添い寝日和のお猫様｜リアクション

添い寝日和のお猫様

　部室を飛び出した真央は、全力で旧市街に走る。
「おっちゃん、このダンボール貰うのだっ」
　途中、商店街の店主が捨てようとしていたダンボールもGETして、真央はひたすら走った。
　目指すは、三本土管。
　公園というより空き地という表現がしっくり来るそこには、猫たちが遊びやすい土管が三本、置かれているのだ。
　息一つ乱さず、真央は空き地に駆け込む。
「みんな、無事なのだ？　真央ちゃんが来たのだっ」
　空き地に集まっている野良猫に、真央は声をかける。
　だがしかし。
　
　ギロンッ☆

　野良猫達の目が、鋭い。
　ギラギラと獲物を狙うかのように真央を睨みあげてくる。
「お、おちつくのだ。真央ちゃんは事情を知っているのだ。仲良くするのだ？！」
　ダンボールを地面に敷き、ビニールに入れたままの羽毛布団を指差して、真央は添い寝をアピール。
　けれど野良猫達、我関せず。
　真央の誘いをスルーして、一気に飛び掛ってきた！
「いたいいたいいたいっ、あだだだだっ、お猫さまの愛が強烈なのだ～」
　バリバリがぶがぶっ。
　引っかいたり噛み付いたり、もともと野良猫なせいか、情け容赦ない。
　がおーが必死に真央を庇っているのだが、がおーも噛み付かれてすでにぱたりっ。
「さぁ、お猫さま一緒に寝ましょうなのだ、カムカムなのだ」
　真央はめげずに、野良猫達に引っかかれまくりながらも頑張って添い寝アピールを続けてみる。
　そうこうしていると、引っかきつかれたのか、眠さの限度がきたのか。
　野良猫が一匹、二匹と真央の誘う布団の中にもぐり込み始めた。
　一番激しかった野良猫がそうなると、あとはもう、ドミノ倒し。
　次々と野良猫達が布団に押し寄せ、羽毛布団ならぬ猫布団。
「この上下みっちり感は、お猫さまは好きな筈なのだ～」
　くふっと真央は満足げに笑って、布団に集まる野良猫達を次々と激写！
　そしてねこったーにこう、アップした。

『睡眠不足のお猫さまを助けようキャンペーン実施中☆』

　お猫様達に囲まれて幸せに眠る真央。
　――次の日、ねこったーのＲＴの通知と返信にてんやわんやになることも知らず、幸せな寝顔だった。
　

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