさぁーん。
　声に出せない代わりに、心の中で呼びかけながら、絵のイメージの人物を探す。
「……あ」
　いた。
　図書館のほぼ中央。円形になったソファに、真っ黒なローブを着たおじいさんが座っていた。長いひげをたくわえた頭は揺れて、舟をこいでいる。
「気持ち良さそうに寝てるなぁ……」
　隣に座って、こくうりこっくり眠っている魔術師を見上げる。とんがり帽子を脱いでいるので、光り輝くハゲ頭が丸見えだった。
　――なんでおヒゲはこんなに長いのに、頭の上の髪の毛はないんだろ？
　頭の中で、髪の毛は下から伸びたくなったのだろうか？
　瑠樹は自分のアゴを撫でた。つるつるだ。代わりに髪はたくさん。反対で面白いなぁと思った瑠樹は、しかし困ってしまった。
　起こすのがかわいそうなくらい、魔術師は気持ち良さそうに眠っている。
「ちょっと、待とうかなぁ」
　瑠樹はそうと決めると、近くの棚から本をとってきて、老人の隣で読み始めた。

「――ん？」
　揺られて、瑠樹は目覚めた。どうやら寝てしまっていたようだ。
「おーい坊や、寝ると風邪ひくぞい」
「あ、おじいさん起きたんだぁ」
　のぞき込んでくる老人の顔に、瑠樹は笑いかける。
「んん、ワシが起きるのを待ってたのか？　そりゃ悪いことをしたなぁ」
　そう言って、魔術師は瑠樹の手のひらに、ガラスでできたような球を乗せた。
「優しい君の心は、このオーブを授けるのにふさわしい。大人になってもその優しさを忘れんようにな？」
「うん！」
　返事をした瑠樹に、魔術師は困った顔を浮かべた。
「さて、待ってくれた礼もしてあげたいが……坊や、ワシのおやつのスルメはいるかい？」

　リュウキは魔術師の『オツマミ』を手に入れた！
　おいしかった！