『ロイヤル塩焼きそばパン』はドコへ消えた？｜リアクション

『ロイヤル塩焼きそばパン』はドコへ消えた？

「キャベツと豚肉が電撃結婚で回鍋肉パンになるって！？　じゃあ焼きそばパンなしか～、それは残念だなぁ」
　亮は再び自分のろっこんを発動させ、様子を伺う。と、今度は瞬時に現れる！
『ぎょっ、ぎょぎょぎょーっ！！』
「きやがった！」
　刀は亮から貰ったゴム手袋を装着した両手を出し、駆け出しながらも受け止めようとする。だが、フェイントをかけた魚肉ソーセージは何故かジャンに体当たり！！
「おぅ！　びりっときたデスねー！　特殊効果半端ありませーん！」
「先生、どっかに隠れていてくれ！　被害が大きくなる！！」
「危ないから機材持って端っこでじっとしていて下さい」
　刀が叫び、亮がろっこんを一旦止めてジャンを安全な場所へ連れて行く。その間に魚肉ソーセージは消えてしまったが、樹はあきらめない。彼女はうふふ、と笑うと兄と刀が戻ってきたのを確認し、無邪気にこう言った。

「お兄ちゃんはFカップ以上の巨乳が好きなんだってー！」
「なっ？！」

　シュンッ！！

『ぎょぎょっ！！』
　出現した途端、刀は脳裏に撃鉄を落とし、己のろっこん『加速』を発動させて魚肉ソーセージとチェイスを繰り広げる。
「んー、巨乳の言葉にお兄ちゃんもだけど御剣さんも反応した気がするんだよね～」
　なんていいながら樹は刀と魚肉ソーセージのチェイスをまじまじと見るも、腹部に衝撃を覚えて体をくの字に曲げた。兄である亮がろっこんの進化能力を使った状態で腹を指でかるく（ここ重要）突いたのだ。
（ったく……）
　亮が巨乳好みか否かはさておき、彼は再びろっこんを発動し、強化された身体能力で魚肉ソーセージを追い立てる。
（これで）（終わりにしてやる！）
　前門の狼、後門の虎とはよく言ったものである。刀と亮に迫られて逃げ場を失った魚肉ソーセージは、２人の男子高校生の食欲と怒りによって確保されてしまったのであった。
（ダメだったら、お兄ちゃんが――歳までおねしょしてたって事話そうと思ったんだけどなー。ま、いっか♪）
　勝利に打ち震える２人を尻目に、樹はどこか楽しげにポニーテールを揺らすのだった。

「八神、魚肉ソーセージは確保できたよ。あと残っている材料はあるか？」
　体育館から出、ジャンと分かれた後。亮は修に連絡を取っていた。すると、彼から「それで最後だ。急いで学食に来てくれ」と連絡を受ける。
「おっし！　やっと『ロイヤル塩焼きそばパン』が食べられるぜ！！」
　ガッツポーズを決める刀。亮はとりあえず一件落着だな、と安堵の息を漏らす。だが、何気なくジト目で樹を見た。
「樹、さりげなく『ロイヤル塩焼きそばパン』を奢ってもらおうかとか考えていないか？」
　その一言に、樹は思わず「ぎくっ！」と肩を震わせる。だが、亮は苦笑して樹の頭を撫でた。
「何だかんだいって、手伝ってもらったし、１個ぐらいなら奢るよ」
「ホント？！　ありがとう、お兄ちゃん♪」
　亮の言葉に、樹はちょっとくすぐったい物を覚えながらお礼を言うのであった。

　こうして、彼らの奮闘により、『ロイヤル塩焼きそばパン』の材料はそろった。あとは、調理するだけである。

　――ありがとう、寝子島の学生諸君！！
　　　そして、ありがとう、沼田さんとジャン先生！！

　……そして、あとちょっとだけ続く。

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