空想サバイバル・バトル　～寝子島を奪還せよ～｜リアクション

空想サバイバル・バトル　～寝子島を奪還せよ～

【寝子島奪還……開始！】

・落神神社境内にて（０９：１５）

「あはは！！　突っ込んでる。突っ込んでるよ！　」
　モニターを見ながら喜ぶ実理。
「浜にのったところを、ドッカーンって！　やっちゃって！」
　かくして指示は下された。

・寝子ヶ浜（G１１付近　０９：１５）

「みんな、伏せて！」
　船を霧の発生している砂浜に接近させつつ、真帆が言う。
「トーチカはこの先に２つか？　……というよりも、敵は一体何を考えている……？」
　考え込む仄、なぜならば目視出来る地点というか、普通にでかでかトーチカがあり、迷彩も施されてない。
　具体的には交差点のあったであろう付近にトーチカが二つ、その間に大砲があるがこれは確認できない。
「あと、一つはどこだ……？」
　仄がそうつぶやいた瞬間、霧の中、砂浜に乗り込んだ船の目の前に大きな一発が着弾した。
「「「「「！？」」」」」
　運悪く当たったこの一発は、上陸して勢いがある船を殺すには十分な妨害だった。
　パパパパパッ！　ダァン！
　船体が大きく持ち上がったところへ、さらに雨あられと銃弾や砲弾が降り注ぐ。
「砂浜へ落ちろ、早く！！！　走れ！　走れ！　走れ！！」
　船の周囲は危険だと見て取ったのか、仄がそう叫ぶ。
　後ろはまだ霧が発生しているが、乙船はまだ来ない。

・髑髏、動く（０９：１６）
「東へいきます、あちらのトーチカを破壊しましょう」
　エレノア・エインズワースが即座に走る。
　アメリカ海兵隊の砂漠色迷彩服（アメリカ）、カルカノM1938（イタリア）、Ｆ1手榴弾（フランス）、土佐剣鉈（日本）となんとも、すさまじい出で立ちである。
すぐさま、敵の反撃もあったが、霧を利用して東向きへ大回りに走り、塹壕に肉薄する。
「それ、つつくべ！」
　その後には旧日本陸軍の格好をした鈴野海斗が掛け声上げて続き、その後に武装親衛隊の格好に迷彩ポンチョを追加した常闇虚が続く形となった。
「うふふ……まずは一人目♪」
　パンッ！　と常闇虚のもつワルサーKarabiner ４３が殺意をむき出しにして敵兵を貫いた。
　そのままエレノアに合わせるように走りながら海斗と虚は塹壕に潜む兵を次々と打ち抜いていく。
　虚は反対側の手には手斧。手投げ弾もしっかりと持ち、海斗は九七式狙撃銃、九八式柄付手榴弾、三十年式銃剣を持っている。
　さながら、これら髑髏たちは異色な連合軍とでも言おうか。
「……しっ！」
　小さく息を吐いて先頭を走るエレノアが、トーチカ付近の塹壕へ向けて思いっきり手榴弾を放り投げる。
　数秒後、爆発とともに、嫌なにおいが当たりに漂う。
「こういうところも、リアルなのね」
　虚は自身の興奮を隠さずに、そう言った。
「乗り込むべ！　……ッ！」
　海斗が勢いのまま、飛び乗る。
　が、しかし、横合いから飛んできた弾丸が肩に食い込んだ。
「頭を打ち抜かれなかっただけマシだべ、ほれ、お返し」
　そういって、トーチカの中に手榴弾を放り込んだ。
　……ドンッ！
　数秒後、爆発音とともに、中から焼けただれた兵士が転がり落ちてきた。
「これで、無力化に成功したけど……」
　エレノアが状況を把握する。
　たどり着いた塹壕には３０名ほどの兵士がトーチカと大砲二門を運用していた。
　その中の下級士官二人は、三人が塹壕に侵入したのを見て、一斉に白兵戦装備に切り替え指示を出し、他の兵も無言で白兵戦準備を素早く整えた。
「イッツショ―タイムッ！　さぁ、この枯れた世界に血と鉄の花を咲かせましょう。一人が十人ほど殺せば問題ないですね」
　そう言ってエレノアは実に楽しそうに笑った。

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