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三夜家の人々 ~真っ赤な林檎が届いた日
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【9】
三夜 照子
は少し疲れたからと言って、早めに床についた。
「疲れちゃった。今日は早めに横になるかねぇ」
そう言った照子の表情には確かな疲れが滲んでいたが、幸福そうでもあった。
照子は寝る前に、
三夜 雪月
の様子を最後にもう一度だけ見に行った。
雪月はみんなと一緒に食卓に並ぶことはできなかったが、容態も落ち着いて、穏やかで幸せそうな表情で寝息を立てていた。
(きっと夢の中でみんなと一緒にいたんだろうねぇ)
照子はほとんど確信に満ちた直感を抱き、その表情を綻ばせたのだという。
* * *
三夜 智蔵
は、
三夜 茜
の軽トラから余ったダンボールをいくつか拝借していた。
「よし、とりあえずこんだけダンボールがあれば過不足なく配れるな。サンキュ」
「言ってくれれば、僕が配達するのに。心付けは本当に気持ちだけでいいんだよ?」
「うん、無料でやるとは言わないんだな……。いや、ホント気持ちだけ貰っとくわ。……小遣いがカッツカッツなんでな」
「……おじさん」
いい歳の男が駄賃程度の心付けを節約しないといけないほど逼迫した小遣い事情に、さすがのマイペースな茜も同情の涙を禁じ得なかったのだという。
そんな智蔵の懐事情は意に介さず、
三夜 雷一
もトラックからダンボール箱を一つ持ってくる。
「あ、俺様ちゃんにもこのダンボールくれよ。下宿先のメゾン・ド・エルデストの住人に配ってくるわ。喜ぶぜきっと」
雷一はそう言って、ダンボール箱一杯の林檎を抱えて、下宿先へ戻っていく。
智蔵はその背中に『お金がないなら借りればいいじゃない』というマリー・アントワネットばりの迷言を垣間見たとかそうでなかったとか。
* * *
三夜 太陽
は最初はなかなか寝ようとしなかった。
「もっとみんなとお話ししたい!」
ほがらかにそう宣言する太陽を寝床に追いやれる猛者はその場にはいなかったが、結局、彼はそれからすぐに疲れて眠ってしまった。
「あらあら。幸せそうな寝顔。みんなとお話しできて、よっぽど嬉しかったのねぇ」
そう言って、太陽を寝床に運んだ母親の
三夜 千暁
の表情も息子のそれに劣らず、とてもとても幸せそうなものだった。
* * *
三夜 霧人
と
三夜 深夜子
も程無くして三夜家を後にした。
「今日は楽しかったわ。時間がとれたらまた来るわねー」
深夜子もまた林檎の入ったダンボール箱を抱えて、夜の帳の向こうに消えていく。
「それじゃあ俺も帰るよ」
「あ、きりにぃ、ちょっと待って~」
三夜 雫紅
は霧人を呼び止めて、小さなぬいぐるみをそっと彼に手渡す。
「……これは?」
「この前言ってたやつよ~。病院において~」
「へぇ、かわいいな。きっと子供が喜ぶよ。ありがとな、雫紅」
霧人はそう言って、ぬいぐるみと雫紅の顔を交互に見て、笑った。
その笑顔を見て、雫紅も微笑む。
大好きなきりにぃの笑顔は今も昔もずっと変わらないままだったからだ。
* * *
そして――
(結局、こんな時間になってしまった……)
三夜 照星
が実家に顔を出すことができたのは、とっぷりと夜も更けた頃のことだった。
(ただいま)
すでに眠ってしまった家族を起こしてしまわないように、心の中で呟いてから照星は靴を脱いで家へ上がろうとする。
「遅かったな」
「……っ、祖父さん」
顔を上げると、玄関先まで出てきていた祖父の
三夜 天吉
の姿があった。
「せっかく家族が揃う機会じゃったというのに、お前は……」
「……すまない」
呆れたように溜息を吐く祖父に、照星は返す言葉を持ちあわせてはいなかった。
仕事が忙しかった、などというのは言い訳にはならないだろう。
同じぐらい、あるいは自分以上に多忙かもしれない兄の霧人でさえ、今日はしっかり帰ってきたのだと母から聞いていた。
「……まあ、それでもまだお前を待っておる者もおるようじゃがな」
「え……」
ふい、と顔をそむけて部屋へ戻ってしまう祖父に、照星はその言葉の真意を確かめるタイミングを失ってしまう。
(……俺を待ってくれている、人?)
