シャンシャンシャンのその前に｜リアクション

シャンシャンシャンのその前に

　岡野丸美は、Joulupukki店内に入ってからというもの、テンションが最高潮だった。

　――かわいくてお洒落なクリスマスのお店！

　すてきなお店を本当にたまたま見つけて、誘われるみたいに店内に入ったが、まさかここまで自分のフィーリングにぴったりのお店を見つけられるなんて！
（店員さんまでかわいくてお洒落で、おとぎの国から来たみたい！）

　かわいいもの好きの丸美だが、『かわいい』のセンスには独特のものがあるといわれてきた。
　世間と少しずれているのかもしれないが、他の人にとってはたわいのない、あまり価値のないものに思われても、丸美にとっては何より素敵な宝物だということも、よくあるのだ。
　このお店が、素敵な理由を彼女なりに表現すると、

（クリスマスのきらきらと、じんわりが、いっぱい詰まっている）

　という感じになるだろう。
　ミルカや朱蘭にも、是非聞かせてあげたい言葉だ。
（春に来ても、夏に来ても、ホントに心がときめいちゃうのは、間違いなし！）
　お店の隅々に、暖かさと気持ちが広がっているのだ。季節なんて関係ない。
　幸いにして、ちょっと懐もあったかい。
（せっかくのクリスマスだもん、何か買っていこう！）