シャンシャンシャンのその前に｜リアクション

シャンシャンシャンのその前に

　――あの女の人、結構大胆にいったなあ……。

　葉月の大胆な買物ぶりを見つつ、丸美は雑貨を丁寧に見ている。
　どの品物も、細やかで温かく、見ていて心が和んでくる。
（寮の部屋に、こんなの飾ったらちょっとすてきかな……）
　うっとりしながら、星やベル、天使を象ったオーナメントを見る。
（おっきいのもいいな……何か、すっごく凝った飾り…・・・・）
　これもいいな、と思いながら、値札をみてそっと戻す。

　傍らを見ると、寝子高の生徒会長が、店員に話を聞きながら品定めをしている。
　懸命な姿は、委員会活動でハッスルしている時と同じ、全力の様子だった。

　綺麗な透かし彫りの星飾りを翳すと、稠密な翳が床に映えた。
（これなんか、すっと飾っててもいいよね。これにしようかな）

　あたりを見回していると。　

（あ、これ……）

　丸美の目が、ふとある置物に向かった。
　そっと引き込まれるように、手に取る。
　木製のトナカイ。手作りだ。
　ごつごつした手触りから、温みと、作り手の思い入れが伝わってくる。
　丹念に塗られたニスに、綺麗な彩色が施されている。
　北欧の炉端で、一つ一つ丁寧に職人が作っている情景まで思い浮かびそうだった。
「いい、これいい！」
　キラキラした目を向ける丸美。
「一目惚れです！」
　ニコニコしながら、値札を手に取る。

「おう……っ！！」

　絶叫が、店内に響き渡った。