と、そのとき、ぱたぱたと慌てたような足音が玄関の方へ近づいてきた。
「あ……」
「……呼宵?」
足音の主は
三夜 呼宵
だった。もうすぐ寝ようというときだったのか、パジャマに袢纏という姿で、いつもまとめている黒髪も今は真っ直ぐに下してあった。風呂上りなのか、それとも何かほかに事情があるのか、白い顔の頬はわずかに上気しているようにも見える。
「……おかえりなさい、照星兄さん。お仕事お疲れ様」
「……ああ」
呼宵の労いの言葉に、照星は言葉少なに頷く。
「こんなに遅くまで仕事だったのに、ちゃんと来てくれたんだね……。嬉しいな……」
「いや……」
はにかむように笑いながらそう言ってくれる呼宵に対し、照星はさっきから「……ああ」とか「いや……」としか言えていない。これでは何も伝わらない。
本当は待っていてくれたことが嬉しいし、それをちゃんと伝えたいとも思っているのだが、それがうまくできないことがもどかしい。
照星は弁護士だったが、プライベートでは感情表現の苦手な、ごく普通の不器用な男だった。
* * *
三夜 呼宵
は夜遅くまで仕事をしてきた
三夜 照星
のために作っておいたアップルパイを切り、温かいコーヒーを淹れた。
「……頂くよ」
照星は用意されたアップルパイとコーヒーの前に座ると、静かにそう呟いて、遅い食事を開始した。
まずコーヒーを軽く一口含み、それから小さく切り分けたアップルパイを口に運ぶ。
(……ちゃ、ちゃんと美味しくできてるかな?)
呼宵はどきどきしながら、そんな照星の様子を後ろからじっと見守っていた。
何度も味見はしたし、ほかのみんなも美味しいと言ってくれていたけれど、それでもやっぱりこの胸のどきどきは止まらなかった。
すぐに表情に出る相手ならまだよかったが、この照星という男は顔を見ているだけではまったくどう思っているのか判別のつかない人間なのだ。
だから、
「……美味い」
「……っ」
ぽつり、と照星がそう呟いたとき、呼宵の鼓動はそれこそ爆発してしまいそうなほどに高鳴り、顔が真っ赤になってしまった。
それからも照星は黙々とアップルパイを食べ続け、呼宵もときどきとりとめのない話などをしながらその様子をじっと眺め続けていた。
お互いに口数が多い方ではなかったし、ただ自分が焼いたアップルパイを照星が美味しそうに食べてくれている姿を眺めているだけで呼宵は幸せだった。
やがて、食事を終えると意を決したように照星が呼宵の顔を見て、言った。
「……有難う、美味かった」
「……ど、どういたしましてっ」
呼宵は嬉しさと恥ずかしさでまともに照星の顔を見られずに、俯きがちに小さな声でそう言うのが精一杯だった。
と、そのとき。
「それから……待たせてしまったようで、済まない、な」
「え……」
言葉数の少ない照星の口から出たそんな言葉と、下した髪の上に優しく重ねられた彼の手の温もりに、呼宵の唇から言葉にならない声が漏れる。
(……照星兄さん)
そう言えば、昔から照星は何かあるとよくこうして呼宵を慰めてくれていたのだった。
そんな過去に想いを馳せるだけで、呼宵の胸は幸福感でいっぱいになる。
そうして、呼宵はしばらくそんな幸福な感覚に身と心を委ねていた。
食事を終えると、照星は「仕事があるから」と言って、またそそくさと出ていった。
呼宵はそんな照星の背中が完全に見えなくなるまでじっと見送ってから、ようやく寝床についた。
今日はとてもいい夢が見られそうだな。
瞼を閉じながら、そんなことを思い、その日、
三夜 呼宵
は遅い遅い眠りについた。
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あとがき
担当マスター:
水月 鏡花
ファンレターはマスターページから!
というわけで、ご参加頂いたみなさんお疲れ様でした。MSの水月 鏡花です。
今回は三夜家のとある一日をお送りいたしました。
旧市街でも有名な大家族の一日ということで、いつになく濃厚な人間関係の中で、どうリアクションを仕上げていくかを考えるのはやりがいのある作業でしたが、同時に自らの未熟さを再確認するきっかけともなりました。大家族って超大変!
まあ、なんとか最後まで書けました。
至らぬところなどあるかと思いますが、少しでもお楽しみいただけたなら幸いです。
それでは最後になりましたが、ご参加頂いた皆様、ここまでお読みくださった方、そして「らっかみ!」に関わる全ての方に感謝を。
では、また次のあとがきでお会いできることを祈って。
水月 鏡花 拝
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
水月 鏡花
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年01月15日
参加申し込みの期限
2016年01月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年01月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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